奥出雲おろち号

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。JobanATOS (会話 | 投稿記録) による 2020年5月15日 (金) 12:07個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎沿革)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

国鉄12系客車 > 奥出雲おろち号
奥出雲おろち号
木次駅停車中の奥出雲おろち号
(2017年9月)
概要
種類 普通列車
現況 運行中
地域 島根県広島県
運行開始 1998年4月25日[1]
運営者 西日本旅客鉄道(JR西日本)
路線
起点 木次駅出雲市駅
終点 備後落合駅
使用路線 JR西日本:木次線・山陰本線
技術
車両 DE15 2558DE10 116112系客車
後藤総合車両所
軌間 1,067 mm (3 ft 6 in)
電化 直流1,500 V(出雲市 - 宍道間)[注 1]
非電化(宍道 - 備後落合間)
テンプレートを表示
「奥出雲おろち号」のヘッドマーク

奥出雲おろち号(おくいずもおろちごう)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が木次線で運転している臨時列車である。

概要

木次線の利用促進を目的として、JR西日本が1998年から運転を行っているトロッコ列車である[2]2000年には、第7回しまね景観賞(工作物・その他部門優秀賞)を受賞した[3]

2005年度の利用者総数は19,770人(前年度比1,517人増)で1998年の運転開始以来最高であったが、2007年度は10月28日に2万人を突破し2004年7月21日に累計乗車数が10万人に達している[4]。2010年度の利用者数は、16,712人(乗車率72.1%)で、島根県外からの観光客が利用する人気列車として島根県を代表する観光資源として成長している[5]

2009年度から出雲の國・斐伊川サミット[6]が運行経費などを負担している[7][5]。2011年には「奥出雲おろち号」のマスコットキャラクターが決定された[8]

運行概況

4月から11月までの金曜日土曜日休日およびゴールデンウィーク夏休みならびに紅葉シーズンの平日に木次駅 - 備後落合駅間で1往復運転されている。2010年度から日曜日を中心に備後落合行きのみ出雲市駅始発で延長運転されている[9]

ダイヤは往路が午前中に、復路が午後に設定され、以前は広島県側からのアクセスには不便だったため、夏休み期間中は土曜日限定で「奥出雲だんだんおろち号」としてさらにもう1往復運転されていた(2007年・2008年は設定なし)。

なお、トロッコ列車の運転にあわせて「奥出雲おろち号」の車内や長時間停車駅ではお弁当やそばなどの沿線の特産品が発売されている[10]

停車駅

出雲市駅直江駅荘原駅宍道駅加茂中駅出雲大東駅木次駅 - 日登駅 - 下久野駅 - 出雲八代駅 - 出雲三成駅 - 亀嵩駅 - 出雲横田駅 - 八川駅 - 出雲坂根駅 - 三井野原駅 - 油木駅 - 備後落合駅

使用車両

2012年4月1日現在の編成図[10]
奥出雲おろち号
← 備後落合
木次 →
1 2

ディーゼル機関車であるDE15 (2558) またはDE10 (1161) と12系客車2両(スハフ12 801、スハフ13 801)が連結された3両編成で、車体塗装は白・青・灰色地に星模様を散らした塗装としている。銀河鉄道をイメージしたデザインである。

DE15 2558とDE10 1161は木次寄りに連結されている機関車で、「奥出雲おろち号」の専用塗装となっている。DE15 2558は運転当初から専用機関車として使用されているが、冬季は除雪列車にも使用されるためラッセルヘッド取り付け部はそのまま残されている。DE10 1161は2010年の4月から専用機関車として使用されている。

スハフ12 801はスハフ12 3001(←スハフ12 40)を改造した控車で、2号車として編成の中間に連結されている。冷暖房とトイレ・洗面台が完備された控車で、座席は簡易リクライニングシートとなっている。1号車の指定席番号で2号車の同じ座席が使用できる。

スハフ13 801はスハフ12 148を改造した車両で、1号車として備後落合寄りの先頭に連結されるトロッコ車両である。従来の車掌室部分の一部に運転室が新設され、前面には前照灯スカートスノープラウが設置された。客室部分は窓のないオープン構造で、車内には不燃化木材が使用され[12]、一部の座席は外側向きに設置されている。照明はランプ風の照明としている。後部の出入口は撤去されている。

沿革

  • 1998年(平成10年)4月25日:木次駅 - 備後落合駅間に臨時快速「奥出雲おろち号」が運転開始[1]
  • 2002年(平成14年)7月6日 - 8月25日:期間中の土曜日・日曜日に松江駅 → 木次駅間で延長運転が実施[13]。松江駅 - 木次駅間は全車自由席で、この間の途中の停車駅は玉造温泉駅宍道駅 - 木次駅の各駅。
  • 2004年(平成16年)
    • 7月25日 - 8月29日:期間中の日曜日に「奥出雲だんだんおろち号」が運転[14]
    • 11月15日 - 11月17日:「奥出雲おろち号」が芸備線の三次駅まで延長運転[15]
  • 2005年(平成17年)
    • 4月3日:松江駅 - 木次駅間延長運転列車の停車駅に来待駅が追加[16]
    • 11月26日:広島駅に初めて乗り入れ。日本旅行主催旅行の、「トロッコ列車で行く木次線の紅葉と皆生温泉」によるもの。広島発木次行きの団体列車は、三次まで定期列車の時刻で運転された。その際に定期旅客に便宜を図る為、宮原総合運転所所属の12系客車1両を三次まで後ろに連結した。[17]
  • 2007年(平成19年)12月2日:団体列車として広島駅に乗り入れ。芸備線内は定期列車の時刻で運転されたため、定期列車として宮原総合運転所所属の12系客車2両とDE10形ディーゼル機関車が連結された[18]
  • 2010年(平成22年)4月3日:片道延長運転の始発駅が出雲市駅になる[5][19]

脚注

注釈

  1. ^ 但し、ディーゼル機関車が牽引する。

出典

  1. ^ a b 鉄道ジャーナル』第32巻第7号、鉄道ジャーナル社、1998年7月、103頁。 
  2. ^ JR西「奥出雲おろち号」 - 時事通信社
  3. ^ 第7回しまね景観受賞作品(平成11年度) - 島根県
  4. ^ JR木次線のトロッコ列車が乗車10万人達成インターネットアーカイブ)- 山陰中央新報
  5. ^ a b c トロッコ列車「奥出雲おろち号」のJR 出雲市駅片道延長運行(臨時運行の実施)について (PDF) - 出雲市
  6. ^ 出雲市雲南市奥出雲町および飯南町で連携・協力し、共同事業を行う組織
  7. ^ 奥出雲町総合計画 (PDF) - 奥出雲町
  8. ^ トロッコ列車「奥出雲おろち号」マスコットキャラクターが「おろっち」に決定 - 出雲の國・斐伊川サミット事務局 2011年4月15日
  9. ^ 奥出雲おろち号(島根県雲南市・奥出雲町) - 朝日新聞 2011年11月1日
  10. ^ a b 観光列車の旅時間 奥出雲おろち号 - 西日本旅客鉄道
  11. ^ 木次線トロッコ列車 奥出雲おろち号 (PDF) - 出雲観光協会
  12. ^ 車両案内 トロッコ列車 奥出雲おろち 12系 - 西日本旅客鉄道
  13. ^ JR西日本米子支社 - 西日本旅客鉄道
  14. ^ 平成16年 夏の臨時列車運転等のご案内 (PDF) (インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道米子支社プレスリリース 2004年5月14日
  15. ^ おろち号、備北路デビュー(インターネット・アーカイブ)- 中国新聞 2004年11月16日
  16. ^ 平成17年 春の臨時列車運転等のご案内 (PDF) (インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道米子支社プレスリリース 2005年1月14日
  17. ^ 『鉄道ファン』 交友社 2006年3月号 169頁
  18. ^ 「奥出雲おろち号」と12系客車による団臨と定期の併結運転 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2007年12月4日
  19. ^ 広報いずも 第123号 (PDF) - 出雲市

参考文献

外部リンク