WEST EXPRESS 銀河

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WEST EXPRESS 銀河
シンボルマーク
試運転中のWEST EXPRESS 銀河、2020年4月
試運転中のWEST EXPRESS 銀河、2020年4月
概要
日本の旗 日本
種類 特別急行列車臨時列車、昼行・夜行兼用)
現況 運行中
地域 京都府大阪府兵庫県岡山県鳥取県島根県広島県山口県
運行開始 2020年9月11日[注 1][1]
運営者 西日本旅客鉄道(JR西日本)
路線
起点 京都駅大阪駅(夜行)
大阪駅(昼行)
終点 出雲市駅(夜行)
下関駅(昼行)
営業距離 440 km (273.4 mi) (京都 - 出雲市間)
561.2 km (348.7 mi) (大阪 - 下関間)
使用路線 JR西日本:東海道本線JR京都線JR神戸線含む)・山陽本線(JR神戸線含む)・伯備線山陰本線
車内サービス
クラス グリーン車普通車
座席 グリーン車指定席「ファーストシート」:1号車
グリーン個室「プレミアルーム」:6号車
普通車指定席(ノビノビ座席)「クシェット」:2・5号車
普通車指定席(コンパートメントシート)「ファミリーキャビン」:3号車
普通車指定席(座席タイプ):2・3号車
娯楽 フリースペース
3号車「明星」
4号車「遊星」
6号車「彗星」
その他 2号車は女性席
6号車に1名用グリーン個室あり
技術
車両 117系電車7000番台
吹田総合車両所京都支所
軌間 1,067 mm
電化 直流1,500 V
テンプレートを表示

WEST EXPRESS 銀河(ウエストエクスプレス ぎんが)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が運行している特別急行列車[2]

概要[編集]

2016年11月29日、TWILIGHT EXPRESS 瑞風に関する記者会見の席上で、「新たな長距離列車」の構想として検討段階にあることが明らかにされた[3]。2019年3月19日に、これを具現化したものとして列車名・エクステリア・設備愛称名が発表された[2]

「JR西日本グループ中期経営計画 2022」において、鉄道事業の事業戦略として、地域との対話と連携を通じ、観光を中心として西日本各エリアの活性化に貢献することを掲げており、その取り組みの一環として運行が計画されている[4]

列車コンセプトは、鉄道での旅に慣れた乗客から普段あまり鉄道を使わない乗客、さらに訪日観光客まで幅広い客層に向けた、「気軽に鉄道の旅を楽しめる列車」とし、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」と棲み分けている。またキーワードとして「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」が挙げられており、それぞれの具体策として「多様性」は多様な旅のスタイルへの対応のために普通座席の他にグリーン個室、ノビノビ座席、コンパートメントシート、女性席など複数の種類の座席の設置、西日本エリア内の様々な方面への旅行需要を喚起するために複数の区間を運行、「カジュアル」は寝台料金を設定せず、またグリーン車だけではなく、普通車を設定するといった気軽に鉄道の旅を楽しめる価格設定、「くつろぎ」は快適性が高く、落ち着いた車内空間の提供、車窓から沿線の風景を楽しめる座席配置、乗客が自由に使うことのできるフリースペースの設置がある。そしてこれらを通して、鉄道の旅の楽しさを伝えていき、リピーターの乗客を増やしたいとしている[2]

列車名の「銀河」は、広い宇宙に存在する様々な星の集まりを指し、この列車が運転する西日本エリアを宇宙に、各地の魅力的な地域を星になぞらえ、それらの地域を結ぶ列車という意味が込められている[2]

乗車には運賃の他、JR西日本インターネット予約「e5489」、「JR-WEST ONLINE TRAIN RESERVATION」、全国のみどりの窓口、旅行会社窓口で販売される特急券グリーン券が必要となる[4]。ただし、9月11日の運行開始から当面の間は日本旅行が企画・実施する旅行商品に限り販売される[5]

またグリーン個室を連結した「WEST EXPRESS 銀河」の運行に際して、新たにグリーン個室料金が設定されており、料金は1人あたり100kmまでが4,360円、200kmまでが5,860円、300kmまでが7,240円、400kmまでが8,450円となっている[4]

大阪駅〜出雲市駅間は定期運行の寝台特急サンライズ出雲やかつての夜行快速ムーンライト八重垣と同一ルートである。大阪駅〜下関駅間は過去にサンライズゆめムーンライト山陽が運行されていた[注 2]

運行概況[編集]

2019年11月の運行概要発表時点で、運行時期により以下の2形態で運行されることが明らかになっている[4]。運行頻度はいずれも週2往復程度。

当初は山陰方面が2020年5月8日から同年9月19日まで[6]、山陽方面が同年10月から2021年3月まで(「瀬戸内・広島デスティネーションキャンペーン」の一環)[4][7][8]の運行予定とされていたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う利用の状況を踏まえ[9][10]、運行開始日が2020年9月11日に延期され、山陰方面が同日から11月29日まで、山陽方面が2020年12月12日から2021年3月11日までの運行となる予定に変更されている[11][12]

山陰方面[編集]

京都駅・大阪駅と出雲市駅の間を東海道本線山陽本線伯備線山陰本線経由で結ぶ。下り(月曜日・金曜日発)は京都駅発出雲市駅行き、上り(水曜日・日曜日発)は出雲市駅発大阪駅行きとして運行される。停車駅は方面ごとに異なる。発売される切符には乗降区間の指定があり、下りは姫路駅 - 生山駅間、上りは備中高梁駅 - 神戸駅間を挟まない切符(特急券・グリーン券)は発売されない[6]

停車駅(山陰方面)[編集]

(京都駅) - (新大阪駅) - 大阪駅 - 三ノ宮駅 - 神戸駅 - (西明石駅) - (姫路駅) - 〔備中高梁駅〕 - (生山駅) - 〔根雨駅〕 - 米子駅 - 安来駅 - 松江駅 - 玉造温泉駅 - 宍道駅 - 出雲市駅

  • ( )は出雲市行きのみ停車
  • 〔 〕は大阪行きのみ停車
  • 下り列車の京都駅→新大阪駅間では後発の新快速の通過待ちを行うため茨木駅に運転停車する。
  • 下り列車は曜日により姫路駅・生山駅の着時刻、米子駅の発時刻が異なる[6]
  • 上り列車の備中高梁駅では21時25分から22時まで35分間停車し、「ふたたび、高梁」をテーマに、高梁市が誇る「文化」「食」「地酒」などで、旅の思い出になるような、おもてなしが提供される。運行開始日など限定日で備中神楽備中たかはし松山踊りが披露されたり、車内での高梁名物や地元エリア特産品、地酒の販売など観光PRが行われる。また停車中は、備中高梁駅の橋上テラスや隣接した高梁市図書館の商業スペースを時間延長して利用できる[13]
  • 上り列車において、倉敷駅から先の山陽本線内では、例えば中庄駅では約1時間30分ほどの運転停車が設定されるなど途中駅では度々運転停車が行われる。

山陽方面[編集]

大阪駅と下関駅の間を東海道本線・山陽本線経由で結ぶ。下り列車は火曜日・土曜日、上り列車は木曜日・日曜日に運行される予定[12]。山陰方面と異なり運行区間は上下とも同じだが、こちらも停車駅は方面ごとに異なる[11][12]

停車駅(山陽方面)[編集]

大阪駅 - 三ノ宮駅 - 神戸駅 - 西明石駅 - 姫路駅 - 岡山駅 - 倉敷駅 - 福山駅 - 三原駅 - 西条駅 - 広島駅 - 宮島口駅 - 岩国駅 - (柳井駅) - 徳山駅 - (防府駅) - 新山口駅 - 新下関駅 - 下関駅

  • ( )は大阪行きのみ停車
  • 下り列車の福山駅では13時16分から14時2分までの46分間停車する[12]
  • 下り列車は曜日により三ノ宮駅、神戸駅、西明石駅、宮島口駅、岩国駅の発着時刻、姫路駅と広島駅の発時刻が異なる[12]
  • 上り列車の柳井駅では12時50分から13時5分までの15分間、倉敷駅では18時23分から18時38分までの15分間停車する[12]
  • 上り列車は曜日により宮島口駅の発着時刻が異なる[12]

車両[編集]

下関側先頭車 (2020年4月)

種車はかつて関西圏の新快速などに使用された117系6両編成で、デザインは「えちごトキめきリゾート雪月花」のデザインも担当した川西康之が担当している[2][7]

車体は瑠璃紺色で塗装され、西日本が誇る美しい海や空を表現している[2]

灯火類はLEDに更新され、寝転がりながら車窓を楽しめるよう窓も大きなものに変更されている。またノイズ対策のために、コンプレッサーが交換されたほか、床の点検口が塞がれたり、一部の窓は固定窓となっている[8]

座席タイプである2+2列シートとノビノビ座席を除く車内の座席は、昼行特急列車運用時は座席状態に、夜行特急列車運用時はベッド状態になる[7]

2+2列シートも、左右交互の千鳥配置でシートピッチは1200mmと、他の特急列車のグリーン車並の座席間隔で配置されている[8]。また車内にはWi-FiやUSBポート、大型荷物置場も完備されている[7]

← 出雲市・下関
大阪・京都 →
号車 1 2 3 4 5 6
車番 クロ116-7016 モハ116-7036 モハ117-7036 モハ116-7032 モハ117-7032 クロ117-7016
種車 クハ116-16 モハ116-36 モハ117-36 モハ116-32 モハ117-32 クハ117-16
定員
(昼行/夜行)
16名/8名 26名/26名 28名/24名 - 18名/18名 13名/9名
設備 G
(ファーストシート)
F指
(クシェット)

(ファミリーキャビン)
フリースペース
フリースペース
(クシェット)
Handicapped Accessible sign.svg
G個
(プレミアルーム)
フリースペース
凡例
G = グリーン車指定席
G個 = グリーン個室
指 = 普通車指定席
F = 普通車指定席(女性席
Handicapped Accessible sign.svg = 車椅子対応

車両ごとの座席の棲み分けははっきりしており、全6両が全て異なる座席構成となっている[8]。各号車それぞれの車内の詳細は以下の通り。

1号車[編集]

グリーン車指定席の車両で、1+1列の座席が設置されている。座席には「ファーストシート」の愛称が付けられている[2]

昼行時は1+1列のボックスシートとなり、1区画で2名ずつ利用できるが、夜行時は1区画1名利用となり、レースカーテンが取り付けられる[注 3][7][8]

昼行時の定員は16名、夜行時の定員は8名[8]

2号車[編集]

女性専用の普通車指定席の車両で[注 4]、3区画に仕切られた上下2段式のノビノビ座席と、2+2列シートが設置されている。ノビノビ座席には簡易寝台の意味の「クシェット」の愛称が付けられている[2][7][8]

女性更衣室、女性専用トイレが配置されている[7]

定員は昼行時、夜行時ともに26名[8]

3号車[編集]

普通車指定席の車両で、家族で利用できるコンパートメントシート2区画と、2+2列シートが設置されている。コンパートメントシートには「ファミリーキャビン」の愛称が付けられている[2][7]。「ファミリーキャビン」は昼行時は4名利用であるが、夜行時は折り畳まれたシートが広げられ2名利用となる[8]

車端部には、フリースペース「明星」が設けられている[2][7]

昼行時の定員は28名、夜行時の定員は24名[8]

4号車[編集]

フリースペースが設けられた車両で、フリースペースには「遊星」の愛称が付けられている[2]

自由に過ごせるようにテーブルや着席スペースが複数配置され、イベントなどで利用できる小さな屋台風カウンターも設置されている。一部区間で簡単なお弁当などの販売も計画されている[7]。また夜行時でも終夜照明がつけられる[8]

5号車[編集]

普通車指定席の車両で、5区画に仕切られたノビノビ座席が設置されている。ノビノビ座席には「クシェット」の愛称が付けられている[2]

うち4区画は上下2段式だが、出入口ドアに近い1区画は車いす対応の1段ベッドとなっている。また車内には車いす対応座席、多機能トイレが配置されている[7][8]

定員は昼行時、夜行時ともに18名[8]

6号車[編集]

グリーン車指定席の車両で、鍵のかかる個室が5室配置されている[注 5]。個室には「プレミアルーム」の愛称が付けられている[2]

個室の形を従来にない台形とすることで、一定のベッド面積に加えてレール方向に約4メートルの長さが確保されている[7]

1人用個室以外の個室は、1室につき昼行時は3名利用だが、夜行時はベッドが広げられ2名利用となる[8]

また車端部には、グリーン車利用者専用のラウンジ状のフリースペース「彗星」が設けられている[2][7][8]

昼行時の定員は13名、夜行時の定員は9名[8]

沿革[編集]

その他[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 当初は5月8日の運行開始を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大などの影響を受け、運行開始日が延期された
  2. ^ 臨時列車ではあるが、山陽本線倉敷駅〜下関駅間に特急列車が走行するのは2009年3月13日に廃止された「富士」、「はやぶさ」以来11年半ぶりである
  3. ^ カーテンがレースカーテンなのは、ある程度人目を遮りながらも、着座した席の反対側の車窓が見えるよう配慮したため
  4. ^ 男性の通り抜けは可能。
  5. ^ うち1室は1名用個室。

出典[編集]

  1. ^ a b “JR西日本「WEST EXPRESS 銀河」9/11運行開始、11月まで山陰方面へ”. マイナビニュース (マイナビ). (2020年7月22日). https://news.mynavi.jp/article/20200722-1169473/ 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o “新たな長距離列車の列車名・エクステリア・設備愛称名の決定について” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2019年3月19日), https://www.westjr.co.jp/press/article/items/190319_00_ginga.pdf 2020年2月28日閲覧。 
  3. ^ a b “JR西日本、新たな長距離列車の運行を検討 「鉄道の旅を気軽に楽しめるものを」”. 乗りものニュース. (2016年11月29日). https://trafficnews.jp/post/60660 2020年2月28日閲覧。 
  4. ^ a b c d e f “「WEST EXPRESS 銀河」の運行概要について” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2019年11月20日), https://www.westjr.co.jp/press/article/items/191120_00_ginga.pdf 2020年2月28日閲覧。 
  5. ^ a b “「WEST EXPRESS 銀河」の運行開始” (日本語) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2020年7月22日), https://www.westjr.co.jp/press/article/2020/07/page_16358.html 2020年7月22日閲覧。 
  6. ^ a b c d “「WEST EXPRESS 銀河の運転日について」” (日本語) (PDF) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2020年3月16日), https://www.westjr.co.jp/press/article/items/200316_00_ginga.pdf 2020年3月18日閲覧。 
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n “「ウエストエクスプレス銀河」お披露目 まるで寝台列車のような車内”. 鉄道新聞 (福岡誠). (2020年1月25日). http://tetsudo-shimbun.com/article/topic/entry-1936.html 2020年5月11日閲覧。 
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p “JR西日本、「WEST EXPRESS 銀河」公開。一人旅から家族旅まで多彩な座席を備えた特急列車”. トラベルWatch (板倉秀典). (2020年1月27日). https://travel.watch.impress.co.jp/docs/news/1231462.html 2020年5月11日閲覧。 
  9. ^ a b “山陽新幹線、在来線特急における一部臨時列車の運休について” (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2020年4月6日), https://www.westjr.co.jp/press/article/items/200406_01_unkyuu.pdf 2019年10月11日閲覧。 
  10. ^ a b JR西日本の新列車「ウエストエクスプレス銀河」デビュー延期 新型コロナ感染拡大受け”. 乗り物ニュース. 2020年4月6日閲覧。
  11. ^ a b c “「WEST EXPRESS 銀河」山陽方面への運行について” (日本語) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2020年9月18日), https://www.westjr.co.jp/press/article/2020/09/page_16704.html 2020年9月18日閲覧。 
  12. ^ a b c d e f g h “「WEST EXPRESS 銀河」山陽方面への運行詳細” (日本語) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2020年10月9日), https://www.westjr.co.jp/press/article/2020/10/page_16803.html 2020年10月9日閲覧。 
  13. ^ a b “「WEST EXPRESS 銀河」の伯備線 備中高梁駅停車について” (日本語) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2020年1月30日), https://www.westjr.co.jp/press/article/2020/01/page_15551.html 2020年2月28日閲覧。 
  14. ^ “観光列車「銀河」を紀南へ 7市町村がJRに要望”. 紀伊民報. (2020年10月8日). https://www.agara.co.jp/article/84921 2020年10月8日閲覧。 

外部リンク[編集]