ペリレン

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ペリレン
Peryl構造式
IUPAC名Perylene
分子式C20H12
分子量252.31
CAS登録番号198-55-0
形状褐色の固体
融点277-280 °C
SMILESc1ccc5cccc4c5c1c2cccc3cccc4c23

ペリレン (perylene) は化学式 C20H12 で表される有機化合物で、褐色の固体である。多環芳香族炭化水素の一種で、CAS登録番号は [198-55-0] である。ペリレンの誘導体発癌性があると考えられており、危険性の高い汚染物質である。紫外線をあてることにより蛍光を発する。

構造[編集]

ジクロロメタン中に溶解したペリレン溶液に長波紫外線を照射
ジクロロメタン中に溶解したペリレン溶液に短波紫外線を照射

ペリレンは2つのナフタレン環がそれぞれ1位と8位でつながれた構造を持つ。ナフタレン環どうしをつなぐ炭素−炭素結合は共鳴構造の伸張にはほとんど寄与していない。これは、ナフタレン環の芳香族性を保ったままその結合が二重結合となるような共鳴限界式を描くことができないこと[1]、また、X線結晶構造解析の結果[2]によると、その炭素−炭素結合長が約1.50Åであり、平均的な単結合の値 (~1.5Å) に近いことから裏付けられる[3]

脚注[編集]

  1. ^ 電荷を帯びる形では描けるが、そのような場合共鳴による安定化はほとんどない。
  2. ^ Donaldson, D. M.; Robertson, J. M.; White, J. G. "The crystal and molecular structure of perylene." Proc. R. Soc. Lond. A Math. Phys. Sci. 1953, 220, 311–321. 最初の1ページ (JSTOR)
  3. ^ ベンゼンの場合1.40Å、ナフタレンの場合長い方で1.42Åである。ブタジエンの単結合は1.48Åである。

関連項目[編集]