単純芳香族化合物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

単純芳香族化合物(たんじゅんほうこうぞくかごうぶつ)は、共役した平面環だけからなる芳香族化合物である。単純芳香族化合物の多くは慣用名を持ち、より複雑な分子の構造の一部になる。典型的な単純芳香族化合物には、ベンゼンインドールシクロテトラデカヘプタエン等がある[1][2]

単純芳香族化合物が酸素窒素硫黄等の炭素以外の原子を含むと複素環式化合物となる。また、ベンゼンのような単環式、ナフタレンのような二環式、アントラセンのような多環式化合物がある。単純単環式芳香族化合物は、ピロールのような五員環かピリジンのような六員環のどちらかである。融合芳香族環は、結合を共有する単環からなる。

複素環式芳香族化合物[編集]

単純芳香族化合物の一覧
Furan.svg
フラン
Benzofuran structure.png
ベンゾフラン
Isobenzofuran.svg
イソベンゾフラン
Pyrrole structure.png
ピロール
Indole structure.png
インドール
Isoindol.svg
イソインドール
Thiophene structure.png
チオフェン
Benzothiophene structure.png
ベンゾチオフェン
Benzo-c-thiophene simple structure.png
ベンゾ(c)チオフェン
Imidazole structure.png
イミダゾール
Benzimidazole structure.png
ベンゾイミダゾール
Purine structure.png
プリン
Pyrazole structure.png
ピラゾール
Indazol.svg
インダゾール
 
Oxazole structure.png
オキサゾール
Benzoxazole structure.png
ベンゾオキサゾール
 
Isoxazole structure.png
イソオキサゾール
Benzisoxazole structure.png
ベンゾイソオキサゾール
 
Thiazole structure.png
チアゾール
Benzothiazole structure.png
ベンゾチアゾール
 
 
六員環と; 融合六員環  
Benzene-Kekule-2D-skeletal.png
ベンゼン
Naphthalene-2D-Skeletal.svg
ナフタレン
Anthracene structure.png
アントラセン
Pyridine structure.png
ピリジン
Quinoline structure.png
キノリン
Isoquinoline structure.png
イソキノリン
Pyrazine structure.png
ピラジン
Quinoxaline structure.png
キノキサリン
Acridin.svg
アクリジン
Pyrimidine structure.png
ピリミジン
Quinazoline structure.png
キナゾリン
 
Pyridazine structure.png
ピリダジン
Cinnoline structure.png
シンノリン
Phthalazin - Phthalazine.svg
フタラジン
1,2,3-Triazin - 1,2,3-triazine.svg
1,2,3-トリアジン
1,2,4-Triazin - 1,2,4-triazine.svg
1,2,4-トリアジン
1,3,5-Triazin - 1,3,5-triazine.svg
1,3,5-トリアジン
(s-トリアジン)

窒素を含む芳香族環は、容易にプロトン化されて芳香族カチオンと塩を形成する塩基性芳香族環と非塩基性芳香族環に分離できる。

塩基性芳香族環では、電子の孤立電子対は芳香系には局在せず、環の平面を伸長させる。この孤立電子対は、アミン中の窒素原子と同様に窒素塩基の塩基性の原因となっている。これらの化合物では、窒素原子は水素原子と結び付いていない。塩基性芳香族環の例には、ピリジンキノリンがある。塩基性と非塩基性の窒素原子を含む環には、イミダゾールプリンがある。

非塩基性芳香族環では、窒素原子の電子の孤立電子対は非局在化し、芳香族π電子系に寄与している。これらの化合物では、窒素原子は水素原子と結び付いている。非塩基性芳香族環の例には、ピロールインドールがある。

酸素や硫黄を含む芳香族環では、ヘテロ原子の電子対の1つが、非塩基性芳香族環と同様に芳香族系に寄与しており、2つ目の孤立電子対は塩基性芳香族環と同様に環の平面を伸長させている。

芳香族性の基準[編集]

  • 分子は環状でなければならない。
  • 環の全ての原子のp軌道は満たされており、重なっていなければならない(完全共役)。
  • 分子は平面でなければならない。
  • 4n+2個のπ電子を持ち、ヒュッケル則を満たしていなければならない。

一方、4n個のπ電子を持つ分子は反芳香族性を持つ。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ Clayden Jonathan, Nick Greeves, Stuart Warren, Peter Wothers (2001). Organic chemistry. Oxford, Oxfordshire: Oxford University Press. ISBN 0-19-850346-6. http://www.organic-chemistry.org/books/reviews/0198503466.shtm. 
  2. ^ Eicher, T.; Hauptmann, S. (2003). The Chemistry of Heterocycles: Structure, Reactions, Syntheses, and Applications (2nd ed.). Wiley-VCH. ISBN 3-527-30720-6.