2018年のインディカー・シリーズ
2018年のインディカー・シリーズ | |||
前年: | 2017 | 翌年: | 2019 |
2018年のベライゾン・インディカー・シリーズ (2018 Verizon IndyCar Series) は、インディカー・シリーズの23年目のシーズンとなる。第102回インディアナポリス500マイルレースはシリーズ6戦目として5月27日に開催され、ウィル・パワーが優勝した。
2015年から17年まで使用されたマニファクチャラーがデザインしたエアロキットに代わって、今シーズンから統一エアロキットが使用される。今シーズンはベライゾン・コミュニケーションズがタイトルスポンサーとして開催される最後のシリーズとなる。また、ABCおよびNBCスポーツによる中継も最後となる。
エンジンマニファクチャラーはホンダが2011年以来となるタイトルを獲得した。ルーキー・オブ・ザ・イヤーはロバート・ウィケンズがポコノでのクラッシュで怪我により終盤3戦を欠場したにもかかわらず獲得した。シリーズタイトルはスコット・ディクソンが自身5度目となるタイトルを獲得した。
シリーズのニュース
[編集]- ベライゾン・コミュニケーションズは2017年10月20日に2018年シーズンをもってシリーズのタイトルスポンサーを終了すると発表した。この決定はチーム・ペンスキーへのスポンサーには影響しない[1]。
- PFCは2018年シーズン、シリーズへのブレーキキャリパーの供給を開始する[2]。
- ハーディング・レーシングの社長に就任したブライアン・バーンハートに代わって、カイル・ノヴァクが1月5日にレースディレクターに決定した。ダン・デイヴィス、アリー・ルイエンダイク、マックス・パピスの3人のスチュワードは、バーンハートが最初にレースディレクターに就任したときに着任したが、そのまま留任する[3]。
- 2018年3月21日、NBCSNを通してシリーズ放映権を保持していたNBCスポーツは、分裂したABCとNBCSNに代わって、2019年から2021年までIndyCarシリーズを独占放送すると発表した。NBCではインディ500を含め、シーズン8レースが放送される[4][5][6]。
技術的変更
[編集]- すべてのインディカー・シリーズのマシンは、CARTの1990年代と2000年代の車体からインスパイアされた全く新しいユニバーサル・ボディーを特徴とするが、シャシーはダラーラ・DW12をベースとしたものを維持する。この新しいシャシー構成はIR18と呼ばれ、少なくとも2022年まで使用される予定である。1996年のインディ・レーシング・リーグおよび2007年のチャンプカー・シーズン以来初めて、エアボックスのないロールフープが搭載される[7][8]。
- すべてのインディカー・シリーズ参入チームは、F1スタイルのLCDステアリングホイールディスプレイ -設定可能なディスプレイユニットを備えた新しいコスワースCCW Mk2ステアリングホイール- および新しいエレクトリックコンポーネントを導入する[9]。2000年シーズンから使用されてきた現在のコスワース・Piリサーチ・シグマは廃止されるが、いくつかのチームはコスト上の理由からもう1シーズン使用する。
- インディカーはコックピット保護でドライバーの安全性を高める次のステップとして、2月8日にスコット・ディクソンがISMレースウェイでF1カーが使用する「Halo」デバイスの可能性のあるウインドスクリーンをテストすることを発表した[11]。
参戦チーム・ドライバー
[編集]以下のチームとドライバーが2018年シーズンを戦う。全チームがシャシーはダラーラ・IR18、タイヤはファイアストンを使用する。
チームの変更
[編集]チップ・ガナッシ・レーシングは、コスト効率のため2台体制に縮小することを発表した。これは2010年以来のことであり、スコット・ディクソンは9番車に留まる[54]。2017年10月25日には、2017年のルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得したエド・ジョーンズがトニー・カナーンに代わって2018年シーズンに10番車をドライブすることを発表した[55]。
チーム・ペンスキーはエリオ・カストロネベスが2018年以降ウェザーテック・スポーツカー選手権に転向するため、3台体制に縮小することを発表した。しかしながら、カストロネベスはインディカー・グランプリとインディ500にペンスキーから出場する[56]。
マイケル・シャンク・レーシングは2018年シーズンに6レースでシュミット・ピーターソン・モータースポーツと技術提携しジャック・ハーヴェイをドライバーに起用する[57]。チームはシリウスXMラジオのCEO、ジム・メイヤーが共同オーナーに加わったため、2018年4月6日にメイヤー・シャンク・レーシングに改称した[58]。
カーリンは2018年シーズン、シボレー製エンジンを搭載した2台のマシンでフル参戦する。ドライバーは元チップ・ガナッシ・レーシングのマックス・チルトンとチャーリー・キンボール[21]。
ハーディング・レーシングは2017年シーズンに何戦か起用したギャビー・チャベスを2018年はフル参戦させることを確認した[37]。ブライアン・バーンハートは11月29日にチームの代表に任命され、インディカーのレースオペレーションおよびレースディレクターを辞任した[59]。ロード・アメリカ戦の後、バーンハートは2018年シーズン後半に2台体制に拡大したいとの噂、特にソノマの命名を確認した。彼はチームがインディ・ライツのドライバーを含む何名かと話し合ったことをさらに確認した[60]。
ラジアー・パートナーズ・レーシングは2017年のインディ500でバディ・ラジアーが唯一の車をクラッシュさせたため、2012年以来参戦してきたインディ500に2018年は参戦しない。
ドライバーの変更
[編集]2017年のインディ・ライツでタイトルを獲得したカイル・カイザーは、4戦にユンコス・レーシングから参戦する。この中にはインディ500およびインディカー・グランプリが含まれる[61][62]。ユンコスは2018年1月5日、フォーミュラV8 3.5に参戦していたレネ・ビンダーをセントピーターズバーグ、バーバー、ミッドオハイオ、トロントで起用すると発表した。後にデトロイトでの起用も確認された[40]。
2017年シーズンにJ.R.ヒルデブランドの代役としてエド・カーペンター・レーシングからバーバー戦に出場し、インディ500にはA.J.フォイト・エンタープライズから出場したザック・ビーチは2018年シーズン、佐藤琢磨に代わってアンドレッティ・オートスポーツからフル参戦する[17]。
2017年にエド・カーペンター・レーシングからロード戦およびストリート戦で起用されたスペンサー・ピゴットは、J.R.ヒルデブランドに代わってフル参戦し、21番車をドライブする[35]。元フォーミュラ2のドライバー、ジョーダン・キングは、ロード戦およびストリート戦で20番車をドライブする。
2017年のインディ500勝者の佐藤琢磨は1シーズンでアンドレッティ・オートスポーツを離れ、2018年シーズンはレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに復帰する[45]。
ステファン・ウィルソンは2018年のインディ500に出場するためアンドレッティ・オートスポーツに加入した。インディカーシリーズには2016年以来の復帰となる。
トニー・カナーンはチップ・ガナッシ・レーシングで4シーズンを過ごした後、2018年はA.J.フォイト・エンタープライズに移籍する[13]。
ロバート・ウィケンズはドイツツーリングカー選手権で6シーズンを過ごした後、ミカイル・アレシンに代わってシュミット・ピーターソン・モータースポーツに加入し6番車をドライブする。ウィケンズは2017年シーズンのロード・アメリカ戦でアレシンに代わって最初のプラクティスセッションに参加したが、決勝には出場しなかった。ウィケンズは2018年のABCサプライ500でクラッシュし重傷を負い、残りのシーズンを欠場することを余儀なくされた。このクラッシュでマシンは大きく破損し、6番車は次戦のゲートウェイを欠場した。8月29日、シュミット・ピーターソン・モータースポーツはウィケンズの代役としてカルロス・ムニョスをポートランドとソノマで起用することを発表した[47]。
2017年11月16日、A.J.フォイト・エンタープライズはブラジル人のインディ・ライツドライバー、マテウス・レイストの起用を発表した。レイストはコナー・デイリーに代わって4番車をドライブする。レイストは2006年のマルコ・アンドレッティの記録を更新して最年少ルーキーとなる。
ダニカ・パトリックはスチュワート=ハース・レーシングでNASCARに6シーズン参戦した後、インディ500に復帰する意向を発表した[63]。2018年のインディ500はパトリックのプロ経歴の最後のレースとなる[64]。彼女はエド・カーペンター・レーシングの3台目をドライブする[32]。彼女を長年支援してきたGoDaddyがスポンサーとなる[65]。
カルロス・ムニョスはA.J.フォイト・エンタープライズで1シーズンを過ごした後、インディ500に参戦するためアンドレッティ・オートスポーツに復帰する[20]。
2018年2月6日、2017年のワールドシリーズ・フォーミュラV8 3.5のチャンピオンであるピエトロ・フィッティパルディがデイル・コイン・レーシングに加入し、インディ500を含む7戦で19番車をドライブすることが発表された。19番車は2017年のインディ・ライツにカーリンから出場していたザカリー・クラマン・デメロが残りの10戦でドライブする。5月4日、フィッティパルディは2018年のスパ6時間の予選で負傷した。デメロがインディアナポリス戦およびテキサス戦で19番車をドライブし、デトロイト2戦はトライデントフォーミュラ2ドライバーおよびハースF1テストドライバーのサンティノ・フェルッチがドライブする契約にサインした。
2018年3月1日、セージ・カラムが2018年のインディ500にドレイヤー & レインボールド・レーシングから参戦することが確認された。カラムとチームにとっては4回目のジョイントとなる。カラムのメインスポンサーはWIX Filtersである。
2018年3月6日、コナー・デイリーが2018年のインディ500に出場することが発表された。彼はトム・バーンズ・レーシングから参戦し、空軍がメインスポンサーとなる。
2018年3月20日、ピッパ・マンが2018年のインディ500でデイル・コイン・レーシングの63番車をドライブすることが発表された。スポンサーはDonate Life Indiana[66]。
4月12日、ドレイヤー & レインボールド・レーシングはJ.R.ヒルデブランドがインディ500への2度目のエントリーでチームのためにドライブすると発表した[31]。
2018年4月13日、ジョナサン・バーズ・レーシング、ホリンジャー・モータースポーツ、ベラルディ・オート・レーシングはA.J.フォイト・エンタープライズと協力してジェームズ・デイヴィソンをインディ500に出場させることを発表した[14]。
5月10日、ユンコス・レーシングはアルフォンソ・セリスJr.がロード・アメリカでインディカーでデビューすることを発表した[42]。チームは8月3日、セリスがポートランドにも出場することを発表した[67]。
7月10日、ハーディング・レーシングはコナー・デイリーが第12戦のトロントでギャビー・チャベスに代わって出場すると発表した。チームはまた、2019年の準備のためにシーズン残りでドライバーラインナップを試してみると述べた。チームは現在のインディ・ライツのトップ3、コルトン・ハータ、サンティアゴ・ウルティア、パトリシオ・オワードのテストを希望している。オワードは既にチームでシートフィッティングを行っている。それにもかかわらず、チャベスはシーズン中に復帰し、2019年までチームのドライバーとして契約を継続する予定である[38]。デイリーは7月24日のミッドオハイオ戦で確認される予定だった[68]。9月2日、2018年のインディ・ライツチャンピオンのパトリシオ・オワードとランキング2位のコルトン・ハータがハーディングから最終戦のソノマでインディカーにデビューすることが発表された。
開催スケジュール
[編集]スケジュールの変更及び注
[編集]- 2017年9月26日、フェニックス・インターナショナル・レースウェイはインジェユニティ・サン・メディア (ISM) と1億ドルのスポンサー契約を結び、ISMレースウェイに改称された。
- ワトキンス・グレンは2016年に復帰してからわずか2レース後にカレンダー落ちした。代替レースはポートランド・インターナショナル・レースウェイで行われる。ポートランドでのインディカーのレースは11年ぶりとなる。
- 8月にメキシコのエルマノス・ロドリゲス・サーキットでの開催の可能性が模索されたが、契約は結ばれずカレンダーには掲載されなかった[69]。
- ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマは4月22日にスタートし、雨のため22周目に中断された。レースは4月23日に再開された。
レース結果
[編集]ポイントランキング
[編集]ドライバー
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- インディ500およびソノマはポイント2倍。
- インディ500を除く全てのレースで、ポールシッターは1ポイントが与えられる。ダブルヘッダーのレースではそれぞれの予選グループにおけるポールシッターにそれぞれ1ポイントが与えられる[70]。
- エンジンが最低走行距離に達する前に交換された場合、10ポイントを失う。
- 注:走行距離はドライバーに関係なく、当該エンジンでそのレース参加者が走行した合計距離に基づく。
- ポイントが並んだ場合、勝利数、2位、3位の順で比較され、ポールポジション数、予選2位回数と比較されていく。
マニファクチャラー
[編集]順位 | マニファクチャラー | STP | PHX | LBH | ALA | IMS | INDY | DET | TEX | ROA | IOW | TOR | MDO | POC | GAT | POR | SNM | ポイント | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ホンダ | 1 | 2 | 1 | 2 | 2 | 3 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1467 |
2 | 3 | 3 | 3 | 3 | 4 | 2 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 2 | 3 | 3 | 2 | 2 | |||
96* | 76 | 91* | 76 | 75 | 67 | 96* | 91* | 90* | 75 | 90* | 90* | 96* | 90* | 77 | 95* | 96* | |||
2 | シボレー | 7 | 1 | 2 | 1 | 1 | 1 | 7 | 2 | 2 | 1 | 2 | 2 | 3 | 2 | 1 | 4 | 3 | 1203 |
10 | 7 | 7 | 9 | 6 | 2 | 9 | 7 | 10 | 7 | 4 | 5 | 4 | 5 | 4 | 6 | 4 | |||
46 | 81* | 66 | 77* | 84* | 98* | 48 | 66 | 61 | 82* | 73 | 71 | 67 | 71 | 87* | 61 | 67 |
- 全てのマニファクチャラーポイント(予選ポイント、レース終了ポイント、レース勝利ボーナスポイントを含む)は、シーズンフル参戦ドライバーのみが獲得できる[71]。
- それぞれのレースにおいて、各マニファクチャラーの上位2名のドライバーがポイントを獲得できる。優勝マニファクチャラーは追加ポイントが5点付与される。追加ポイント獲得は太字表記。
- インディ500を除く全てのレースで、ポールシッターのマニファクチャラーに1ポイントが与えられる。インディ500では土曜の予選の最速ドライバーに1ポイントが与えられ、日曜日のポールシッターには2ポイントが与えられる。追加ポイント獲得は斜体。ゲートウェイは予選で雨が降ったためポールポジションにポイントは与えられなかった。
- 各レースの最高ポイントはアスタリスク(*)付き。
- インディ500で使用されている全シーズンエンジンの総走行距離が2,000マイルに達すると、マニファクチャラーはレース順位と等しいボーナスポイントを獲得できる。
- ポイントが並んだ場合、勝利数、2位、3位の順で比較されていく。
脚注
[編集]- ^ ステファン・ウィルソンはインディカー・シリーズにおいてルーキーと見なされる。しかしながら、2016年のインディ500に参加経験があるため、2018年のインディ500ではルーキーではない。
- ^ このレースでは2つのグループで予選が行われ、それぞれのグループの最速ラップ記録者がポイントを獲得した。2つのグループの最速タイムで速い方がポールポジションを獲得し、もう一方はフロントローの外側となる。アンドレッティは全体の最速タイムを記録し、ポールポジションを獲得した。スコット・ディクソンがもう一方のグループの最速タイムを記録し、ポイントを獲得した。
- ^ このレースでは2つのグループで予選が行われ、それぞれのグループの最速ラップ記録者がポイントを獲得した。2つのグループの最速タイムで速い方がポールポジションを獲得し、もう一方はフロントローの外側となる。ロッシは全体の最速タイムを記録し、ポールポジションを獲得した。ロバート・ウィケンズがもう一方のグループの最速タイムを記録し、ポイントを獲得した。
- ^ このレースの予選は悪天候のためキャンセルされた。グリッドはエントリーポイントによって設定されたので、スコット・ディクソンがポールポジションを獲得した。このため、ポールポジション獲得でのボーナスポイントは得られなかった。
参照
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