高速マリン・トランスポート
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登記上の本社は双日東京本社である。 | |
| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 市場情報 | 非上場 |
| 本社所在地 |
〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビル |
| 設立 | 2016年(平成28年)2月19日 [1] |
| 法人番号 | 8010001173794 |
| 主要株主 |
双日 日本通運 リベラ 津軽海峡フェリー 東洋マリーンサービス 新日本海フェリー ジャパン・マリタイム・トランスポート ゆたかシッピング |
高速マリン・トランスポート株式会社(こうそくマリン・トランスポート)は、防衛省のPFI事業「民間船舶の運航・管理事業」の実施主体として2016年2月19日に設立された特別目的会社(SPC)[2]。
双日、日本通運、リベラ、津軽海峡フェリー、東洋マリーンサービス、新日本海フェリー、ジャパン・マリタイム・トランスポート、ゆたかシッピングの8社が同事業に入札するにあたって設立した[3]。「ナッチャンWorld」と「はくおう」の2隻の高速フェリーを保有し、自衛隊および在日米軍の輸送業務(訓練や災害派遣の輸送)を請け負う他、一般向けのクルーズなど観光船としても運航する。登記上の本社住所は双日東京本社が入居する飯野ビルディングであり、独自のオフィスは無く営業担当者が数名いるだけである[4]。
設立の経緯
[編集]防衛省は2014年以降、尖閣諸島を含めた南西諸島有事への対応や、在日米軍の輸送任務も想定して[3]、新日本海フェリー所有の「はくおう」と津軽海峡フェリー所有の「ナッチャンWorld」を借り上げることで、有事の際に自衛隊の要請から72時間以内に出航可能な体制を確立した[3]。
しかし、民間の乗組員が所属する全日本海員組合の意向により運航が左右されることから[5]、有事の輸送を民間の協力に頼るのではなく、防衛省自身のPFI事業(Ⅰ期大型旅客船事業)として実施する方針が定められ、2016年2月19日に高速マリン・トランスポートが設立された。設立にあたって従来使用していた「ナッチャンWorld」(防衛省では1号船舶と呼称)と「はくおう」(同2号船舶)を2隻合計250億円で買い上げたうえ[3]、自衛隊専用として各種改修を施した[3]。乗組員は民間船員を予備自衛官として運航する案もあったが、全日本海員組合が「事実上の徴用だ」として反対したため[4]、有事の際には自衛官を充当することで対応した[6][7]。
なお、高速マリントランスポート設立直前である2016年2月に発生した北朝鮮による弾道ミサイル発射実験において、全日本海員組合はミサイルの飛行経路にあたる石垣島へのパトリオットミサイル配備輸送[5]要請(往路2月7日)を有事協力として拒否、防衛省は他社の定期航路を利用した輸送のみ協力という形だけで対応した[8]。2月10日に予定された復路輸送についても交渉が決裂し、2月15日に新日本海フェリー側に運行の断念[9]させた事案が発生している。
実運用
[編集]2016年4月に発生した熊本地震の際には、「はくおう」を利用して熊本県八代港への陸上自衛隊の災害派遣が行われた[10]。5月下旬まで被災者向けホテルシップとして利用されたが、元が民間のフェリーで大浴場やレストランを備えるなど居住性に優れていたため被災者からは好評であった[3]。
2020年の新型コロナウイルス感染症への対応では「はくおう」が、チャーター機で武漢から退避した民間人の一時隔離施設として検討・実施された[11][12]ほか、横浜港にて客船ダイヤモンド・プリンセスにおける集団感染に対しての支援拠点として用いられた[13][14]。
2024年1月発生の能登半島地震では、はくおうが石川県七尾港に入港して被災地への緊急物資輸送を実施、14日からは船内に於いて被災地住民への入浴支援、洗濯支援、船室内ベッドでの一時休息等にも使用される[15]。
「ナッチャンWorld」は函館港、「はくおう」は相生港を母港としており、平時は一般向けクルーズで運航されるなど、民間で利用することも可能である[16]。
本事業は2025年12月31日をもって契約期間満了により終了となっており[17]、後述の次期(Ⅱ期大型旅客船事業)契約に移行している。
事業管理分担
[編集]| 社名 | 担当業務 | 担当船舶 |
|---|---|---|
| 双日 | 全般管理(財務等) | |
| 日本通運 | 全般管理(調整等) | |
| 津軽海峡フェリー | 船舶改修等 | ナッチャンWorld |
| リベラ | 船舶維持管理 | |
| 東洋マリーンサービス | 船員雇用・運航 | |
| 新日本海フェリー | 船舶改修等 | はくおう |
| ジャパン・マリタイム・トランスポート | 船舶維持管理 | |
| ゆたかシッピング | 船員雇用・運航 |
高速マリン・トランスポート2株式会社
[編集]|
登記上の本社は双日東京本社である。 | |
| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 市場情報 | 非上場 |
| 本社所在地 |
〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビル |
| 設立 | 2025年(令和7年)3月3日 |
| 法人番号 | 8010001173794 |
先述の事業(Ⅰ期大型旅客船事業)の契約期間は2016年3月11日から2025年12月31日までとなっており[18][17]、次期(Ⅱ期大型旅客船事業)契約については2025年3月3日、新たに設立された本企業が受注している[19][20][21][17]。契約期間は2025年3月31日から2035年12月31日までとなっている。
Ⅱ期大型旅客船事業では、2026年より元新日本海フェリー「はまなす」(→はくおうII)・元津軽海峡フェリー「ブルールミナス」(→ナッチャンNEO)が運航されている[22]。
脚注
[編集]- ↑ “国税庁法人番号サイト”. 国税庁. 2020年2月2日閲覧。
- ↑ “防衛省 有事輸送、民間の2隻確保 船員予備自衛官化”. 毎日新聞 (2016年3月17日). 2020年2月2日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 “自衛隊で第二の人生 北海道と本州をつないだフェリーの「はくおう」「ナッチャンWorld」”. 産経ニュース (2017年2月1日). 2020年2月2日閲覧。
- 1 2 “有事の民間船動員請け負い会社/登記住所に事務所無し/巨額な契約 疑問の企業実態/大手商社「双日」内に”. www.jcp.or.jp. 2025年5月5日閲覧。
- 1 2 “船員組合に運行が左右される自衛隊の海上輸送”. Wedge infinity (2016年10月6日). 2020年2月2日閲覧。
- ↑ “「どこのフェリー?」自衛隊車両を積み込む謎の“民間船” 実は離島防衛の頼れる助っ人 船内大浴場も”. 乗りものニュース (2023年3月8日). 2025年5月5日閲覧。
- ↑ 軍事的緊張下における民間海上輸送の限界 (PDF)
- ↑ “自衛隊輸送 契約船使えず”. 讀賣新聞. (2016年9月6日)
- ↑ “防衛大臣が自衛隊に「破壊措置命令」を発動” (PDF). 船員しんぶん (2016年2月25日). 2016年5月10日閲覧。
- ↑ “熊本地震で「初物」も多い自衛隊の災害派遣”. サンケイスポーツ. 産業経済新聞社 (2016年5月1日). 2020年2月2日閲覧。
- ↑ “新型肺炎 第3便149人が帰国”. 東京新聞 (2020年1月31日). 2020年2月2日閲覧。
- ↑ “防衛省、武漢帰国者の滞在先に契約フェリーを検討”. サンケイスポーツ. 産業経済新聞社 (2020年1月30日). 2020年2月2日閲覧。
- ↑ “防衛省がクルーズ船「はくおう」を横浜港に 新型コロナウイルス対策の拠点に”. 横浜経済新聞. (2020年2月8日)
- ↑ 新型コロナウイルス感染拡大を受けた防衛省・自衛隊の取組 (PDF) - 防衛省
- ↑ “石川県 七尾港で大型フェリーで避難者受け入れへ 県内はまだ約2000人の孤立状態”. 日テレNEWS. (2024年1月13日)
- ↑ “自衛隊員や物資輸送の民間船を公開 横浜港で性能披露”. 産経フォト (2017年2月28日). 2020年2月2日閲覧。
- 1 2 3 “(28)⺠間船舶の運航・管理事業(PFI船舶)経費” (PDF). 財務省. 2025年7月10日閲覧。
- ↑ “民間船舶の運航・管理事業に関する事業契約内容の公表について” (PDF). 防衛省 (2016年3月15日). 2025年7月10日閲覧。
- ↑ METI/経済産業省. “高速マリン・トランスポート2株式会社 | 3010001252909 | Gビズインフォ”. info.gbiz.go.jp. 2026年3月7日閲覧。
- ↑ “別紙 事業契約の内容の公表について” (PDF). 防衛省 (2025年5月9日). 2025年7月10日閲覧。
- ↑ “(法人名)の情報”. www.houjin-bangou.nta.go.jp. 国税庁法人番号公表サイト. 2025年7月10日閲覧。
- ↑ “東京に現れた「謎の青白フェリー」じつは自衛隊向け! 元「日本最速」の巨船 防衛省はどう使う?”. 乗り物ニュース. メディア・ヴァーグ (2026年2月15日). 2026年3月7日閲覧。