錦市場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
Nishiki Ichiba by matsuyuki.jpg

錦市場(にしき いちば)は、京都市中京区のほぼ中央に位置する錦小路通のうち、「寺町通 - 高倉通」間に存在する食品販売中心の商店街である。京野菜といった生鮮食材のほか、乾物漬物、おばんざい(京言葉で日常の惣菜)などの加工食品を商う老舗専門店が集まる市場。京都独特の食材は、ほぼここで揃う。

中小企業庁によれば、商店街の類型として超広域型商店街とされる。京都錦市場商店街の名称で2006年5月、「がんばる商店街77選」の一つに選ばれた[1]

概要[編集]

鮮魚店

市場のおこりは平安時代、豊富な地下水を利用して京都御所へ新鮮な魚を納める店が集まり始めたもので、約1300年の歴史を持つ。京都市民からは「にしき」という愛称で呼び親しまれ、「京の台所」として地元の買い物客で賑わう。

近年は新京極商店街や寺町京極商店街とともに、観光客や修学旅行生が訪れる活気のある観光名所としても賑わう[2]昭和時代に、中央卸売市場の開設[3]や地下水の枯渇、大手スーパーマーケットの進出など、存続の危機を迎えた。卸売から小売へのシフトを図りながら、現在に至る。

スーパーマーケットや百貨店と違い、ここでは新鮮なの食材の品質の良さや豊富な品揃えが支持されて、市民生活と密着しているところが最大の特徴となっている。そのため価格を高めに設定する店もあるが、高品質や豊富さから「ほんまもん」(本物)を扱っていると信頼し、納得する市民は少なくない。他地域で「錦市場」を銘打つ店が増え、品質を維持するためにも京都府内の商店街で初めて「錦市場」の商標登録を取得している[1]。一方、臨時に「にしき」と銘打った食品コーナーを設ける百貨店も登場している。

漬物店

京都の目抜き通り四条通の一本北の錦小路通に位置し、赤緑黄の色鮮やかなアーケードに覆われた石畳の道の距離は、およそ東西390メートル。商店街振興組合に所属する店は約130店舗。道幅は3.2 - 5メートルだが、道に迫り出して商品や商品棚を並べる店舗が少なくなく、実際はもっと狭い。東の端は、新京極と交差し、その先に錦天満宮がある。

ここで業務用の食材を仕入れる割烹、料亭旅館なども多い[4]。一般向けには京都名物のぐじ笹かれい浜焼き鯖琵琶湖産の淡水魚など鮮魚を扱う店が20店舗以上と一番多い。そのほか伝統野菜とも呼ばれる京野菜、京漬物豆腐湯葉ウナギ蒲焼など)、佃煮蒲鉾干物乾物などから菓子パン寿司まで京料理向け食材や日常の食品は大体ここで揃えることが可能である。

マグロのヅケ

豆乳ソフトクリームや豆乳ドーナツ[5]、あるいはマグロヅケ[6]などあまり見かけないものも売られ、また試食品を出す店もあり[7]、食べ歩きを楽しむ人もいる。さらに茶房を出店しておむすびを供する米屋[8]定食を供する八百屋[9]、カウンターで焼きたてのカキを供する魚屋など、市場内で飲食を楽しむこともできる[10][11]

このため「京の台所」とたとえられることも多い。2018年4月には、食文化の発信拠点として「斗米庵(とべいあん)」が開設された[12]

年の暮れには正月用の食材を求める客であふれる。営業時間は店にもよるが、おおむね午前9時から午後5時までが目安となっている。水曜日と日曜日に休業する店が多い。

友好提携市場[編集]

フィレンツェ中央市場のパスタ乾物屋。拡大すると日本語の品名表記が見える

2006年11月3日、錦市場商店街振興組合はイタリア共和国トスカーナ州フィレンツェ市公設の中央市場(Mercato Centrale。通称: サン・ロレンツォ市場[13][14][15][16][17])と知名度向上、観光客誘致、および相互理解を目的に友好提携を結んだ。1965年以来フィレンツェ市は京都市の姉妹都市で、四十周年を記念して始めた「錦市場でフィレンツェ・トスカーナを捜そう」(2005年1月 - )などのイベントを通じ[18]、錦市場がフィレンツェと食文化交流を続けてきた成果の一つである。イタリア発祥の「スローフード運動」に学ぶことも目的の一つとなっている[19]。友好提携締結の翌2007年の4月24日から26日にかけて中央市場関係者を招いて同市場内でフィレンツェ市の食材を紹介するイベントを開き、近隣のイタリア料理店の協力をえて関連ブース四店を開設、無料のワイン試飲やトスカーナ伝統料理の試食を通しフィレンツェの食文化を紹介した[20][1]。京都府とトスカーナ州の「経済・環境交流提携等に関する協定」(2006年11月締結)[21]について山田啓二京都府知事と会談するため初来日したトスカーナ州のクラウディオ・マルティーニ (Claudio Martini) 州知事も同イベント会場を友好訪問している。

ギャラリー[編集]

[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b c がんばる商店街77選:京都錦市場商店街(中小企業庁)
  2. ^ All About: 錦市場のおいしい歩き方
  3. ^ 京都市中央卸売市場第一市場京都市中央卸売市場第二市場
  4. ^ 京都市観光文化情報システム: 「京都錦市場商店街振興組合 (錦市場)」[1]
  5. ^ 豆腐店「こんなもんじゃ」[2]
  6. ^ 鬼天狗のローカルフード万歳!!: 「鮮魚 木村 (京都@錦市場)」[3](2006年5月27日)
  7. ^ ランキンの楽園: 「京都 錦市場試食ひと刺しの値段ランキン」[4]
  8. ^ 中央米穀[5]の「おむすび茶房」
  9. ^ たち吉、ご飯ばなしNo2: 「京都錦市場 高級野菜の池政さん、[6]
  10. ^ 京都錦市場商店街振興組合: 「錦市場イート・イン」[7]
  11. ^ まいにちをおいしくたのしくBlog: 「京都の台所 錦市場で買い食い(京都)」[8](2007年3月19日)
  12. ^ 京の台所・錦市場で食文化体験…「斗米庵」7日オープン 購入食材を目の前で調理産経WEST2018年4月4日(2018年5月22日閲覧)。
  13. ^ トスカーナ 「進行中」 In Corso d'Opera: 「サン・ロレンツォ市場と錦市場姉妹提携」[9](2006年11月6日)
  14. ^ SanLorenzo.Firenze.it: San Lorenzo Mercato Centrale [10]
  15. ^ VirtualTourist.com: San Lorenzo Market [11]
  16. ^ Tuscan Collection: Florence Central Market [12]
  17. ^ geobeats.com: Video Tour. Information on San Lorenzo [13](動画)
  18. ^ YouTube: 錦市場でフィレンツェ トスカーナを探そう
  19. ^ 『日本経済新聞』「京都・錦市場、伝統にブランドで“味付け”」(2006年3月31日)
  20. ^ 錦暮らし: 「イタリア料理とワインをどうぞ」[14](2007年4月24日)
  21. ^ 京都府(インターネット知事室): 「トスカーナを訪れて・・・」[15](2006年12月6日))

文献[編集]

  • 濱田千香『きょうの漬け物』リトルモア、2006年12月、ISBN 4898151981 - 錦市場の漬物屋に勤める著者による漬物と京都の歳時記。

関連項目[編集]

  • 伊藤若冲 - 18世紀に活躍した錦小路の青物問屋(現存せず)出身の絵師。錦高倉市場閉鎖の危機の際には、町年寄として奔走し、市場を公認させた。

外部リンク[編集]