警察庁次長

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警察庁次長(けいさつちょうじちょう)は、警察庁次長たる警察官である。

地位[編集]

警察庁長官を補佐するとして置かれている[注釈 1]階級警視監。俸給は指定職6号俸で、これは一部の外局長官などと同等である。

階級と給与面でみると、警視監の階級にある警察官をもって充てる指定職6号俸の職であることから、指定職7号俸の警視総監より下位であるが、警視総監の権限は警視庁(東京都)のみに限定されているのに対して、警察庁次長の権限は警視総監を含めた全国の警察に及ぶ。何らかの理由で長官が不在であれば、次長が長官の代理として命令を出すこともあり、その命令を東京都の警察責任者である警視総監が受ける場合もある。このため、警察庁次長は警視総監に対して「階級は下だが、権限は上」と見なすこともでき、警視監の階級においては警察組織全体において序列1位である。

上記のような事情もあって、人事の実務上、警察庁次長は次の警察庁長官となるべき者のポストとして運用される[1]と共に、現職の警視総監よりも入庁年度が1年ないし数年早い者を充てることが通例とされている。これにより、警察庁次長が警察庁長官に昇格した際に、警視総監との地位の上下関係が正常に戻る。

現職者[編集]

歴代[編集]

氏名 就任年月日 後職
國松孝次 1993年9月10日 警察庁長官
井上幸彦 1994年7月12日 警視総監
関口祐弘 1994年9月9日 警察庁長官
田中節夫 1997年3月31日 警察庁長官
佐藤英彦 2000年1月11日 警察庁長官
漆間巌 2002年8月2日 警察庁長官
吉村博人 2004年8月13日 警察庁長官
安藤隆春 2007年8月16日 警察庁長官
片桐裕 2009年6月26日 警察庁長官
米田壮 2011年10月17日 警察庁長官
金髙雅仁 2013年1月25日 警察庁長官
坂口正芳 2015年1月23日 警察庁長官
栗生俊一 2016年8月10日 警察庁長官
三浦正充 2018年1月18日 警視総監
松本光弘 2018年9月14日 警察庁長官
中村格 2020年1月17日 警察庁長官
露木康浩 2021年9月22日 警察庁長官
緒方禎己 2022年8月30日 警視総監


脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 警察法第16条第2項により警察庁次長の任命権者は警察庁長官である。

出典[編集]

  1. ^ ただし、警察庁次長から警視総監に就任した者もおり、その例として、70代土田國保、73代下稲葉耕吉、75代鎌倉節、77代仁平圀雄、80代井上幸彦、95代三浦正充、99代緒方禎己が挙げられる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]