船霊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
船霊を祀る神社の例。大阪府住吉大社・船玉神社。

船霊(ふなだま)とは海の民が航海の安全を願う神。船玉とも表記する。また、地方により、フナダマサンフナダンサンオフナサマなど、様々な異名がある。

天平宝字6年(762年)に嵐にあった遣渤海使船能登で、無事の帰国を船霊に祈ったことがあり、起源は相当古いようである[1]

御神体が有る場合と無い場合がある。ある場合は人形銅銭、人間の毛髪五穀などを船の柱の下部、モリとかツツと呼ばれる場所に安置し、一種の魔除け・お守り的な役目を果たす。また、陸上に船霊を祀る神社をおく場合もある。近年では地上の寺社のお札を機関室などに納めることが多いようである。御神体が無い場合でも正月11日に船霊祭等と称して儀礼を行ったり、船迎えという行事を行うところもある。

全国的に、船霊は女の神であるとされる。海上に女性を連れて行ったり、女性が一人で船にのったりすると、憑かれたり天候が荒れたりするとして忌む傾向がある。元来は巫女が入ったものと考えられ、その女性を指して「オフナサマ」といったためにこのようなタブーができたと考えられる

船霊を主に祀るのは漁民の他、船大工である。船が完成すると棟梁は船霊をまつる儀式を執り行う。海上では「カシキ」と呼ばれる、炊事を担当する少年が稲穂などを捧げて世話をした。

神体としてのサイコロは二つで、「天1地6、表3あわせ艫4あわせ、中にどっさり(5)」になるように据えたという

モリやツツからでる「ぢっちんぢっちん」という音は、神の垂れる(ソシル、イサム、シゲルという)、神託と捉られた。

なお、船霊祭を行い、船霊を奉安する事が古くよりある。続日本記では淳仁天皇2年(758年)8月に船霊祭を行ったとある。さて、船霊祭は各に多様な神事が伝承されているが、下記は出雲大社での儀式の概要である。

海外で船霊にあたるものとしては、西洋で船首や船尾に取り付ける女神像などが上げられる。また、中国媽祖なども近い存在といえよう。

脚注[編集]

  1. ^ 『続日本紀』巻24、天平宝字7年8月壬午(12日)条。
  2. ^ 『出雲大社教布教師養成講習会』発行出雲大社教教務本庁平成元年9月全427頁中280頁

参考文献[編集]