立喰師
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立喰師(たちぐいし)とは、押井守が関わるアニメ、映画などの作品に登場する架空の職業。また、それを生業とする人物の事。
概要
[編集]押井の「もし仕事を辞めたらこんなことをしてみたい」という妄想から生まれた架空の職業。飲食店で話術や奇行など様々な手段を用いて店員を圧倒し、その隙に飲食代金を支払わずに店を出る者のこと。またライバル店を潰すために兵隊として雇われることもある。その手法は暴力や恫喝を用いず、一種の芸の域に達しており、その点が単なる食い逃げ・無銭飲食とは異なる。
押井本人によれば、タイムボカンシリーズで「立ち喰いのプロ」を登場させたのが始まりだという。以後、押井が関わる作品ではしばしばスター・システム的に立喰師が登場し、ライフワークと公言するようになる。
その集大成となるのが『立喰師列伝』である。
押井守が関わる作品で立喰師が登場するもの
[編集]五十音順に
- 紅い眼鏡/The Red Spectacles
- 都々目紅一(千葉繁)は、非合法の立ち喰いそば屋(作品世界では立ち喰い店は非合法化されている設定)に立ち寄り、月見の銀二(天本英世)と接触する。その時の会話で、後に『立喰師列伝』に登場する牛丼の牛五郎、中辛のサブ、ハンバーガーの哲、『真・女立喰師列伝』に登場するクレープのマミも名前だけ登場する。また立ち喰いそばの店主は『立喰師列伝』と同じく品田冬樹が演じている。また本作のラジオドラマ「紅い眼鏡を待ちつつ」[1]においては大塚明夫演じる公安が、帰国する都々目紅一に対する張り込みを行いながら、後輩達に立喰師に関する講釈を垂れるシーンがある。また、最後には件の公安は危険思想の持主として後輩から上層部への報告が行われる。
- うる星やつら(1981年版テレビアニメ)
- 第99回・122話「必殺! 立ち食いウォーズ!!」は、エピソードそのものが立ち喰いをテーマとしたものである。ケツネコロッケのお銀、ケツネタヌキの竜(お銀の師匠)が登場。他に名前とワンカットの紹介で、中辛のサブ、牛丼の牛五郎、クレープのマミ、ダース・ベイダーによく似た姿の帝国派など様々な立喰師が登場する。映画版『立喰師列伝』の公開初日の舞台挨拶によると、第122話でのメガネに相当するのが『立喰師列伝』の店長神山とのことである。
- 機動警察パトレイバー
-
- 旧OVA第5〜6話「二課の一番長い日(前編・後編)」に立ち喰いシーンがある。第5話では、篠原遊馬が苫小牧駅構内の立ち喰いソバ屋の店主に代金はいらないと言われ、結果的にではあるが追加注文したコロッケ、生卵、おいなりさんの分の無銭飲食を果たした。また第6話では、遊馬が立ち喰いソバ屋にやって来た甲斐冽輝の様子を「ネギ抜きで唐辛子をガンガンかけて、『立ち喰いのプロ』のような凄ぇ食い方で」と後藤に報告する。
- 新OVA第10話「その名はアムネジア」では、元立喰師「冷やしタヌキの政」が大田の説教によって更生したという思い出を語る。
- 劇場版第2作の小説版「TOKYO WAR」では、荒川と後藤が立ち喰い蕎麦屋でカケを手繰るという、アニメにはないシーンがある。他作品の立ち喰いと同様、このときの飲食代金は支払われていない。店主の弱みを荒川が握っているのではと後藤は勘ぐっているものの、理由は明らかにされていない。
- 『THE NEXT GENERATION』作中ではしばしば特車二課格納庫内での食事シーンが登場する。他の作品と違い無銭飲食ではないが、そのシーンで使われているBGMのタイトルが『立喰の朝』である。
- 逆転イッパツマン
- 第14話において、立ち喰いのプロとして「ケツネコロッケのお銀」を名乗る人物が登場するが、その正体はバイト中だったコスイネンとキョカンチンを連れ戻しにきたムンムン。
- また、コスイネンも「月見(そば)のコスイネン」の異名を持つことが14話で明かされた。
- ちなみに後に製作されたOVA「タイムボカン王道復古」ではボヤッキーにそば作りを教えたという設定になっている。
- ケータイ捜査官7
- 押井守が監督を務める第19、20話「圏外の女(前後編)」において、お七(安藤麻吹)が主人公・網島ケイタ(窪田正孝)のスクーターに細工をし、熱海に足止めして、食事・宿泊代をおごらせる。話の中において立喰師である事を明示してはいないが、話術・奇行などを用いておごらせている事や、1回の食事で大量に食べている事から、立喰師を彷彿させる。
- なお、店に対する無銭飲食ではなく、誰かにおごらせるタイプの立喰師として他に真・女立喰師列伝「Dandelion 学食のマブ」より学食のマブ(お七と同じく安藤麻吹が演じている)がいる。
- ケルベロス×立喰師 腹腹時計の少女
- 押井守のもう一つのライフワークであるケルベロス・サーガの世界で、ケツネコロッケのお銀を主人公にした物語。ISBN 9784199500596
- 犬狼伝説 Kerberos Panzer Cop 完結編
- 冷やしタヌキの賢が、立ち喰い蕎麦屋マッハ軒で丼を使って特機隊員に撲殺される事件をドキュメンタリー風に描いている。このマッハ軒はアニメ版『うる星やつら』を始め、押井守が関わる作品にしばしば出てくる立ち喰い蕎麦屋と同名である。マッハは音速の意味ではなく、エルンスト・マッハの名前より採られている。
- 御先祖様万々歳!
- 第6話において、犬丸は麿子を探してさすらっている事を立ち喰い蕎麦屋の店主に話すが立ち喰いのプロである事を見破られる。演技派の立ち喰いのプロがどのように店主の情に訴えるかがわかる。
- サンサーラ・ナーガ
- 立ち喰いチェーン店「はらたま」に常駐している客として、「たちぐいのプロ」(原文ママ)というキャラクターが登場し、主人公に助言を与える。
- 立喰師列伝
- 立喰師自体を主題とした研究論文を模した形式の小説。後に映画化もされた。
- 舞台『鉄人28号』
- 押井守が脚本と演出を担当する舞台演劇。主演の南果歩が金田正太郎とケツネコロッケのお銀の2役を演じる。
- ヤットデタマン
- 第12話「危うし!ジュジャクの曲芸」において、悪玉四人組が立喰師行為で近隣の立ち喰い蕎麦屋や牛丼屋を荒らしまわる。ちなみにこのときの立ち喰い蕎麦屋の店主“立ち食いの竜”の声優は千葉繁であり、うる星やつらの「必殺! 立ち食いウォーズ!!」でメガネがそばを茹でていたシチュエーションとほぼ同じ。また、終盤の大巨神に対するお約束の猿芝居にも、ジュリー・コケマツが立喰師のテクニックを流用している。
オマージュ作品
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五十音順に
- シティーハンター (アニメ)
- シティーハンター2、第14話「第14話 愛はお金を越えるか? モッコリ対貯金娘」において、立喰師ならぬ架空の職業「スケコマ師」。早乙女組スケコマ師四人がゲストヒロインの宝田翔子を落とす為に競う。翔子はモデルをしつつ「ラーメン屋台」で働いていて、このシーンは『うる星やつら』の「必殺! 立ち食いウォーズ!!」のメガネがそばを茹でるのとほぼ同じ。お金持ちがレオパルドらしき戦車に乗って出て来たり、『うる星やつら』のオマージュとなっている。ラストはリョウがパイソンで戦車の砲塔にピンホールショットで撃破し、早乙女組組長がスケコマ師の冴羽リョウに跡目を継いでくれと迫る。早乙女はゲッターロボ・らんま1/2、組長を頼まれるのはジェッターマルスの20話「マルス若親分になる」、冴羽リョウ(声・神谷明)とトム(声・塩沢兼人)の対決は北斗の拳などのオマージュ。
- シティーハンター ベイシティウォーズ(1990)にて類型が認められる。冴羽リョウがホテルの警備員からサンドイッチをくすねる。招待客である槇村香が食べ放題のホテルにて、テーブルの下に食べ物を隠す。それを後で冴羽リョウが食べる。スケコマ師か?
- タイムボカン王道復古
- 第2話「タツノッコン王国で同窓会だコロン」にて、ボヤッキーが国分寺で経営する蕎麦屋に「タツノオトシゴコのマークと言えば」と言いながら回想に入り、科学忍者隊ガッチャマンの大鷲の健、コンドルのジョー、白鳥のジュン、燕の甚平、みみずくの竜、南部考三郎博士が食い逃げをした話をするシーンがある。
脚注
[編集]関連項目
[編集]- 立ち食い
- 詐欺罪
- 無銭飲食
- アルシャードトライデント 押井のファンを公言する小太刀右京が立喰師を意識した演出を見せ、「立喰師列伝」にも言及している。
- 時そば - 「時蕎麦屋せいえもん」が立喰師の源流とされている。