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異世界 (ジャンル)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

フィクション作品における異世界(いせかい)とは、ファンタジー作品の派生ジャンルのひとつ。

魔法などが存在する異界(主に中世ファンタジー的世界)が作品の舞台であることを特徴とする。現実世界から異世界への移動など2つ以上の世界や次元が出る場合をいう。

小説ライトノベル)、漫画アニメーション作品などで主に2000年代以降の日本で呼称されるようになり、主人公や主要人物が異世界に移動する「異世界転移」(または異世界召喚)、現世で死んでから異世界で生まれ変わる「異世界転生」、異世界の人物に心が乗り移る「異世界憑依」(成り代わり)などのさらなる細分化ジャンル分けもされている。

概要

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物語の類型として、近代人が中世ヨーロッパもしくはそれに似たファンタジー世界にタイムスリップまたは転移し、自分の時代の知識を持ち込むという設定の作品の早い例にルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』(1865年)、マーク・トウェインの『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー[1](1889年)、ライマン・フランク・ボームの『オズの魔法使い』(1900年)、C・S・ルイスの『ナルニア国物語』(1950年-1956年)などがある。これらは映画化されるなどして広まり異世界ものが世に普及していく。

欧米ファンタジーの影響を受けた異世界召喚ものの嚆矢は高千穂遙『異世界の勇士』(1979年)とみられている[2]。なお、1976年放送の『ポールのミラクル大作戦』は現実世界と「不思議な世界」とを行き来する異世界移動もので、魔王にさらわれたヒロインを取り戻して魔王を打倒するため冒険する物語であった。

1983年放送の『聖戦士ダンバイン』(ガンダムと同じ富野由悠季監督作品)は、異世界に召喚された人間を主人公とし操縦するロボットによる戦争が激化したことに憤った召喚者により、兵器と関係者が現実世界に放逐され異世界ともども世界規模の戦争になる展開であった。1984年には、ミヒャエル・エンデの異世界ファンタジー小説『はてしない物語』(1979年刊行)を映画化した『ネバーエンディング・ストーリー』が当時ヨーロッパ映画史上最大の制作費(2700万ドル)で公開され、興行収入1億ドル以上を記録して、同名の主題歌もヒットし、日本でも興収22億円のヒットとなっている[3]

1980年代には、テレビゲーム・ファミコンのブームと普及によりテレビゲームを原作とし、主人公達がゲーム世界で冒険を繰り広げるアニメ作品も出てくる。『スーパーマリオブラザーズ ピーチ姫救出大作戦!』、『Bugってハニー』など。また、ゲーム作品のコロコロコミックなどでの漫画化やゲームブック(小説の一種)化の際や、テーブルトークRPGでは、ゲームをやる側(読者自身など)が異世界であるゲームの中の世界に移動するという設定のものも登場した。

1992年から刊行されている『十二国記』シリーズが累計1000万部を突破する人気作となるなど、異世界ものは継続的に人気を得続け(なお1994年には聖悠紀がコミック『黄金の戦士』を書いている)、今日の異世界転生ジャンルの広がりは、2004年から刊行された『ゼロの使い魔』のヒットから、小説投稿サイト小説家になろう」にて異世界を舞台とした作品が多数投稿され、そこから書籍化・コミカライズ・アニメ化される作品が増えていったことを発端として一気にブーム状態となる[4][5]

ヒーロー文庫」「アルファライト文庫」など、事実上の異世界専門レーベルも相次いで創刊され、異世界を舞台にした作品(またはファンタジーもの)の多いジャンルが「なろう系」と呼ばれるようになり[6]2015年から2016年にかけて募集・選考された「小説家になろう」開催の第4回ネット小説大賞では受賞作が軒並み異世界ものという事態になった[7]

異世界を題材にした作品があまりにも乱発され、各作品の相違も目立たなくなっているため、これを抑制しようとする動きさえある。2017年にはKADOKAWAのライトノベルレーベル「NOVEL 0」主催の小説コンテストや、文学フリマならびに「小説家になろう」協同主催のコンテストで、(タイトルに「異世界」を含まなくても)「異世界もの」の投稿の禁止が明示されるようになった[8]また、2018年に『週刊少年ジャンプ』が開催した新人賞「Jスタートダッシュ漫画賞」の投稿作で一番多かったのは主人公がいきなり死亡したり死後の世界から始まるもので、同誌は「衝撃的ではあるが、単に馴染みのない人間(キャラクター)が死んでいる、というだけでは興味を持ってもらいにくいぞ!どんなキャラクターがどんな死に方をするのか、というところまで踏み込んで描写してみよう!!」としている[9]

異世界転生を競技化し娯楽として観戦するなど、ジャンル自体をパロディ化した作品も発表されている[10]

区別

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「小説家になろう」では、「異世界転生」と「異世界転移」を以下のように定義している。

異世界転生
主人公が一度現世で死亡し、前世の記憶を持ち越したまま別の人物(キャラクター)として転生すること[11]。当てはまるものに、『無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜』や『私、能力は平均値でって言ったよね!』などがある。前者『無職転生』では転生直後から前世の記憶と意識があるのに対し、後者『私、能力は平均値でって言ったよね!』は成長してから前世を思い出すといった違いも見られる。
異世界転移
何らかの形で異世界へ移動する(または望まず移動させられる)こと[11]。当てはまるものとして元の世界から異世界に召喚されてしまう(『聖戦士ダンバイン』『Re:ゼロから始める異世界生活』など)、現実世界から何らかの人為的な方法で異世界へ移動する(『遥かなる異郷ガーディアン』など)がある。

他にも、「異世界憑依」があり、これは異世界で既に存在している人物の身体に入り込み、現地(異世界)の人物として生きることをさす。

(地球人から見た)異世界から現実世界(地球人の世界)に転移する作品(『はたらく魔王さま!』など)や、何らかの方法で「現実世界」と「異世界」を自由に往復できる作品(『異世界食堂』『異世界居酒屋「のぶ」』など)、異世界で活躍し役割を終えた後で現実世界に戻ってからの後日談を描いた作品(『はぐれ勇者の鬼畜美学』や『異世界おじさん』)も存在する。『十二国記』シリーズのように、複数の人間が異世界へ転移するが、異世界側では人が生まれる前に流されて地球で生まれることがあるという設定もある。また同作品には地球で生まれてしまったが、異世界へ連れ戻される人物も登場する。

その他、『この素晴らしい世界に祝福を!』や『異世界はスマートフォンとともに。』など、現実世界で一度死亡しながらも、人物としての同一性を保ったまま異世界に移動するという作品も存在する[注釈 1]

代表的な作品

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タイトルに「異世界」を含む作品

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タイトルに「異世界」を含まない作品

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脚注

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注釈

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  1. なお、前者「この素晴らしい世界に祝福を!」に関しては作中で転生という扱いになっており、実際同作のアニメ版第1期第1話のサブタイトルは「この自称女神と異世界転生を!」となっている。

出典

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  1. 山北篤『現代知識チートマニュアル』新紀元社、2017年4月17日、2頁。ISBN 978-4-7753-1495-1
  2. 異世界召喚・転移・転生ファンタジーライトノベル年表”. ブックオフオンライン. ブックオフコーポレーション (n.d.). 2020年7月13日閲覧。
  3. 参考として1984年公開のファンタジー映画『風の谷のナウシカ』は興収14億円、『ドラえもん のび太の魔界大冒険』は17億円(なお『のび太の魔界大冒険』も異世界ものである)。
  4. “異世界転生”アニメはなぜ増えた? 『ソードアート・オンライン』以降のWeb小説ブーム」『リアルサウンド映画部』blueprint、2017年2月19日。2020年7月13日閲覧。
  5. ライトノベル業界を席巻する異世界転生ブーム 書店員がトレンドの変遷を解説」『ABEMA TIMES』ABEMA、2017年5月5日。2020年4月17日閲覧。
  6. なろう系」『デジタル大辞泉プラス』コトバンクより2020年7月13日閲覧
  7. 異世界転生ライトノベルの人気の秘密を徹底解剖!”. P+D MAGAZINE. 小学館 (2016年11月17日). 2020年4月21日閲覧。
  8. ラノベコンテストで「異世界転生NG」の縛り広がる ネット民「これは朗報」と歓迎”. キャリコネニュース. グローバルウェイ (2017年5月18日). 2018年5月30日閲覧。
  9. 「第2回Jスタートダッシュ漫画賞募集」『週刊少年ジャンプ 2019年4月22日号』第52巻第17号、集英社、2019年4月8日、242頁。
  10. 異世界でいかに救世主となれるのか「超世界転生エグゾドライブ」コミカライズ」『コミックナタリー』ナターシャ、2020年3月30日。2020年4月17日閲覧。
  11. 1 2 ガイドライン || 「異世界転生」「異世界転移」のキーワード設定に関して”. 小説家になろう. ヒナプロジェクト (n.d.). 2020年7月13日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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