異世界食堂

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異世界食堂
ジャンル ファンタジー
小説
著者 犬塚惇平
イラスト エナミカツミ
出版社 主婦の友社
レーベル ヒーロー文庫
刊行期間 2013年 -
巻数 既刊3巻(2017年1月現在)
漫画
原作・原案など 犬塚惇平(原作)
作画 九月タカアキ
出版社 日本の旗 スクウェア・エニックス
掲載誌 ヤングガンガン
レーベル ヤングガンガンコミックス
発表号 2016年23号 -
発表期間 2016年11月18日 -
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異世界食堂』(いせかいしょくどう)は、犬塚惇平による日本のライトノベル

概要[編集]

2013年より『小説家になろう』で連載されている作品。2015年ヒーロー文庫主婦の友社)から書籍化されたほか、『ヤングガンガン』(スクウェア・エニックス)にて、2016年23号(2016年11月18日発売)から漫画版の連載もスタートしている[1]。なお『小説家になろう』版と文庫版では一部のキャラクターの設定が異なる。

アニメ化の企画もあるとされているが[1]、2017年1月現在詳細は明らかにされていない。

あらすじ[編集]

とある街、オフィス街に近い商店街の一角にある洋食屋『ねこや』。普段は普通の食堂なのだが、なぜか土曜日だけは扉が異世界につながる不思議な店。その土曜日になると、異世界のあちらこちらから様々な人々が食事を求めて来訪する。異世界の人々からはいつしか『異世界食堂』と呼ばれるようになった店の中での、時には店員と客、時には客同士の群像劇を描く。

主な登場人物[編集]

店員・関係者[編集]

店主
洋食屋「ねこや」の店主。先代夫婦の孫に当たり、先代の死去により店を受け継いだ。店を継ぐ前は中華料理屋で修行をしていた時期もあるため、洋食だけでなく和食・中華料理もだいたいのものは作れる腕前を持つ。土曜日は長年一人で店を切り盛りしていたが、来客数の増加や加齢による体力の低下の影響もあり、アレッタたちウェイトレスを雇い入れている。
アレッタ
「ねこや」でウェイトレスをしている魔族の少女。頭の両脇に、小さな角が2本生えている。元はたまたま見つけた食堂の扉に飛び込み、店の中で寝込んでしまった通りすがりに過ぎなかったが、本人の「働き口を探している」という言葉に店主が反応し、ウェイトレスとして雇われることになる。読み書きが出来ないため、注文は全て頭に入れている。後にサラの屋敷でメイドとして雇われ(「ねこや」で面識があるのが決め手になった)、平日はそちらで働いている。
『黒』
異世界にいる6柱の神のうちの1柱で『死を帯びた闇の力』を持つ。本来の姿は黒いドラゴンだが、その姿を自由に変えられる能力がある。普段は月に住んでいるが、なぜか月面に現れた食堂の扉に関心を持ち食堂に来訪、そこで店主の新作・チキンカレーにはまり、以後店のウェイトレス姿でカウンターの隅でチキンカレーを食べ続けるのが定番となった。ちなみに食事代はWeb版では『赤』が負担している設定だが、文庫版ではウェイトレスとして働くことで自ら食費を稼ぐ設定に変更されている。
山方大樹(やまがた だいき)
先代の「ねこや」店主。大連市で洋食屋を営む夫婦の下に生まれ、家出した後太平洋戦争終戦まで上海市で洋食のシェフを務めていたという経歴を持つ。50年前に「ねこや」を開店し、ヨミと共に店を切り盛りしていたが、10年前に死去。
ヨミ / 山方暦(やまがた こよみ)
先代店主の妻。元々は異世界における勇者の一人だったが、邪神との最後の戦いにおいて時空の狭間を通って終戦直後の日本に飛ばされ、そこで大樹と知り合い数年後に結婚した(戸籍については「戦災で焼失した」としてごまかした)。高い魔術の腕を持っており、30年前にたまたま異世界と日本をつなぐ魔道具を(骨董品として)入手したことで、「ねこや」の扉に異世界とつながる魔法をかけた。大樹の死を契機に孫(店主の兄)のところに移り住み店の経営から離れたが、今でもたまに店に顔を出す。
山方早希(やまがた さき)
店主の姪(兄の娘)で20歳。 今はウェイトレスとして働く、「ねこや」の後継ぎ候補。 アレッタと仲が良い。土曜日の特別営業を知っている数少ない人物。
店長
ねこやビルの1階にあるケーキショップ「フライングパピー」の店長。ねこや店主の幼馴染であり、両親が忙しく、よく「ねこや」に食事に来ていたため、土曜日の特別営業を自然と知る事となった。。大学生の頃に起こしたバイク事故で半身不随になりかけたが、先代店主が客から入手した異世界の薬で奇跡的に回復。
マスター
ねこやビルの2階にあるバー「レオンハート」のマスター。元サラリーマンで、全国を飛び回っていたが、早期希望退職後に「レオンハート」を開店。土曜日の特別営業を知っている数少ない人物の一人。

常連客[編集]

「ねこや」では、常連客は自らのお気に入りのメニューの名前で呼ばれるのが伝統になっている。

サラ・ゴールド(二代目メンチカツ
トレジャーハンター。実家は大商家だが冒険者を輩出する一族でもあり、伝説のトレジャーハンターとして知られる曽祖父ウィリアム・ゴールド(初代メンチカツ)の日記を手がかりに「ねこや」を訪れ、以後常連となる。アレッタをメイドとして雇い入れており、時折アレッタが「ねこや」よりお土産として持ち帰ってくる菓子類を楽しんでいる。
アルトリウス(ロースカツ
異世界では「邪神殺しの英雄」と呼ばれる大魔導師で、ヨミは共に邪神を倒した仲間。その高い魔力により、食堂の扉を呼び寄せることのできる魔法陣を作成できる能力を持つ。食堂では通常メニューの翻訳を任されたことも、ヴィクトリアを弟子に持つ。
ヴィクトリア・サマナーク(プリンアラモード
とある公国の公族に連なる姫であったが、両親とも人間であるにも関わらずなぜか自らはハーフエルフとして生まれてしまったため、公族として生きることを諦め、魔術師の道を目指した。その後アルトリウスに弟子入りしたことで食堂の存在を知り、食堂ではデザートメニューの翻訳を担当した。師同様に魔法陣で食堂の扉を呼び寄せることができる。プリンの保存のためだけに魔法を使った冷蔵庫を開発したほどで、必ず手土産にカスタードプリンを持ち帰る。ただし、2日に1回と決めているのに一度に2個食べたり、双子の甥と姪に食べられたりすることもある。
アルフォンス・フリューゲル(カレーライス
とある公国の将軍。20年前にモンスター相手の海戦で船を沈められ、たまたま漂着した孤島で食堂の扉を見つけ、以後食堂の常連となる。20年後にその島に偶然立ち寄った軍船により救助され母国に戻るが、食堂のカレーが忘れられず、伝手を頼って扉を探し出した。
セレスティーヌ・フレグラン(パウンドケーキ
光の神の高司祭。とある僧院の院長を務めているが、先代院長から食堂の扉の存在を受け継ぎ、すっかりケーキ類の虜となってしまう。しまいには自らの配下にある尼僧たちを連れて食堂を訪れるようになり、ブランデー等のコピーを試させるまでになった。
『赤の女王』(ビーフシチュー
異世界の神の1柱。本来の姿は赤い竜の姿をしており、人間に変身する事ができる(ただし、頭に生えている角と縦に瞳孔が入った目だけはそのまま)。先代店主との約束で、原則として店の他の客が帰った後最後に訪れることになっている。店主が寸胴いっぱいに仕込んだビーフシチューをまるごと持ち帰って楽しむのが定番である。「ねこや」に対し密かに『財宝を守るための呪い』をかけている(店員等も対象となる)。
ファルダニア
旅のエルフ。種族の特性上、肉や魚、乳や卵などを受け付けないが、その条件下でも毎回新たなメニュー(豆腐ステーキ、焼きおにぎり等)を提供してくる店主に刺激され、自ら料理人として各地を旅し修行に励むようになった。
ガガンポ(オムライス
リザードマンの部族『青き尻尾の一族』の若者。3年前の祭りで、先代勇者ゲルパから勇者の座を手にした。オムライスの大盛り2個を食べた後、必ずパーティー用のオムレツを3つ持ち帰るのが定番。
ハインリヒ・ゼーレマン(エビフライ
公国の騎士。モスマン討伐の途中でたまたま扉を見つけたが、金を持ってなかったため、ドワーフの名剣を店主に渡し去っていった。その3年後に剣を渡しに砦にやってきたタツゴロウに連れられ、常連となる。
ソウエモンとドウシュン(お好み焼き
山国の近衛侍ソウエモンと、海国の宮廷陰陽師ドウシュン。価値観(尊ぶ物)の違いから仲が悪いにもかかわらず、互いの話が有益なのでいつも同席している。
カタリーナ(ティラミス
光の神の大神官。竜に変身する力を持つ。息子でもある『白の子』が出入り禁止を喰らったため、代わりにねこやに赴いてティラミスを持ち帰っている。セレスティーヌとはケーキに魅了されたもの同士仲が良く、同席する事も多い。
『白の子』
カタリーナの息子。この世のものとは思えぬほどに白い肌と銀髪、黄金に輝く縦に瞳孔が入った竜の瞳を持つ。「ねこや」で出されたティラミスの味に感動し、店主を連れ去ろうとしたが、危機を察して入ってきた『赤の女王』につまみ出されて以来、扉に拒絶されている。
アーデルハイド(チョコレートパフェ
帝国の皇女。小さい頃に亡き祖父である初代皇帝ヴィルヘイムコロッケ)に連れられ、異世界食堂に来たことがある。16歳になって肺の病にかかり離宮で療養していたところ、寝室に扉が現れ、そこから常連となる。長音をはっきりと発音する癖がある(チョコレートパフェ→チョコレイトパフェ、シュークリーム→シュウクリイム)。
タツゴロウ(テリヤキチキン
西大陸出身(海国と山国のどちら出身かは不明)の老侍にして伝説の傭兵。食事の際は、ライス、味噌汁、たくあんを先に食べ、テリヤキチキンを肴に清酒を飲む。ハインリヒが異世界食堂においてきた剣を渡すために、彼がいる偏狭の砦へと赴き、異世界食堂へと誘う。
ティアナ・シルバリオ16世(クレープ
花の国に住む妖精の女王。半年前に突如現れた扉を通って異世界食堂入り。飲食後の対価は、ヴィクトリアが持っている。それ以降は国民から抽選で選ばれた200名と異世界食堂を訪れているが、「扉対策会議」と証したメニュー選定会議ではいつも重臣たちと揉めている。
エレンとヘルマン
木こりの夫婦。息子のカイと娘のボナと一緒に訪れるが、貧乏であるため4週間に1回しか来られない。読み書きが出来ないのでいつも日替わり定食を頼んでおり、店主もそのことを知っているため、メニューを渡されることはない。
シャリーフ(コーヒーフロート
砂の国の王子。国で普及していたカッファ(ホットコーヒー)の新しい飲み方として、魔法で冷やしたカッファを普及させた。アーデルハイドに求婚するため、帝国との繋ぎを作ろうとしている。
ラナー(クリームソーダ
シャリーフの異母妹。現国王が側室である宮廷魔術師に孕ませた子供。兄に対しては男っぽい言葉で歯に衣着せぬ言い方で接する。

設定[編集]

ねこやビル
オフィス街に近い商店街の一角にある3階建ての自社ビル。地下が洋食屋「ねこや」、1階がケーキ屋「フライングパピー」、2階がバー「レオンハート」、3階がねこや店主の住居という構成。ケーキ屋のケーキをねこやで販売する・ねこやの料理をバーに出前する・バーの焼酎/ウイスキー類をねこやの客に提供するといったように、店同士相互にやり取りがある。立地上サラリーマンの利用客が多く、休日は閑散としているため、対外的には「土日が定休日」となっている。
ねこやの扉
異世界と「ねこや」をつなぐ扉。異世界のあちこちにある日突然現れる。場所は街の中・砂漠・洞窟の中・孤島の山の上・月面など様々だが、一度扉が現れ始めるとその後は7日に1度定期的に出現するようになる。使用は1つの扉に付き1日1回限りで、扉を使うとその日はその扉は消滅する(つまり早い者勝ち)。ブラックリスト機能があり、過去に店で食い逃げなどのトラブルを起こした者については、たとえ店主が許していたとしても二度と扉を開けることができない(手がすり抜けてしまう。ただし他の人間が開けた扉を通ることは可能)。店を出ると、元々その客が店を入るときに通った扉の場所に戻される(店を経由して別の場所に移動することはできない)。
異世界
7日に1度「ねこや」の扉が現れる世界。海を隔てて、ヨーロッパ風の「東大陸」、アジア風の「西大陸」、それらと交流のない「南大陸」に分けられている。1ヶ月や1年の概念はあるが1週間の概念がないため、常連客は「ねこや」の扉が現れる日を「ドヨウの日」と呼んでいる。
東大陸
古い時代に、王国として統一された歴史を持つ。大国として王国帝国公国、小国として妖精の住む花の国、エルフの住む森都、その他がある。文化はヨーロッパ風、人種は白人系。主食はパンがメインだが、帝国の初代皇帝が「ねこや」から持ち帰ったダンシャクの実が急速に普及しており、パンと並ぶ主食となりつつある。
西大陸
東大陸とは逆に一度も統一された事がなく、独自の言語と文化が複数存在する。日本風の文化を持ち、お互いに仲が悪い海国山国、アラビア風の文化を持ち、国土の大半が砂に覆われた砂の国がある。人種はアジア系で、米が主食。
南大陸
東大陸や西大陸とは季節が逆で、交流のない大陸。表れる扉の数も、北に比べると少ない模様。人種はネイティブアメリカン系で、トウモロコシサツマイモが主食。
肉の日
毎月29日に行われるサービスデー。元々「ねこや」では料理を頼むとライスまたはパンと味噌汁が食べ放題になるが、この日は味噌汁が豚汁にグレードアップする。ただ29日が土曜日に当たるのは年1~2回しかないうえ、異世界と日本では暦が異なるため、常連客からは「突発的に行われる不定期イベント」として認識されている。ちなみに土曜日の豚汁は「(異世界の)客に不評」という理由から、平日と異なりゴボウが入っていない。

書誌情報[編集]

小説[編集]

  1. 『異世界食堂 1』2015年2月28日発売、ISBN 978-4-07-411329-3
  2. 『異世界食堂 2』2015年7月29日発売、ISBN 978-4-07-402158-1
  3. 『異世界食堂 3』2016年9月30日発売、ISBN 978-4-07-420009-2

漫画[編集]

脚注[編集]

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外部リンク[編集]