最高裁判所規則

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1947年頃の最高裁判所規則集。占領政策のため英和対訳形式となっている[1]

最高裁判所規則(さいこうさいばんしょきそく)は、訴訟に関する手続、弁護士裁判所の内部規律・司法事務処理に関する規則。日本国憲法第77条1項の実施に基づき、最高裁判所が制定する。職員の選考や勤務時間、諸費用、分限皇室会議裁判官司法修習生が身に着ける徽章(バッジ)の規定もこの規則によって定められている。

根拠の有無[編集]

最高裁判所の規則制定権は1947年の日本国憲法によって認められた。

〔最高裁判所の規則制定権〕
第七十七条
最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。[2]

他方、内閣は憲法の規定を実施するために政令施行令)を制定することを義務付けられている。憲法77条の規定の実施については裁判所法などの法律の本則には規則制定権の規定はなく[3]。施行令もないが、内閣が制定する施行令の不要性について特に議論があることもない。

〔内閣の職務権限〕
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。…

また、内国司法制度上、終審裁判所たる憲法裁判所が存在しないため、最高裁判所規則の法令審査権は最高裁判所が独占しており、外部審査機関はない。

〔最高裁判所の法令審査権〕
第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

概要[編集]

最高裁判所には規則制定諮問委員会として、一般規則制定諮問委員会、家庭規則制定諮問委員会などがあり、主に訴訟法に関する細則、裁判官の処遇に関する規則、司法行政に関する規則が設置されている。

規則は制定時には官報に掲載される他にはほとんど公開されていないが、裁判所の外部にある書籍としては1947年から1950年の規則集が存在する(2017年現在)。司法権の独立性を確保するという英米法の影響を受けた制度。

訴訟に関する手続に関する規則は、民事訴訟規則刑事訴訟規則などがあるが、法律が基本事項を定めたうえ規則はそれを補完するものとして制定されている。訴訟手続等に関する技術的側面については国会内閣よりも裁判所が定めた方が実際的であるという観点に基づいている。例えば、弁護士が訴訟手続に関与した場合の扱いや裁判文書の送付方法などが規定されている。

司法行政に関する規則は、司法修習委員会や各種資格試験委員会、判例委員会に関する規程や規則制定諮問委員会などに関する規程がある。

法律化[編集]

最高裁判所が所管する規則の内容は当然、裁判所法等の法律により国会が定めることができる。しかし多くは最高裁判所が定めているのが現状である。規則と法律が競合した場合、一般的に法律が優先すると解されている。

1947年に最高裁判所自身が定めた「裁判官報酬等暫行規則」(昭和22年最高裁判所規則第4号)が、のちに国会が制定した「裁判官の報酬等に関する法律(昭和23年7月1日法律第75号)」などに置き換わるなど、規則が法律化した例がある。2017年には裁判官の報酬以外の給与に関する規則(平成29年3月17日号外最高裁判所規則第l号)が設置された。

日本ではかつて規則の法律化に反対論を唱える勢力があったが、例えばフランスや韓国においては司法行政組織に関する規定は議会が定める「法律」となっている。

国際関係[編集]

国際法上は、司法機関の義務権利規定に、国際連合「法施行機関職員行動規範」、「司法部の独立に関する基本原則[4]、「バンガロール原則」、国際裁判官協会の「世界裁判官憲章」[5]などの規約・宣言等があるが、裁判所では国際規約等の内容の検討などは行っていない(2017年現在)。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ [#最高裁判所規則集|最高裁判所規則集]
  2. ^ 大審院の時代に検察庁が大審院内の部門であったことの影響。
  3. ^ かろうじて1954年5月27日附則や2017年附則など、附則の部分に最高裁判所規則の存在が伺えるのみである。
  4. ^ Basic Principles on the Independence of the Judiciary, United Nations. 1985.
  5. ^ The Universal Charter of the Judge, Ingernational Association of Judges. 1999.

外部リンク[編集]