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ブロンド (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ブロンド
Blonde
監督 アンドリュー・ドミニク
脚本 アンドリュー・ドミニク
原作 ジョイス・キャロル・オーツ
製作
出演者
音楽
撮影 チェイズ・アーヴィン
編集 アダム・ロビンソン[2]
製作会社 プランBエンターテインメント
配給 Netflix
公開
  • イタリアの旗 2022年9月8日[a]
  • アメリカ合衆国の旗 2022年9月16日
  • 世界の旗 2022年9月28日 (Netflix)
上映時間 167分[3]
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $22,000,000[4]
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『ブロンド』 (原題: Blonde)は、2022年に公開されたアメリカ伝記映画[5]

監督・脚本はアンドリュー・ドミニクジョイス・キャロル・オーツの同名小説の二度目の映像化[b]。アメリカの女優マリリン・モンローの生涯を、アナ・デ・アルマス主演で描く。

本作の映像は、4つのアスペクト比率、カラーと白黒が混在している[7]デデ・ガードナージェレミー・クライナー、トレイシー・ランドン、ブラッド・ピット、スコット・ロバートソンがプロデューサーとして名を連ね、2010年から始まった企画は、2019年8月ロサンゼルスで製作に入った。

2020年から続く新型コロナの流行のさなか、2021年7月に製作を終了。キャスティングや露骨な性的描写、動画配信サービスにおける初のNC-17指定映画である点など、様々な論争を引き起こした[8]

2022年9月8日第79回ヴェネツィア国際映画祭にてプレミア上映。同年9月16日より米国で限定公開され、9月28日からはNetflixで配信が開始された。


あらすじ

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子供時代のノーマ・ジーンは、精神的に不安定な母親のグレディスに育てられていた。ある日、ノーマから父親について尋ねられたグレディスは激昂し、ノーマをバスタブで溺れさせようとする。ノーマは逃げ出し隣人に保護されるが、数日後グレディスは精神病院に、ノーマも孤児院へと送られてしまう。

1940年代、マリリン・モンローの名でピンナップモデルになっていたノーマは芝居の世界を志すが、映画スタジオのMr. Zにレイプされる。1951年には、『ノックは無用』で役を獲得し、着々とキャリアを積み上げていく。キャス・チャップリンとエドワード・G・ロビンソン・ジュニアの2人と、彼女はポリアモリーな関係となる。しかし、エージェントからはパプリックな場で2人と会うなと指示される。彼女の中で、マリリンはノーマが演じるただの役、という感覚が深まっていく。

ノーマはキャスの子どもを妊娠するが、グレディスの精神病が遺伝する恐怖から中絶を決意する。手術後、キャスとエドワードと別れたノーマはジョー・ディマジオと出会い、ハリウッドからニューヨークへと活動の場を移し、真面目な演技に取り組みたい胸中を語る。『紳士は金髪がお好き』の撮影中から、彼女の父親を名乗る手紙が届きはじめる。映画のプレミアの後、ノーマはジョーからのプロポーズを、気乗りしない様子ではあったが受け入れる。だが、キャスとエドワードに見せられたノーマのヌード写真、『七年目の浮気』の白いドレスの宣伝行為などに嫌悪感を示したジョーとの結婚生活は悪化。ノーマはジョーから暴力を振るわれるようになり離婚する。

1955年、ブロードウェイのオーディションに参加したノーマは、劇作家のアーサー・ミラーと出会い結婚、メイン州へ移り住む。幸せな日々を過ごし、再度妊娠をするが、ビーチで転び今度は流産をしてしまう。悲嘆に暮れながらも映画の世界へと戻り、『お熱いのがお好き』を撮影中のノーマは精神的に不安定になっていた。現場では監督のビリー・ワイルダーに当たり、私生活では夫のアーサーと距離が生まれていく。

1962年には、彼女はドラッグとアルコールに依存するようになっていた。ふらつくノーマはシークレット・サービスに、ホテルに滞在中のケネディ大統領の元まで連れて行かれ、ケネディから手荒にフェラチオとセックスを強いられる。ドラッグに溺れて憔悴した彼女は、もう一度中絶手術をされる幻覚を経験した後、ロサンゼルスの自宅に戻った。ノーマはエドワードからの電話でキャスの死を伝えられ、後日形見として思い出深い虎のぬいぐるみが送られてくる。同封されていた手紙により、定期的に届いていたノーマの父親からの手紙はキャスが書いていた物だと明かされる。ショックを受け心砕かれたノーマは、睡眠薬を過剰摂取しベッドに横たわる。薄れゆく意識のなか、ノーマは死後の世界で彼女を迎える父親の姿を見た。

キャスト

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※括弧内は日本語吹き替え

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日付 部門 対象 結果 出典
ヴェネツィア国際映画祭 2022年9月10日 金獅子賞 アンドリュー・ドミニク ノミネート [9]
シカゴ映画批評家協会 2022年12月14日 主演女優賞 アナ・デ・アルマス ノミネート [10]
ゴールデングローブ賞 2023年1月10日 主演女優賞 (ドラマ部門) ノミネート [11]
ロンドン映画批評家協会賞 2023年2月5日 主演女優賞 ノミネート [12]
[13]
技術功績賞 レスリー・シャッツ ノミネート
Make-Up Artists and Hair Stylists Guild 2023年2月11日 Best Period and/or Character Make-Up in a Feature-Length Motion Picture ティナ・レスラー・カーウィン
エレナ・アロイ
キャシー・ライオンズ
ノミネート [14]
[15]
Best Period Hair Styling and/or Character Hair Styling in a Feature-Length Motion Picture ハイメ・リー・マッキントッシュ
リンネ・デュリー
アホウ・モフィド
ロバート・ピケンズ
ノミネート
英国アカデミー賞 2023年2月19日 主演女優賞 アナ・デ・アルマス ノミネート [16]
オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞 2023年2月24日 主演女優賞 ノミネート [17]
全米映画俳優組合賞 2023年2月26日 主演女優賞 ノミネート [18]
ゴールデンラズベリー賞 2023年3月11日 最低作品賞 デデ・ガードナー
ジェレミー・クライナー
ブラッド・ピット
受賞 [19]

[20]

最低監督賞 アンドリュー・ドミニク ノミネート
最低助演男優賞 ゼイヴィア・サミュエル ノミネート
エバン・ウィリアムズ ノミネート
最低脚本賞 アンドリュー・ドミニク
(原作: ジョイス・キャロル・オーツ)
受賞
最低スクリーンコンボ賞 アンドリュー・ドミニク&彼の女性に対する意識の問題 ノミネート
虚偽のホワイトハウスのベッドシーンに登場する実在のキャラクター2人 ノミネート
最低前日譚・リメイク・盗作・続編賞 ブロンド ノミネート
アカデミー賞 2023年3月12日 主演女優賞 アナ・デ・アルマス ノミネート [21]

注釈

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  1. ^ 第79回ヴェネツィア国際映画祭
  2. ^ 一度目は、2001年テレビ映画『偽りのブロンド ~ マリリン・モンロー』[6]

出典

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  1. ^ O'Hagan, Sean (August 15, 2021). “'I love the perversity of it': Bad Seed Warren Ellis on how Nina Simone's gum inspired a book”. The Guardian. オリジナルの2022年9月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220929102743/https://www.theguardian.com/books/2021/aug/15/warren-ellis-on-how-nina-simones-gum-book-interview 2021年8月21日閲覧。 
  2. ^ Bergeson, Samantha (February 11, 2022). “Andrew Dominik Shuts Down 'Horsesh*t' 'Blonde' NC-17 Rumors for Ana de Armas' Marilyn Monroe Film”. IndieWire. 2022年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ2022年2月11日閲覧。
  3. ^ ブロンド : 作品情報 - 映画.com”. 2022年1月28日閲覧。
  4. ^ Sharf, Zack (May 11, 2022). “Ana de Armas' 'Blonde' Director 'Surprised' by NC-17 Rating: Film Will Likely 'Offend Everyone'”. Variety. 2022年7月27日時点のオリジナルよりアーカイブ2022年7月31日閲覧。
  5. ^ Benchetrit (September 29, 2022). “How fictional biopic Blonde turns Marilyn Monroe into a symbol of celebrity tragedy”. CBC News. 2022年1月28日閲覧。
  6. ^ TVM 偽りのブロンド ~ マリリン・モンロー (2001)について 映画データベース - allcinema”. 2023年1月28日閲覧。
  7. ^ Blonde (2022) - Technical Specifications - IMDb”. 2023年1月28日閲覧。
  8. ^ Maitland (August 16, 2022). “What to Expect From Netflix's Blonde”. Vogue. August 20, 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。August 21, 2022閲覧。
  9. ^ Biennale Cinema 2022 | Blonde”. La Biennale di Venezia (July 25, 2022). August 23, 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。September 28, 2022閲覧。
  10. ^ Tallerico (December 12, 2022). “Everything Everywhere All at Once Leads Chicago Film Critics Nominations”. Rogerebert.com. December 12, 2022閲覧。
  11. ^ Golden Globes 2023: Nominations for the 80th Golden Globes Have Been Announced”. Hollywood Foreign Press Association. December 12, 2022閲覧。
  12. ^ Pulver (December 21, 2022). “The Banshees of Inisherin leads pack as London film critics announce nominations”. The Guardian. December 22, 2022閲覧。
  13. ^ Cline, Rich (5 February 2023). “Tár and The Banshees of Inisherin Top the CC Film Awards”. London Film Critics' Circle. 6 February 2023閲覧。
  14. ^ Pedersen (January 11, 2023). “Make-Up Artists & Hair Stylists Guild Awards Nominations: ‘The Batman’, ‘Elvis’, ‘The Whale’ & More”. Deadline Hollywood. January 11, 2023閲覧。
  15. ^ Make-Up Artists And Hair Stylists Guild 2023 Awards Winners List” (英語). The Hollywood Reporter. 2023年2月14日閲覧。
  16. ^ Ntim (January 19, 2023). “BAFTA Film Awards Nominations: ‘All Quiet On The Western Front,’ ‘Banshees Of Inisherin’ & ‘Everything Everywhere All At Once’ Lead — The Complete List”. Deadline Hollywood. January 19, 2023閲覧。
  17. ^ Shackleton (December 15, 2022). “'The Banshees Of Inisherin', 'Everything Everywhere All At Once' Head Nominations For Australia's AACTA International Awards”. Deadline Hollywood. December 15, 2022閲覧。
  18. ^ The 29th Annual Screen Actors Guild Awards”. SAG-AFTRA. January 11, 2023閲覧。
  19. ^ Nordyke (January 23, 2023). “Razzie Awards: ‘Blonde’ Leads Noms With Eight; Tom Hanks Lands Two Mentions for ‘Pinocchio,’ ‘Elvis’”. The Hollywood Reporter. January 23, 2023閲覧。
  20. ^ “最低映画賞”ラジー賞ノミネート発表 『ブロンド』が最多8ノミネート /2023年1月24日 - 映画 - ニュース |クランクイン!”. 2023年1月29日閲覧。
  21. ^ The 95th Academy Awards”. Academy of Motion Picture Arts and Sciences. January 24, 2023閲覧。

外部リンク

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