カワサキ・ニンジャZX-9R

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基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
車体型式 ZX900C1
エンジン ZX900CE型 899 cm3 
内径×行程 / 圧縮比 75.0 mm × 50.9 mm / 11.5:1
最高出力 143ps/11000rpm
最大トルク 10.3kgm/9000rpm
      詳細情報
製造国
製造期間 1994年-2003年
タイプ スーパースポーツ
設計統括
デザイン
フレーム ペリメター
全長×全幅×全高 2025 mm × 720 mm × 1155 mm
ホイールベース 1415 mm
最低地上高
シート高 810 mm
燃料供給装置 キャブレター
始動方式 セルフスターター
潤滑方式 ウエットサンプ
駆動方式 チェーン駆動
変速機 常時噛み合い式6段リターン
サスペンション 正立テレスコピック
スイングアーム
キャスター / トレール 24゜° / 93 mm
ブレーキ 油圧式ダブルディスク
油圧式シングルディスク
タイヤサイズ 120/70ZR17
180/55ZR17
最高速度 約260(メーター読みで285キロ)
乗車定員
燃料タンク容量 19 L
燃費
カラーバリエーション ライムグリーン
キャンディライトニングブルー
ブラックパール
本体価格
備考 スペックは1998年式北欧仕様
先代
後継 ZX-10R
姉妹車 / OEM
同クラスの車 ホンダ・CBR900RR
ヤマハ・YZF-R1
スズキ・GSX-R1000など
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カワサキ・ニンジャZX-9R(ニンジャ ゼットエックス-ナインアール)とは、川崎重工業が製造・販売していた輸出市場向け4ストローク直列4気筒899ccの大型自動二輪オートバイ)である。愛称は車体ロゴの「ZX-9R」をカタカナ読みした「ユメタマ」[要出典]

概要[編集]

1992年ホンダから900ccながら下位モデルのような軽快なハンドリングを誇るCBR900RRファイアーブレードが発売され、衝撃を受けたカワサキは打倒ファイアーブレードを目標に、当時のカワサキのレプリカモデルとしては最大の排気量を持つZXR750のエンジンのボア×ストロークを899ccまで拡大、ZZR1100などに採用されていたカワサキお家芸のラムエアシステムを採用し、カワサキのスポーツモデルに与えられるサブネームNinjaを与えてZX-9Rを1994年にデビューさせた。ラムエアシステムが採用されたことにより、馬力ではファイアーブレードに勝ったが、大柄な車体や若干重い重量、グラブバーがあるなどとSSと見なされない事もあるが、そもそもカワサキとしては発売当初より「サーキットより公道を走ってナンボ」と公言している事から現在の基準からするとスポーツツアラーの元祖とも言える。ただし当時の同時期の他社SS達も「公道重視」なのは違いなく、その中ではレーサーに改造するのは比較的簡単な車両(B型ですらZXR750系のエンジンキットパーツが流用できた)で国内のXフォーミュラーを初め全世界で様々なレースタイトルを獲得している。

その後改良を行いながら2003年まで生産が続けられ、2004年に純粋にサーキット最速を全面に掲げて登場した後継車のZX-10Rにその座を譲り生産終了した。サーキット最速を掲げながら登場したZX-10Rは、アバンギャルドな作りが功をそうさず先祖帰りともとれる9Rと同様のツインスパーフレームを装備した2011年型が登場するまでサーキットでは苦杯をなめ続けた。

900ccであったのは

  • 第3世代のZ1
  • 新世代のニンジャとして、ニンジャのマジックナンバーである9(=900cc)を選択した

という理由がある。

  • 現在のニンジャ1000、Z1000、Z900は9Rのエンジンを改造流用している。

販売台数はC型>B型>E型>F型の順番で多い。

モデル一覧[編集]

B型[編集]

  • 1994年登場。初期型。ZXR750Rの流れを受け継ぐ純正倒立フォークはB型まで。ヘッドライトは2灯式で片側にプロジェクターライトを採用。

C型[編集]

  • 1998年登場。
  • ライトは1灯式となる。
  • 基本設計をZX-6Rベースにしたことにより約35kgの軽量化に成功。
  • ZXR750由来のエンジンから決別、新設計の水冷直列4気筒エンジンを採用する(ボア×ストローク 75.0mm x 50.9mm)
  • 輸出国の排ガス規制に対応したキャタライザー装備のD型が存在するが、日本への納車は見られない。
  • ピボットのシャフト径やリンクユニットの違いからB⇔C間での互換性は低い。
  • 重量や車体回りの差によりB型よりもスポーツ寄りだが、歴代の中で最も汎用性に長ける。
  • フロントブレーキディスク軽量化優先のため(直径296mm・幅5.5mm)、ある程度使用すると歪み、ジャダーが発生しやすいとも言われるが、その原因の殆どは6podあるキャリバーの整備不良によるパッドの歪み当りによるもの。

E型[編集]

  • 2000年登場。
  • ZX-12Rと同様の独立二眼式ヘッドライトの採用するなど、エクステリアの変更。
  • ピボットや前後ホイールのシャフト、リンクユニットのスイングアームの取り付け部が2mm、C型から肥大化される。
  • リアのホイールが5.50から6.00へ。タイヤは180・55から190・50へサイズアップ。
  • 排出ガス規制未対応車種としての最終モデルのため、カタログスペック上は144PSを発揮。“9”史上最強モデルとなる(実際は、自主的な排出ガス規制装置が付いているため後輪で実馬力測定を行うとC型モデルに、ほんの若干劣る)。

F型[編集]

  • 2002年登場。最終型。
  • グラブバーの撤去。
  • Fブレーキキャリパーが6ポットから4ポットへ変更、ディスク径320mm。
  • フォークピッチも変更。
  • スーパーバイク世界選手権出場車両譲りのディメンションのニューフレームが採用されるなど、130か所に及ぶ改良。
  • 3kgの重量増加により、同世代のSSからかけ離れた存在で(人によってはSSではないとの意見も[要出典])あるが、実際にはGSX-R1000が台頭してくる以前では、全日本タイトルを獲得するなどの優れたレーサーベース車両だった。

主要諸元[編集]

モデル 1994年(B1) 1998年(C1) 2000年(E1) 2002年(F1)
エンジン 水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
気筒配列数 並列4気筒
総排気量 899cm3
内径x行程 73.0mm x 53.7mm 75.0mm x 50.9mm
圧縮比 11.5:1 12.2:1
最高出力 102kW(139ps)/10,500rpm 105kW(143ps)/11,000rpm 106kW(144ps)/11,000rpm
最大トルク 96Nm(9.8kgfm)/9,000rpm 101Nm(10.3kgfm)/9,000rpm 101Nm(10.3kgfm)/9,200rpm
全長 2,085mm 2,050mm 2,065mm
全幅 725mm 720mm 730mm
全高 1,165mm 1,155mm
シート高 800mm 810mm 815mm
最低地上高 125mm 160mm
ホイールベース 1,440mm 1,415mm
乾燥重量 215kg 183kg 186kg
燃料タンク容量 20.0L 19.0L
タイヤサイズ 前:120/70-ZR17
後:180/55-ZR17
前:120/70-ZR17(58W)
後:180/55-ZR17(73W)
前:120/70-ZR17(58W)
後:190/50-ZR17(73W)
始動方式 セル式
出典 [1]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 『KAWASAKI ZX-10R』ニューズ出版東京都〈ハイパバイク Vol.11〉、2005年8月8日。ISBN 4-89107-338-1 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]