茶髪
茶髪(ちゃぱつ)とは、茶色に染めた、あるいは脱色した髪色を表現する俗語。
髪を染める文化
人の身体的な装飾の一つとして、髪の毛を自分の自然状態の色ではない色に染めるという慣習や文化は古来より多くの社会や文化圏に存在した。日本人[2]の場合、大部分の人は遺伝形質的には髪の色は漆黒であり、褐色や茶色を帯びている人は著しい少数の割合なので、加齢による白髪を黒髪に染める慣習や文化は古来より存在し、白人と交易するようになって以後は、東北アジア人にはない茶髪や金髪に染めるという慣習や文化も広まった。
茶髪に対する批判
染髪に対する批判として、身体の健康という観点からの批判と、人としてなすべきマナーやモラルという観点からの批判がある。
身体的な健康という観点からの批判としては、毛髪や毛根や皮膚を損傷させ、ガンの原因になるという見解がある[3]。
日本におけるマナーやモラルという観点からの批判としては、大部分の日本人は髪色が黒なので自然状態のままであるべき、白人を真似て(=白人コンプレックスに起因[4])茶髪や金髪に人工的に染めることは、学生としても社会人としても不適切であるというもの。それ以外にも主観によるが[5]、他人に不快感を与える・不真面目と思われるなどの考えによる。
校則における禁止
日本では多くの幼稚園、小学校、中学校、中等教育学校、高等学校、高等専門学校、が、校則で茶髪や金髪などの染髪を禁止している。校則において、茶髪や金髪などの染髪を禁止するか容認または不問にするかは、学校による差異があり、服装や頭髪やその他の身だしなみに対する規制が厳しい学校では禁止しているが、規制がゆるい学校では容認または不問にしている。髪の色が先天的に漆黒ではなく茶色や褐色の生徒に対しても黒く染めることを強要する場合があり、2005年には生まれつき髪が赤茶けている生徒に、教員から黒髪を繰り返し強要・黒いスプレーを髪にかけられるなど退学を迫らせたとして、学校を提訴する事件も起きている[6][7]。日本全国の小学校、中学校、中等教育学校、高等学校、高等専門学校のうち、どの程度の割合の学校が禁止しているかは、政府による調査や統計が存在しないので不明である。
逆に教員が、明るい色の髪にしている例もある[8](白髪染めの場合も)。
就業規則における禁止
日本では多くの政府や自治体の行政機関や法人、民間の企業や法人が、就業規則や服務規程において、茶髪や金髪などの染髪を禁止している。就業規則や服務規程において、茶髪や金髪などの染髪を禁止するか容認または不問にするかは、業界や企業や業務部門や職種による差異があり、服装や頭髪やその他の身だしなみに対する規制が厳しい業界・機関・企業・法人・業務部門・職種では禁止しているが、規制がゆるい業界・機関・企業・法人・業務部門・職種では容認または不問にしている。日本全国の政府や自治体の機関や法人、民間の企業や法人のうち、どの程度の割合の業界・機関・企業・法人・業務部門・職種が禁止しているかは、政府による調査や統計が存在しないので不明である。アパレルショップでは店長に茶髪に染めることを強要され、拒否したスタッフが解雇された例がある[9]。一般的傾向として、銀行、証券、保険、商社、ホテル、旅館、百貨店、鉄道、航空は、服装や頭髪やその他の身だしなみに対する規制が厳しい業界と認識されている。
一方、新聞、テレビ放送、製造業、建設業、ソフトウェアなどは、規制が厳しい業界と比較すると比較的緩いと認識されている。大都市に本社があり、全国にコンテンツを配信しているテレビ放送会社では、茶髪の女子アナはありふれた存在であり、会社が容認していると推測される[10][11][12][13][14]。
2004年、日本ヘアカラー協会(JHCA)が、ヘアカラーの明るさの基準となる「JHCAレベルスケール」を開発。当初は美容師の勉強用ツールという目的だったが、多くの企業が「JHCAレベルスケール」を採用し、規則のボーダーライン判断にも用いるようになった[15]。
スポーツにおける禁止
2002年、日本水泳連盟では、「けばけばしいと応援してくれる人が少なくなる」「繁華街にいる若者と一緒だ。スポーツは(教育の)最後の砦という意識がある」といった理由で、水泳選手の茶髪を自粛するよう指導する方針を固め[16]、2010年にはシンクロ・水球・飛び込み選手にも適用拡大されることになった[17]。
- プロ野球
2005年12月4日の「2005年度巨人軍OB総会」でOBの藤田元司が「長髪とか茶髪とかひげを生やすとか、浮ついている。容姿から直していかないと」と発言した[18]。
茶髪を選手に禁止した監督として、東北楽天ゴールデンイーグルスの野村克也[19]、2009年着任の横浜ベイスターズの尾花高夫・千葉ロッテマリーンズの西村徳文[20]・オリックス・バファローズの岡田彰布[21]、2014年の埼玉西武ライオンズの伊原春樹[22]、2015年のソフトバンクホークスの工藤公康[23]などがいる。WBC(2013年)では山本浩二[24]も。
逆に選手側から、東京ヤクルトスワローズでは2010年オフの契約交渉の席で石川雅規投手が、「チームの決めごとについて。茶髪、ヒゲなどについて最低限のルールをしっかりしよう」と選手の身だしなみについて要望を出した[25]。
- バレーボール
バレーボール全日本男子の植田辰哉監督(2005年に就任)は、最初のミーティングで選手に、「寝癖のついたような頭や茶髪は禁止」と、自身の方針を伝えた[26]。
2013年には中田久美が、自身が監督を務める久光製薬スプリングスで、茶髪を禁止とした[27]。
関連項目
脚注
- ^ これであなたも【垢抜けまゆ毛】〜まゆ毛マスカラの付け方・落ちない裏技〜 - ギャザリー
- ^ “日本国民”と同一ではない。日本国憲法第10条が「日本国民たる要件は、法律でこれを定める」と規定しているので、帰化すれば外国人であっても日本国籍となる
- ^ 合成洗剤追放全国推進本部 エコ・グリーンショップ 環境といのちを守る会>理容・美容業界にも知らされていない染毛剤の毒性
- ^ 日本のテレビ・コマーシャルにみる異文化受容──ヘアケア関連CMの分析を中心に── p.45 - 慶應義塾大学 メディア・コミュニケーション研究所紀要 有馬明恵
- ^ 「しまねのふるまい」の一考察
- ^ 黒スプレーかけられた 宮城の女子生徒が提訴
- ^ なお欧米系とのミックスで先天的に金髪の生徒に対して、このような仕打ちがされた例は確認できていない
- ^ 教員の身だしなみについて - 好文学園女子高等学校 校長メッセージ
- ^ 茶髪を拒否したら解雇!〜シリーズ「解雇理由」3月・4月分
- ^ NHK>アナウンスルーム
- ^ 日本テレビ>アナウンサープロフィール
- ^ TBS>アナウンサー
- ^ フジテレビ>アナウンサー
- ^ テレビ朝日>アナウンサー
- ^ 職場で愛されるヘアカラーの髪色選び [カラーコーディネート] All About
- ^ ピアスは支障のない範囲で 日本水連がHPで説明 - 47news、2002年5月7日
- ^ 茶髪禁止令 シンクロ・水球・飛び込み選手らも - asahi.com、2010年2月21日
- ^ 読売・報知 2015年12月4日[リンク切れ]
- ^ 野村イズム継承…楽天、茶髪&長髪“NG” - スポニチ、2010年3月13日
- ^ 茶髪&ひげ禁止!巻き返し図る横浜とロッテの本気度 - 夕刊フジ、2009年11月7日号
- ^ 茶髪禁止!岡田監督「教育的始動」 - デイリースポーツ、2009年10月25日
- ^ 選手の要望で「ダボユニフォーム」、茶髪、ひげOKへ 西武の方針転換に野球ファンがガックリ - J-CASTニュース、2014年6月6日
- ^ なぜ工藤監督は、茶髪もガムも禁止するのか - 東洋経済オンライン、2015年3月6日
- ^ WBC山本浩二監督の“金髪・茶髪禁止令”に野球界から批判の声が聞こえないのはなぜか - ダイヤモンド・オンライン、2013年1月29日
- ^ ヤクルト石川「茶髪&ヒゲ禁止」訴える - 日刊スポーツ、2010年12月14日
- ^ トークスクエア
- ^ 2013年4月21日 村上学園高等学校