炭水化物代謝
炭水化物代謝(たんすいかぶつたいしゃ、英:Carbohydrate metabolism)とは、炭水化物の同化、異化、相互転換といった生物の生命において重要な生化学の過程を意味する用語である。
最も重要な炭水化物はグルコースであり、この単糖はほとんどの生物体で代謝される。グルコースと他の炭水化物は様々な生物種の代謝経路に存在しており、植物では大気から光合成によって炭水化物を合成し、他の生物はそれを細胞呼吸の燃料としている。炭水化物は 1 gの酸化によって約 4 kcalのエネルギーを産生する。ふつう、炭水化物などから得られたエネルギーはATPの形で蓄えられる。好気呼吸を行う有機体は、グルコースと酸素の代謝でエネルギーと一緒に副産物として二酸化炭素と水を放出する。
すべての炭水化物は一般におおよそCnH2nOnの式で表すことができる(グルコースはC6H12O6)。単糖は化学結合によってスクロースのような二糖、デンプンやセルロースのような多糖を形成する。
炭水化物は脂肪やタンパク質と比べて遙かに代謝が簡単であるためいち早く有機体のエネルギーとして蓄えられる。動物では、摂取したすべての炭水化物はグルコースの形で細胞に届けられる。炭水化物は通常、グルコース分子がグリコシド結合でポリマーとなって支持構造(例えばキチンやセルロース)を作ったり、エネルギー貯蔵多糖(例えば、グリコーゲンやデンプン)として蓄えられたりする。しかし、水によって炭水化物は強力な親和力が作られ、炭水化物水溶液の巨大な分子量のため炭水化物の多量の貯蔵は複雑で能率が悪い。いくつかの生物では、余分な炭水化物はアセチルCoAに代謝され、脂肪酸の合成経路に入る。脂肪酸やトリグリセリドおよび他の脂肪は長期的なエネルギー貯蔵に一般的に使われている。脂肪は炭水化物を疎水性にするより遙かにコンパクトな形でエネルギー貯蔵される。
異化
オリゴ糖/多糖を単糖に分解する酵素はグリコシドヒドロラーゼと呼ばれる。そして、単糖単位になると単糖異化に入る。
代謝経路
- 炭素固定:二酸化炭素から炭水化物を合成。
- 解糖系:グルコースを分解し、ATPとピルビン酸を合成。
- ペントースリン酸経路:ヘキソースをペントースに転換し、NADPHを再生する。
- グリコーゲン合成:余分なグルコースをグリコーゲンに転換する。
- グリコーゲンの分解:グリコーゲンをグルコースに分解する。
- 糖新生:単純な有機化合物からデノボ合成によってグルコースを作る。
糖質調節
糖質調節とは体内のグルコースの安定した濃度維持の事である。これはホメオスタシスの1つであり、細胞の周辺環境を一定に保つ。
インスリンは、グルコースをグリコーゲンに変換させ肝臓に貯蔵させる。インスリンは膵臓で作られるホルモンで、血糖値が高いときに分泌される。また、インスリンは筋肉でのグルコースの使用を促進させる。
逆に、グルカゴンはインスリンとは逆に作用し、低血糖時にグリコーゲンのグルコースへの分解を促進させる。