漁網
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漁網(ぎょもう)とは、人間が魚類・貝類などを捕獲するために用いる網の総称である。漁業で用いられる漁具の一種である。また、漁網を用いておこなう漁撈活動のことを網漁と総称する。
さまざまな漁具のなかでも漁網は「一網打尽」の語のごとく、大量の水生生物を採捕できることから、高い漁獲収益を期待できる漁具である。漁網を用いる漁法は、捕獲対象となる水生生物の種類、操業環境、操業規模などによってさまざまな種類がみられ、また、漁獲量を高めるための技術的努力、研究もさかんである。
その一方で漁業資源の維持という点では、漁網の使用は乱獲・混穫といった問題を招きやすく、ほとんどの網漁は各種の法的規制の対象となっている。
概要
漁網の主要部位
漁網は、網地、綱、浮子、沈子、錨、目印となる浮き樽などで構成されている。
網地の種類
漁網は、糸の結び目(結節)の有無により、大きく2つに分けられる[1]。
- 有結節網
- 糸(索)を結んで(結節して)編み目を作る。
- 無結節網
- 糸を結ばず、よりあわせることによって網の形にする。
材質
網の材料繊維には、天然繊維(植物繊維、動物繊維)と合成繊維があるが、今日ではほとんどの網糸に合成繊維が用いられている。
合成繊維網が登場する以前は、麻糸、木綿(綿糸)、絹糸、苧糸(おいと)、藁、葛糸、蚕糸などの天然繊維が伝統的に用いられてきた。しかし、天然繊維網の場合、網に付着する有機物や温湿度の変化、夏季には付着する腐蝕虫(プランクトンなど)によって、繊維が腐敗する速度が速い。そのため、これらの天然繊維網の場合、その使用や保存にあたっては細心の注意を払う必要があった。
合成繊維網の最大の利点は、水中で腐敗しないことである。その他にも利点として、過酷な操業環境に耐えうる網の強度や、人為的な操作を潤滑にするためのさまざまな網の表面加工などがあげられる。
この合成繊維網にもいろいろな種類があり、さまざまな網漁法の要請にしたがって、それに最適な繊維素材を選択する必要がある。たとえば、底曳き網などにはハイゼックスなどのポリエチレン系、刺網や定置網にはナイロンなどのポリアミド系、巾着網などにはテトロンなどのポリエステル系が使用される[2]。
漁網の種類
漁網は、田辺悟の分類にしたがうと、以下のように類別される[3]。
脚注
関連項目
参考文献
- 日本水産学会編 『漁具の漁獲選択性』、恒星社厚生閣、1979年
- 野村正恒 『最新 漁業技術一般』、成山堂書店、2000年
- 田辺悟 『網(あみ)』(ものと人間の文化史 106)、法政大学出版局、2002年