朱鷺メッセ

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新潟コンベンションセンター
Niigata Convention Center

新潟コンベンションセンター(左)
万代島ビル(右)
施設情報
愛称 朱鷺メッセ
TOKI MESSE
用途 各種展示、集会、屋内スポーツ、会議
収容人数 最大10,000人(国際展示場・展示ホール)
設計者 槇総合計画事務所
施工 福田東急・丸運特定共同企業体(国際展示場)、鹿島大成本間特定共同企業体(国際会議場)、大林・加賀田・第一特定共同企業体(アトリウム)
建築主 新潟県
事業主体 新潟県
管理運営 新潟万代島総合企画(指定管理者
延床面積 31,000 m2
7,800m2(国際展示場・展示ホール) m2
階数 地上4階
着工 2000年10月
竣工 2002年12月
所在地 新潟県新潟市中央区万代島6番1号
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万代島ビル
Niigata Bandaijima Building
施設情報
所在地 新潟県新潟市中央区万代島5番1号
座標 北緯37度55分34.19秒 東経139度3分36.01秒 / 北緯37.9261639度 東経139.0600028度 / 37.9261639; 139.0600028座標: 北緯37度55分34.19秒 東経139度3分36.01秒 / 北緯37.9261639度 東経139.0600028度 / 37.9261639; 139.0600028
状態 完成
建設期間 2000年10月 - 2003年3月
用途 事務所、ホテル、美術館、展望室
地上高
最頂部 143 m
屋上 140.5 m
最上階 125.0 m
各種諸元
階数 地上31階・塔屋2階・地下1階
延床面積 51,000 m2
関連企業
設計 KAJIMA DESIGN
施工 万代島再開発事業民間施設新築工事共同企業体(鹿島・大成・福田・五洋・本間・東亜
所有者 新潟県
新潟商工会議所
ホテル朱鷺メッセ
新潟万代島ビルディング
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ファイル:Toki-Messe-02.jpg
朱鷺メッセ全景(夜)
ファイル:朱鷺メッセから見る夜景.jpg
Befcoばかうけ展望室から見た信濃川上流方向の夜景

朱鷺メッセ(ときメッセ、TOKI MESSE)は、新潟県新潟市中央区万代島に所在する、コンベンションセンターホテル・業務施設などを内包する超高層建造物から成る複合一体型コンベンション施設の愛称である。

新潟コンベンションセンター(にいがたコンベンションセンター)と万代島ビル(ばんだいじまビル)の2棟によって構成される。

概要

朱鷺メッセは、信濃川河口に近い新潟港西港区(新潟西港)の一角を国際交流・経済産業振興の拠点として整備する「万代島地区再開発事業」によって建設された。1992年(平成4年)に新潟県が整備方針を決定し、続いて民間側による複数の開発構想が提案され、翌1993年(平成5年)に県、新潟市、民間側33の企業・団体による「万代島再開発事業化研究会」が設立された。研究会はその後「万代島再開発推進協議会」に改組され、1996年(平成8年)に「万代島再開発事業マスタープラン」を策定し、県のコンベンション施設と民間主体の高層ビルとを一体的に整備する方針が決定した。

この複合コンベンション施設は2000年(平成12年)10月に建物本体の建設工事に同時着工し、県の「新潟コンベンションセンター」は2002年(平成14年)12月、民間の「万代島ビル」は翌2003年(平成15年)3月にそれぞれ竣工し、同年5月1日に全面開業(グランドオープン)した。再開発全体のデザインは槇文彦が率いる槇総合計画事務所が担当し、新潟コンベンションセンターと万代島ビルとを双方の中間部に設けられた公共空間「アトリウム」と全長340mの屋内公共歩廊「エスプラナード」で連結、周辺の緑地を含めて一体的に整備した。愛称「朱鷺メッセ」と、翼を広げるトキの姿を模したシンボルマークは一般公募によって2001年(平成13年)9月に制定された。

建造物全体は船をイメージして設計され、ガラスと金属による透明感のある表層部と、水平性と垂直性とを組み合わせたデザインで万代島の景観の核を成している。エスプラナード(英語で「高貴な遊歩道」などの意)は信濃川沿いの2階部分に設けられ、川側は全面ガラス張りである。コンベンションセンターと万代島ビルとの中間部に設けられた吹き抜け構造のアトリウムと合わせ、施設全体を連絡すると共に「開かれた都市回廊」をイメージした開放的な空間を形成している。また機能的にも、展示場や会議室、オフィス、ホテル等を一体的に配置しているため、各種コンベンションの流れを一つの空間でスムーズに行える上に、これらを組み合わせることによって多様な催事に対応することができる。

朱鷺メッセが立地する万代島地区の北東側約3kmの地点には新潟空港が所在する。航空法では航空路の安全確保のため、空港周辺の空域に制限表面[1]を設けて建造物の高さ制限などを設定している。仮に本来の制限表面が適用された場合、万代島地区では高さ80m程度の建造物しか建設できないが、新潟空港の制限表面[2]には円錐表面と外側水平表面が設定されておらず、万代島地区は制限表面の空域には該当しないため、万代島ビルは140.5m(塔屋を含め143m)の高さで建設されている。

施設

新潟コンベンションセンター

国際展示場・国際会議場と、万代島ビルとを繋ぐアトリウムによって構成される、地上4階建のコンベンション施設。施設は新潟県が所有し、新潟万代島総合企画が指定管理者として運営管理を行っている。

国際展示場の展示ホールは新潟県内のアリーナ型施設としては最も面積が広く、各種イベントやコンサートの会場としても活用されている。また2004年(平成16年)からバスケットボールの新潟アルビレックスBBの試合(Bjリーグ)も行われるようになり、2007年(平成19年)末にはbjリーグのオールスターがここで開催された。

全13室の会議場・会議室から成る国際会議場のうち、メインホールと国際会議室には同時通訳ブースが常設されており、各種国際会議の開催にも対応している。

  • 国際展示場
    • 展示ホール(ウェーブマーケット)
      • 一体利用:7,800m²(最大約10,000人収容)
      • 分割利用:A=5,100m²(最大約6,000人収容)、B=2,700m²(最大約2,000人収容)、可動間仕切りにより分割可能
    • 床面には電気、通信、ガス、給排水のピットが組み込まれており、各種ブースの設営が容易に行える。
  • 国際会議場
    • メインホール(スノーホール)
      • 面積:1,133m²(最大約1,000人収容)
      • 同時通訳ブース設置
    • 国際会議室(マリンホール)
      • 面積:649m²(最大約540人収容)
      • 同時通訳ブース設置
    • 中会議室(3室)
    • 小会議室(8室)
  • アトリウム

万代島ビル

オフィス、領事館、ホテル、美術館などが入居する民間の超高層ビル。地上31階建、高さ140.5m(塔屋を含め143m)で本州日本海側では最も高い。

複合用途の区分所有建物で、新潟万代島ビルディング(以下「万代島ビル社」)と、ホテルフロア「ホテル日航新潟」を運営するホテル朱鷺メッセ(オープン前の商号は「新潟国際コンベンションホテル」)が共同建築主として建設し、建造物全体は万代島ビル社が所有且つ運営管理を行っている。一部フロアは万代島ビル社が整備・分譲した上で所有権が移動しており、31階の展望室、5階の美術館と、オフィスフロアのうち中小企業向けの起業化支援などを行う県の外郭法人「にいがた産業創造機構」が入居する11階は新潟県が、ホテル日航新潟はホテル朱鷺メッセが、新潟商工会議所が入居する7階は同会議所がそれぞれ所有権を有し、以上3法人と万代島ビル社の計4法人によって組織される「万代島ビル管理組合」が万代島ビル社に建造物管理を委託する運営方式が取られている。

31階の展望室からは新潟市中心部や信濃川、柳都大橋萬代橋、新潟西港などを眼下に望み、遠くは佐渡島粟島弥彦山なども眺望できる。また夜間には日本海に浮かぶ漁火も眺望できるなど新潟市近郊の明暗に富んだ夜景を楽しめることから、2004年(平成16年)8月には新日本三大夜景・夜景100選に、2011年(平成23年)8月には日本夜景遺産に、それぞれ選定されている。

  • Befcoばかうけ展望室(31階)
    • 前述の通り展望室は新潟県が所有しており、ホテル朱鷺メッセが指定管理者として運営管理を行っている。また施設命名権により、呼称をBefcoばかうけ展望室(ベフコばかうけ てんぼうしつ)としている(詳細は後述)。
    • 開館時間
      • 金曜を除く毎日:8:00〜22:00(最終入場 21:30)、金曜:8:00〜17:00(最終入場 16:30)
    • 2005年秋から、展望室をレンタルスペースとして貸し出すサービスを実施しており、イベントなどに活用することができる。貸出しは昼間(8:00~17:00)・夜間(金曜を除く17:00~22:00)・貸切(金曜17:00~22:00)の3区分で、昼間・夜間は一般客の来館を妨げない形でスペースの提供を行っている。一方、貸切利用は金曜の一般開館時間終了後に限って実施しており、フロアのほぼ全面を占有して利用できる。
  • ホテル日航新潟(30~22階、4~3階)
  • オフィス(20~12階、10~8階)
    • 在新潟中華人民共和国総領事館(20階)
    • 在新潟ロシア連邦総領事館(12階)
    • 在新潟大韓民国総領事館(8階)
  • NICOプラザ(11階)
    • 財団法人にいがた産業創造機構 [1](9,10階)
  • 新潟商工会議所(7階)
  • 新潟県立万代島美術館(5階)

施設命名権

新潟県は2009年度(平成21年度)から展望室の維持管理費を削減する代替策として、展望室に施設命名権を導入し、その権限を指定管理者に委ねる形で管理者側の減収分を補充する方針を示した。これを受けてホテル朱鷺メッセは同年9月に売却先の公募を実施し、その結果県内を中心に数社から応募があった。選考の結果10月9日、主力製品の「ばかうけ」を冠した名称案を示した栗山米菓が売却先に決定した。ホテル朱鷺メッセは選定理由を「ばかうけは既に知名度があり、親しみやすい」としている。契約条件は年間120万円、期間は2009年(平成21年)12月1日から2012年(平成24年)3月31日までの3年契約で、呼称は「Befcoばかうけ展望室」に決定した[3]

新潟ラーメン村 ときめきラーメン万代島

朱鷺メッセのコンベンションセンター側ロータリーと臨港道路を挟んだ向かい側に所在する、新潟県内のラーメン店が集積した屋台村形式の複合施設。こちらも新潟万代島総合企画がテナントを募って運営にあたっている。

2004年4月29日、ラーメン店7店舗、アイスクリーム店1店舗の計8店舗でオープン。2012年2月現在ラーメン店4店舗が出店しており、各店舗それぞれ特徴のあるメニューを提供している。

周辺

  • にぎわい市場 ピアBandai

交通アクセス

公共交通
  • JR東日本 新潟駅万代口バスターミナルから新潟交通の下記路線バスを利用し「朱鷺メッセ」下車(利用路線により停留所の位置が異なるため注意)
    • 5番線から「17 朱鷺メッセ・佐渡汽船」行
      • 佐渡汽船線の停留所は臨港道路万代島埠頭線沿い・コンベンションセンター側ロータリー横。所要約15分
      • ※イベント開催時等は佐渡汽船線を臨時増発する場合あり。
    • 13番線から「新潟市観光循環バス」
      • 循環バスの停留所は万代島ビル側ロータリー内。朱鷺メッセ先回り(犬夜叉号):所要約8分、白山公園先回り(ドカベン号):所要約51分
  • 新潟駅万代口からタクシーで約5分、徒歩で約20分
自動車
駐車料金:最初の60分間は無料、以降30分毎に100円、24時間の上限は1500円(佐渡航路の利用者は1日800円)
  • 万代島ビル内駐車場(189台収容)
駐車料金:20分 100円

朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故

事故発生当時は写真中央部の架橋箇所が崩壊し、地上部の臨港道路を塞ぎ込む形となった(2004年5月、朱鷺メッセ側から撮影。なお残存部は事故調査等を行った後撤去された)

2003年(平成15年)8月26日午後8時20分頃、朱鷺メッセに隣接する万代島E駐車場(自走式立体型)と佐渡汽船新潟港ターミナルとを結ぶ連絡デッキ(全長220m)のうち、朱鷺メッセとE駐車場を連絡する箇所が突如倒壊した[4]。倒壊箇所はデッキのうち跨道橋となっていた部分の1スパン(延長約63m)で、デッキ下の地上部を経由して佐渡汽船ターミナルに至る臨港道路を塞ぐなど一歩間違えば大惨事になりかねなかったが、当時朱鷺メッセでは大規模な催事等は特に行われておらず、またフェリーの発着時間帯の合間であったため落下箇所には通行人、車両ともなく、幸い死傷者はなかった。また事故当日は北朝鮮の貨客船万景峰号が新潟港から出港したばかりということもあり、マスメディアや野次馬、その他団体が現場付近に多数おり、一時は「テロの可能性」との誤報まで流れる騒ぎとなった。

倒壊箇所のうちE駐車場部分の供用を開始したのは2001年(平成13年)4月17日、朱鷺メッセ側の全面供用を開始したのは2003年4月とまだ日が浅かった上、事故発生当時は風も弱く、外的な作用をほとんど受けない中でデッキの1スパンだけが倒壊したことから、発生直後は原因を特定できなかったが、その後県が組織した事故原因調査委員会が行った調査の結果、設計上の問題であったことが発表された。万代島地区は元々昭和時代初期に埋立地として開発され、非常に軟弱な地盤であることから構造設計に軽量化が求められた結果、強度に余裕の少ない設計手法や工法が採用された上に施工上のミスが重なり、自重に耐えられなくなり倒壊した、との結論に至っている[5]

その後、連絡デッキの残存部分は撤去され、合わせて朱鷺メッセのアトリウムから臨港道路を横断するデッキも崩落の危険性があるとして歩行者を通行禁止にし、ジャッキアップした上で補強する措置が取られた。朱鷺メッセとE駐車場・佐渡汽船ターミナルとの間はこのデッキによって直接徒歩で往来することが可能であったが、落下事故によって直通は不可能となった。調査終了後も事故箇所のデッキ再建は見送られており、現在は一旦建物外に出て臨港道路の歩道を経由しなければならない。

前述の調査報告を受け、県はデッキの設計・施工・監理を担当した計6社を相手取り、建設費など計約9億円の損害賠償を求める民事訴訟を2004年9月7日付で新潟地方裁判所に提訴した。これに対しデッキの設計を担当した「構造設計集団(SDG)」は、調査報告書において原因を設計ミスと不当に公表され、合理性の無い主張によって営業損害を受けたとして、県に計約3億円の損害賠償を求めて2009年(平成21年)10月24日付で同地裁に反訴した。その後裁判は7年にわたって行われたが、2012年(平成24年)3月26日の判決公判で、同地裁は双方の請求を棄却した。県側が専門家による事故調査委員会の報告書を基に、通路側面の「斜材ロッド」と床板の定着部から崩壊が始まったとしたことを疑問視し、他の原因の可能性についての検討が不充分と判断した。その上で「報告書の論証過程には大きな疑問が残ると言わざるを得ない」と指摘し、県側が主張する事故原因を立証できないとした。またSDGの反訴に関しては「報告書は一定の合理性があった」として、いずれも棄却した。これを受けて県は同年4月9日付で東京高等裁判所に控訴の手続きを取り、裁判は引き続き長期化している。

脚注

参考文献

関連項目

外部リンク

先代
宜野湾市立体育館
bjリーグオールスターゲーム開催アリーナ
2007-2008
次代
ビーコンプラザ