怪獣映画

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怪獣映画(かいじゅうえいが)は、巨大な怪獣とそれがもたらすパニックを主題とした特撮映画のジャンル。

概要

怪獣の存在についてはSF的な設定が多いが、戦争あるいはファンタジー的な要素も織り込まれ、怪獣が暴れることで群集が起こすパニックが主眼となる場合もあるなど、ジャンルはいずれとも特定しがたいものがある。

反面、ストーリーについては『キングコング(1933年)』『ゴジラ(1954年)』などの古典的作品を踏襲している事が多い。『怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』(1972年)や『モスラ』(1996年)など異質の展開を試みた作品はあるが定着をみていない。円谷英二は自らのテレビ用作品『ウルトラQ』(1966年)で新機軸を試み、これは『ウルトラシリーズ』ヘ結実した。

日本におけるこのジャンルの出自が『ゴジラ』(1954年)であり、そのパターンを長く踏襲していたことから、怪獣映画は戦争のメタファーであると言われ続け、1990年代以降には意識的にそれを念頭に置いた作品が防衛庁の協力の元に製作されている。

20世紀初頭にはストップモーション・アニメーションによる撮影が一般的だったが、日本においては出自たる『ゴジラ』(1954年)で採用された着ぐるみが以後も主流となる。また怪獣の表情など細かい部分の演出では、機械仕掛けを使うメカトロニクス(アニマトロニクスによる撮影も併用された。さらに20世紀末になってコンピュータグラフィックスが技術的にもコスト的にも映画で使えるレベルになり、従来の撮影技法と併用して使われている。また、過去には(特に欧米において)小動物を撮影し、合成の段階で巨大生物にするといったような低予算な作品(主にB級映画トカゲ特撮とも呼ばれる)もある。

また、日本では『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)のキングギドラの3つの頭と2本の尻尾や『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(1967年)のカマキラスクモンガ、『ゴジラvsビオランテ』(1989年)のビオランテの触手等はピアノ線による操演技法を採用し、人が入れないシャープな造形の怪獣の登場や、腕にはめ込んでも再現できない部分の演出に成功しており、操演技法でのカマキラスとクモンガの動き(特に移動する動き)は現在のCG技術を持ってしても再現不可能と言われている。因みに、どの怪獣の操演も各関節のピアノ線を操作するのに20名以上(クモンガの場合は20名、キングギドラの場合は25名)の人員を必要とし、クモンガの時は小道具係や照明スタッフまでもがこれに駆り出され、操作場所となっていた天井からの操演スタッフたちの汗が雨のように降り注いだというエピソードは有名である。

現在、目覚しい発達を見せているCG技術だが、前述の通り、実際の撮影ではこれら諸技術を適宜組み合わせて使用しており、それで全てをまかなっているわけではない。たとえば『ジュラシック・パーク』では主として遠景のブラキオサウルスはCG、近景のティラノサウルスはメカトロニクス、ヴェロキラプトルは着ぐるみといった構成になっている(勿論、これも大まかな説明である)。日本の怪獣映画では、例えば『ゴジラ』において細かい動きが必要とされるシーンはストップモーションを使っており、『キングコング対ゴジラ』では生きたタコの接近撮影も使用している。最近の『ゴジラ』シリーズでも細かい動きや局所的なアップカットにはメカトロニクス、派手な特殊効果にはCGが使われている。

代表的なモンスター

特技監督

音楽

  • 伊福部昭 - ゴジラをはじめ多くの怪獣映画音楽を担当した。第1作の『ゴジラ』では、有名なテーマ音楽のほかにも実験的な音響を多く手がけた。怪獣映画の音楽をメドレー形式でまとめた『SF交響ファンタジー』(全4作)という演奏会用オーケストラ作品がある。
  • 古関裕而

関連項目