平坂純一
平坂 純一(ひらさか じゅんいち、1983年8月27日 - )は、日本の作家、批評家、翻訳者、随筆家、映画批評家、動画クリエーター。
経歴
福岡県福岡市出身、同県筑後市で育つ[1]。中央大学法学部(通信教育課程)在学中の2006年に西部邁主宰・表現者塾で思想哲学を学ぶ[2][3][4][5][6]。2012年、早稲田大学文学部に学士入学する(フランス語フランス文学コース)。同時期に「ジョゼフ・ド・メーストルと保守主義」について執筆。国内の商業誌では珍しい思想家であることから、西部邁の推薦で2015年5月1日発行「表現者」60号[7]から計7回の連載を行う。
2022年9月号より雑誌「表現者クライテリオン」にて『葬られた国民作家 獅子文六[8]』を連載を開始しているほか、2022年中にKKベストセラーズよりフランスの右派政党「国民戦線」の創始者ジャン=マリー・ル・ペンの自伝の翻訳を出版予定である。
人物
- 生は福岡市南区。親の離婚に伴い、5才から22才まで福岡県筑後市に移住する。
- 高校を出てから実家のパーマ屋の手伝いをしながら、中央大学の通信学部の単位をとっていた。[9]
- 水泳で福岡県大会に出たことがある。[10]
- 中央大学卒業後、6年サラリーマンをやってから早稲田大学に入り直す。「大学行かない人の気持ちもわかるし、スムーズに行く人の気持ちもなんとなくわかる、両方わかるよって感じは常にあるよ」と述べている。[9]
- フランス革命期のカトリック擁護派の泰斗ジョゼフ・ド・メーストルに傾倒しつつ、本人は専ら真言宗である。
- 西部邁への憧憬は、法学部時代に読んだ「直接民主制の恐怖」(『THIS IS 読売』1996年10月号)から。よって大衆社会に批判的である。
- 中大法学部での卒業論文テーマは「小泉郵政選挙における解散権の濫用について」[11][12]。
- 選挙権を行使したことが無い。
- 影響を受けた作家にメーストル、バルベー、ボードレール、ツヴァイク、トルストイ、夏目漱石、坂口安吾、西部邁、呉智英、三島由紀夫、獅子文六、野坂昭如、飯島耕一、中条省平を挙げている(本人談)
- 好きな人物に、ナポレオン、野坂昭如、小林よしのりをあげており、「少年性のある人が好き」と述べている。[13]
- hideに憧れて10代の頃はバンド活動に熱心だった[14](ギターを担当)。
- 過去に、美輪明宏のオマージュでシャンソン歌手活動を断続的に行っていたことがある。
- 2021年に開設した自身のYoutubeチャンネル「平坂アーカイブス」での動画投稿(Twitterユーザーからのお願いで、ネットラジオ「煙草三本分の噺」を平坂アーカイブスにて開始[15])や、主に1940~60年代の日本映画を紹介するツイキャスでの配信イベント「平坂シネマスコープ」[16]の開催など、執筆にとどまらない精力的な活動をおこなっている。
- 国体学者、金子宗徳と親交がある。[17]
- モノマネを得意とする。レパートリーに石原慎太郎[17]、小林よしのり[18]。
- 保守について「テクストと書き手を分けるポストモダンと違い人間に関心がある、作者と作品の総合的理解が保守」と発言。[17]
- 愛煙家。愛煙の銘柄はゴロワーズブロンド。[19]
- TVを持っていない。[19]
- 好きなお笑い芸人は千鳥、とんねるず[19]
- 住みたい場所は北鎌倉。[20]
- 80年代が嫌い。[21]
- 好きな時代劇は「三匹が斬る!」[22]
- 嫌いな脚本家は三谷幸喜。[22]
- 左翼的新劇からの土着的テント芝居の歴史を経て以降、サブカル化してしまった現在の演劇に批判的。[22]
- 女性にカラオケで歌ってもらいたい曲は「MajiでKoiする5秒前」「いい日旅立ち」「リンゴ追分」[23]
- 好きなゲームはセガサターンの「大戦略」「信長の野望 天翔記」[24]
- 似非ダダイストの山本桜子と親交がある。「注目すべき人物」「あの方を知らずに左派を語ったらもぐり」「美学がある」と述べている。[24]
- 2019年に東京大学でジョゼフ・ド・メーストルについての講義をした。エドマンド・バークとの絡み、トマス・アクィナスとアウグスティヌスの近似性などについて。本人曰く「それ以来アカデミーの絡みは何もない」[9]
発言・主張
- 既存の保守主義とは別のカトリックの影響から、原罪を基礎とした反人間主義的な物の見方を好む。
- 安直な憲法改正論に反対する。
- 日本文化チャンネル桜「表現者スペシャル 世界のカオスを考える」[25]に出演時、民主主義に何一つ期待していない旨を表明する。
- 人文科学と社会科学を総合化した人間観や社会観に基づき、革命以後に相対化された保守主義の優位性と必要性を説いている。
- 日本のいわゆる右派と左派両方と交流があるものの、伝統的な保守主義の立場から双方に懐疑的である[26]。
- 元「異端的極左活動家」で、自称ファシストの外山恒一を支持している[27]。
- 伊藤貫について「ものの見方が英米的」と評する。[15]
- 主観的尊敬と客観的尊敬があり、客観的尊敬の条件は「プライベートなものを極限まで裁断した人」[15]
- おばあちゃんこ。祖母は西部邁の数ヶ月前に亡くなる。[15]
- 「女の人は会うまでが楽しくて会ったら何も楽しくない」と述べる。[15]
- 教養について「藤井先生は確信犯的に読むパイを増やす仕事をしているから、これやっとけよ、知っとかないとやばいよ、っていうのは私みたいな忙しくない人がやっとかないといけない仕事」と述べている。[15]
- 移民には「社会がぐらつく」ため反対「共通性がない移民と距離を置いた関係は強く豊かに暮らせない。お互いにとって悪いので、お引き取りください。こういう言い方で帰すしかありませんよね」と述べている。[19]
- コロナ禍に西部邁が生きていたらという問いに「こんな無様な状況に巻き込まれない先生の勘の良さみたいなのを、僕は怯えるくらいすげぇなと思っちゃうわけです」「マスクしてプッシュしてアルコールしてる西部邁、見たくないもん」「半自粛話にも自粛派にも両方乗らないと思いますね、出揃っている言論の全部。小林よしのりさんも含めて、全部に文句言いますよ。誰かと共闘してこれが正しいっていう話にはしないと思う」と答えている。[18]
- ギャンブルに関して「生活を賭けたような賭け方は素直になれなくなりますね、欲が出たりして」と述べている。[28]
- 古谷経衡に関して「僕は別に保守じゃなくてもよかったみたいな話してたのは噴飯物でしたけどね、僕はポストモダンでも良かったみたいな。ポストモダンはあの知性じゃ輪に入れてもらえないと思うよ」と評している。[28]
- 中島岳志に関して「(パール判事論争において)論争自体は小林よしのりの勝ちですよ」「一番コアな部分には触れない人」「西部邁保守主義共通テストを出したら満点を取る、そういうIQが高い人」と評している。[29]
- 秋元康と竹中平蔵を「デフレ的人間」と評している。[21]
- 2021年開催の東京五輪に「やる資格がない」立場。「パンがないのにサーカスやるみたいな話、こんなものに時間取ってる暇ないですよ」と述べている。[22]
- 日本の大衆の政治意識の低さに関して「低くていいんじゃないですか」「政治的エリートがノーブレスオブリージュをお持ちで、かつ面白い言葉を常に吐くような魅力的な人物だったらなんの文句もないんですよ、政治関心が低かろうが」「(自分は)人々を賢くしようなんてサラサラ思ってない。僕は僕のために書いてるし、喋ってる。自分を救済するために」と述べている。[24]
- 文学は年をとってから読むべき、と考えている。[30]
- 橋下徹や維新の会に関して「第三極に右派がでてくること、地方から声があがるのは悪い話じゃないが、ただの清和会の補完政党じゃないですか。がっかりですよ。もの考えない時代にはちょうどいい広告塔なんじゃないですか」「無視でいいでしょあんなの。馬鹿は無視すりゃそれっきり」と評している。[30]
- 適菜収に関して「反左翼的な連中は嫌いだってのはそうだけど、馬鹿に馬鹿って言ったってそんなに味のある話じゃない。反反左翼って良識派みたいなことになってくる」「よしりんとかすごいじゃん、従軍慰安婦論だしながら旧民主党系ともつるむ。そういう懐の深さがないと、思想家っていう感じしない」「自分をB層と信じたくない人のための本になっていませんか」「一番すきなのは『いたこニーチェ』」と評している。[10]
著作
連載
- フランスの保守思想 ジョゼフ・ド・メーストル(『表現者』2015.5 60号〜2016.6 66号)
- 保守のフランス史(『表現者クライテリオン』2018.11月号〜2019.9月号)
- 保守のためのポストモダン講座(『表現者クライテリオン』2021.1月号〜2021.11月号)
- 「美徳としての認識」西部邁先生を偲ぶ(『月刊レコンキスタ』令和4年1月号~3月号)
- 葬られた国民作家 獅子文六(『表現者クライテリオン』2022.9月号~)
寄稿
表現者クライテリオンメールマガジン
- 修羅道を行く フランス保守政治家 ジャン=マリー・ルペン伝(2019.11.29)
- 産業的な、あまりに産業的な 保守とロックバンド文化(2019.12.30)
- 人生の平行棒としての煙草 〜精神的健康増進法〜(2020.2.7)
- 名画座クライテリオン 〜アマプラで観る古風な日本映画〜(2020.3.2)
- 大学の学務の隣に結婚相談所を設置すべし(2020.3.27)
- 政治芸術家・秋山祐徳太子さんを偲ぶ(2020.4.21)
- マスクと人嫌い 奇妙に抽象化された不安について(2020.7.8)
- マリーヌ・ルペン考 「フランス・ポピュリズム」から日本を思う(2020.8.14)
- 巡礼と人間ー同行二人とたこ焼きについて(2020.10.22)
一水会 月刊レコンキスタ
- 「江戸前の反米」ブリキ彫刻家 秋山祐徳太子さんを偲ぶ(令和3年11月号)
- 目白バタイユ 死に至るまでの生を讃えた浪曲師(令和3年12月号)
BEST TiMES記事
- すべての保守言論人が出直すべき理由とは「吟味する精神の欠如」(2021.3.12)https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/871196/
- 日本で東京五輪を開催する価値がない、これだけの理由(2021.3.31)https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/896915/
批評誌『ラッキーストライク』
- 13歳からの反逆罪 ジョゼフ・ド・メーストル『教皇論』の射程(創刊号、2021年)
- 言葉の義人たち 「アンチモダン」に関する試論(二号、2022年)
翻訳
- (山本桜子共訳)トリスタン・ツァラ『逃走』(『イリュミナシオン 創刊号』2021.6)
- 『ジャン=マリー・ル・ペン自伝 上巻(仮)』(KKベストセラーズ、2022年出版予定)
随筆
- 「おかわいさうに」と憲法改正(はてなブログ 西部邁主催・『表現者塾』(旧東京『発言者塾』)2008.10.18)https://hatsugenshajuku.hatenadiary.org/entry/20081018/1224925594
- 美輪明宏 語り部としてのシャントゥール(早稲田大学フランス語フランス文学コース 仏文通信2015.3.3)http://flas.waseda.jp/french/varietes/art/2015/03/03/837
メディア出演
- チャンネル桜『表現者スペシャル 世界のカオスをどう考えるか?』(2015.5.30)
- 西部邁ゼミナール『安保法制改定を巡って』(2015.6.7)
- 西部邁ゼミナール『日米関係を巡って』(2015.6.14)http://sp.nicovideo.jp/watch/sm26484148?cp_in=wt_tg
外部リンク
- 平坂アーカイブス https://www.youtube.com/channel/UCP-DIPjnTvOB1Ccwhr1Rz4g -Youtubeチャンネル
- 平坂純一(@j_hirasaka)https://twitter.com/j_hirasaka -Twitter
- 平坂シネマスコープ https://twitcasting.tv/j_hirasaka/shop -ツイキャス
脚注
- ^ “https://twitter.com/j_hirasaka/status/1320339467828260864”. Twitter. 2022年8月6日閲覧。
- ^ 西部邁と初めて話したのは表現者塾で2006年頃、中央大学在学中の23歳の時。文藝春秋に掲載、新潟県・巻原発の住民投票に関する西部邁の論文「大衆の妄動」を読んで会いに行こうと思った。“煙草三本分の噺 其の八”
- ^ 西部邁塾でのカラオケでは、西部愛唱の蒙古放浪歌が入っているJOYサウンドに案内した。“煙草三本分の噺 其の四”
- ^ 西部邁について「小柄な人特有のクソ頑張りがある。175以上じゃなければみんな俺は勝てるぞ。それも本気さえ出せばみたいな……そういう強がりがずっとある人でしたよ。三島由紀夫もそう」と語る。“煙草三本分の噺 其の十一”
- ^ 西部邁と嫌いな現代政治家は同じであると述べる「小泉、橋下、安倍」“煙草三本分の噺 其の十一”
- ^ 2017年8月19日、西部邁の自宅にて「平坂は詩を書きなさい、文章はすごく上手いが魅力が足りない」「僕は、平坂君が物書きになるのはいいと思う」と評される。この日が西部との最後の会合となる。“煙草三本分の噺 其の六”
- ^ .『表現者 2015年 05 月号』MXエンターテインメント、2015年4月16日、164-171頁。
- ^ 獅子文六について「宮藤官九郎をすげー賢くした感じ。クスリと笑えるみんなが笑える誰も傷つかない、それでいて格調も高い。そういうバランス感覚のある作家」と評している。煙草三本分の噺 其の九
- ^ a b c 煙草三本分の噺 其の十五
- ^ a b 煙草三本分の噺 其の十六
- ^ 結論は、かなりグレーゾーンの不当性がある、というものだった。“煙草三本分の噺 其の十五”
- ^ “https://twitter.com/j_hirasaka/status/1553287551443927040”. Twitter. 2022年8月6日閲覧。
- ^ 煙草三本分の噺 其の十一
- ^ 中学生のころは毎日ギターを弾いていた。指があまり長くないため、簡単なLUNA SEAや黒夢をコピーしていた。“煙草三本分の噺 其の十四”
- ^ a b c d e f 煙草三本分の噺 其の一
- ^ “平坂 純一 - 公式ストア”. twitcasting.tv. 2022年8月6日閲覧。
- ^ a b c 煙草三本分の噺 其の二
- ^ a b 煙草三本分の噺 其の五
- ^ a b c d 煙草三本分の噺 其の三
- ^ 煙草三本分の噺 其の九
- ^ a b 煙草三本分の噺 其の十
- ^ a b c d 煙草三本分の噺 其の十二
- ^ 煙草三本分の噺 其の十三
- ^ a b c 煙草三本分の噺 其の十四
- ^ “表現者スペシャル「世界のカオスをどう考えるか?」”. 2015年5月30日閲覧。
- ^ 保守派でありながら、保守に関しても批評的な視線を送っており「今の保守はものを読まない、与えられた答えが好きっていう。デフレ脱却、MMTもいいんだけれど」と述べている。“煙草三本分の噺 其の一”
- ^ 「左派的な運動のノウハウで右派的な社会のあり方を受容しながらヘゲモニーを取るのがファシストである」と評している。“煙草三本分の噺 其の四”
- ^ a b 煙草三本分の噺 其の六
- ^ 煙草三本分の噺 其の七
- ^ a b 煙草三本分の噺 其の十五