古代宇宙飛行士説
古代宇宙飛行士説(こだいうちゅうひこうしせつ、英: Ancient Astronauts Theory,または英: Space God Theory)とは、人類史上の古代または超古代に宇宙人が地球に飛来し、人間を創造し、超古代文明を授けたという疑似科学の一説である。別名を「太古宇宙飛行士来訪説」、「宇宙人考古学」、「宇宙考古学」ともいう。この範疇でキリスト宇宙人説も唱えられている。
概要
人工衛星から遺跡を調査する考古学の一分野である「宇宙考古学」とは全く異なる物である。また混同されやすいものにArchaeoastronomy アーキオアストローノミ、「考古天文学」がある。これは考古学的に古代人の天文学に関する知識と、天体にかかわる文化活動を研究するものである。
「説」、「学」とついているが、広く認められた説ではなく、学問とも考えられていない。ウズベキスタンのフェルガナ地方で発見された岩絵を本説の証拠として用いられることもあったが、フェルガナ岩絵は雑誌の挿絵を描き写しただけの偽物であった。また東南アジアに広く見られる岩絵を、その人類学的、文化的解釈も考慮しないまま宇宙人飛来の証拠であるとするなど、他分野の知見の無視、学問では当然経るべき史料批判という手順を踏まないなど、論考過程のずさんさが指摘される。オーパーツと関連づけられることが多いのも特徴である。疑似科学と位置づけられることもあるが、科学の体裁を取っていないためむしろオカルトやSFに近い。
説の来歴
空飛ぶ円盤研究団体である宇宙友好協会(CBA)の招きで1961年に来日したジョージ・ハント・ウィリアムスンなど初期の提唱者がいる。その後、古代核戦争説についても関連づけて提唱するものもいる。
エーリッヒ・フォン・デニケンのブーム
スイスの実業家エーリッヒ・フォン・デニケン(表記は「デーニケン」とも)の独: Erinnerungen an die Zukunft(1968年 日本語訳『未来の記憶』、英訳英: Chariots of the Gods? Unsolved Mysteries of the Past、英題の直訳:「神々のチャリオット」)が1970年代に世界的ベストセラーとなり、一大宇宙超古代史ブームを引き起こし広まった説である。とくに『未来の記憶』で旧約聖書の『エゼキエル書』が宇宙人来訪の様子を描写しているとして話題になった。その他ナスカの地上絵も宇宙人に関連するものであるという説が有名である。その後独: Zurück zu den Sternen(『星への帰還』)、『太古の宇宙人-太古に地球を訪れた宇宙人』、独: Erscheinungen(『奇跡』)などの著作が邦訳され、話題となった。その主な内容は以下のとおり。
『未来の記憶』は1960年代にSFマガジン(早川書房)に一部掲載され1969年に『未来の記憶』(松谷健二訳 ハヤカワ・ライブラリ)として刊行されていたがその当時は話題となることはなかった。有名にしたのは角川春樹で、1974年(昭和49年)発刊の『未来の記憶』(松谷健二訳)が角川文庫の「超自然の謎シリーズ」刊行のきっかけとなり、「精神世界」というジャンル創設の草分け的存在である。
デニケンの著作がブームを引き起こしたのは『ノストラダムスの大予言』(五島勉)に象徴される終末論やユリ・ゲラーの超能力が話題を集めた時期と重なり、1970年代のオカルトブームの一翼を担った。
主な論者
- ジョージ・ハント・ウィリアムスン(アメリカ合衆国)
- モーリス・ジェサップ(アメリカ合衆国)
- アレキサンドル・カザンツェフ(ソビエト連邦)
- レイモンド・ドレイク(イギリス)
- エーリッヒ・フオン・デニケン(スイス)
- ロバート・テンプル
- ゼカリア・シッチン(Zecharia Sitchin):仮説上の天体#ニビル/氷惑星に惑星ニビルの記述あり。
- 山口彰(日本)
- 桑野勝久、「人類は皆、神々の子孫」という人類観と歴史観を唱え、その背景をなす物理学的理論のなかで、UFOの推進法や銀河系、太陽系、惑星系などの宇宙における運動を説明する『質量場』の存在を述べている。
古代宇宙飛行士説を設定とするフィクション
- ウルトラマン 第7話「バラージの青い石」(1966年)
- 2001年宇宙の旅(1968年)
- バビル2世(1971年)
- ウルトラマンA 第25話「ピラミッドは超獣の巣だ!」(1972年)
- 大空魔竜ガイキング(1976年)
- ミクロマンM15Xシリーズ(ミクロマンコマンド)(1977年)
- 宇宙海賊キャプテンハーロック(1977年)
- 超時空要塞マクロス(1982年)
- 強殖装甲ガイバー(1985年)
- ふしぎの海のナディア(1990年)
- ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説(1990年)
- スターゲイト(1994年)
- 飛べ!イサミ(1995年)
- 封神演義 (漫画)(1996年)
- ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記(1996年)
- シャーマンキング(1998年)-2009年発売の完全版にて判明
- ウルトラセブン1999最終章6部作(1999年)―地球人自身の先祖が侵略宇宙人と判明
- DADDYFACE(2000年)
- エイリアンVSプレデター(2004年)
- インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(2008年)
- 竜の柩(1989年)遮光器土偶は宇宙人の姿であるとし、主に青森県やトルコを舞台とした高橋克彦の伝奇SF小説。
- 新・竜の柩(1992年)高橋克彦の伝奇SF小説。メソポタミア時代にタイムスリップした主人公達が、宇宙人と出会い、神話の謎などを解き明かす。