利権
利権(りけん)は、利益を伴う(得る、専有する)権利。特に、これを供与し得る地位にある政治家・公務員などと結託することによって、形式的には公的手続きを経て与えられる権益。
かつては御用商人やアメリカ合衆国における猟官制において公然のこととされたが、今日では“利権漁り”は禁じられている。アジアの発展途上国において開発独裁という大統領始め政府関係者がまず先に潤うという利権構造があった。今日、軍需が外国に発注され、開発が外国の融資を仰ぐことが多くなり(貿易に関連する投資措置に関する協定による開発など)、勢い利権も国際化しつつある。
利権構造
多くは国会議員が行う。特に政府から出る税金の支出を第三者に回すことでその第三者から見返りのお金が国会議員に入ってくる。具体例としてはロッキード事件、ダグラス・グラマン事件がある。
様々な利権
名称 | 内容 |
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アイヌ利権 | アイヌ問題を利用し、儲ける利権。アイヌ民族の彫刻家が摘発している。 |
ADHD利権 | 製薬会社が親の会に金を払い、障害と薬の有効性を売り込んでもらう利権[1]。ADHDに関する論争も参照。 |
環境利権 | 一例としては、ペットボトルのリサイクルを宣伝することで罪悪感をなくし、その結果大量消費となる悪循環。 |
管財人利権 | 倒産した企業の財産の処分、営業譲渡、スポンサーの選定に際し、巨額の金銭が動くために発生する利権。 |
北朝鮮利権 | |
寄付利権、募金利権 | チャリティパブリシティと密接な関連がある。寄付・募金収益が弱者支援に回る場合には、次の支援利権とも密接に絡む。 |
警察利権 | 信号機・交通標識、警察向け各種機器、証票の製作などを巡って生じる利権。防衛利権と同様に転用が利かない・複製流用は法的に問題となる物が多いため発生する。また、パチンコなどの遊戯業や風俗業の規制等にからむものも警察利権とされる。 |
建設利権 | 建設業界と談合をすることで、そこから見返りを貰う利権。 |
原発利権 | 原子力発電所・財界に関する利権。 |
港湾利権 | |
再販利権 | 再販制度維持にともなう利権。政・官と業界との互助的な利権。一例としては、公にされたくない情報を新聞・出版業界が結束して秘匿するかわりに、政治・行政側が再販制度を始めとした新聞・出版業界の利益維持を業界の取りまとめ役、または"大物"に裏約束するなどがあげられる。 |
産廃利権 | 産業廃棄物に関する利権[2]。 |
支援利権、ODA利権 | 「支援貴族ビジネス」と呼ばれることもある。 |
障害者利権 | 障害者を利用し、儲ける利権。 |
女活利権 | 女性の活躍促進や男女共同参画社会の実現などの政府施策を利用し、儲ける利権。ダイバーシティやジェンダーなどの外来語が多用される。 |
スポーツ利権 | プロチームのスカウトが将来有望と目した選手に“唾を付け”、関係者にチーム入りを約束させるなどによって生じる利権(契約金も参照)。また、公的な補助金・助成金や民間からの寄付金等を競技団体の役員が不正流用したり、大会開催にともなう放映権やスポンサードで便宜を図るなどして得られる利権[3]。国際競技団体の利権は、各国の国内法で摘発するしかない側面があるため、不正をなかなか正しにくく、たびたび国際的な問題として報じられる[4]。 |
石油利権 | |
たばこ利権 | 財務省とJT、族議員と葉タバコ農家、たばこ小売店、飲食店の間で発生する利権。財務省がたばこ税やJT株の配当金といった既得権益を守るため、受動喫煙防止を目的とした法案の成立を阻害している[5][6][7]。 |
中国利権 | |
鉄道利権 | |
電波利権 | 総務省が管理している、商用で使用できる電波をめぐり、電波使用を希望する企業団体との間で発生する利権。日本などに特有の利権で、外国では電波行政は政府と別の独立委員会(アメリカであれば連邦通信委員会)によって管理されている事が多い。 |
道路利権 | 道路を通すこと、道路保守・管理・工事など道路に関する利権。 |
同和利権 | 同和を利用し、儲ける利権。 |
都市開発利権 | 例として都市部の駅前再開発、人工島、長大橋プロジェクトと関連する利権。建設利権とも密接に関連する。また、都市計画に関する許認可権の利権など。 |
ニート利権 | ニートの雇用創出のために法人を作り、そこで儲ける利権。離婚やシングルマザーによる理由だけではなく、たんに短期や臨時の派遣社員の雇用にしか恵まれないなどの理由で、生活に困窮する女性が増えているとされるが、これについては利権化していない。 |
復興利権 | |
文教利権 | 文教施設・運動施設の建設に関わる利権や、文教関連の補助金・助成金に関わる利権。2001年の中央省庁再編まではあまり着目されなかったが、文部科学省大臣官房文教施設企画部で起きた汚職事件とそれを巡る文科省人事、理化学研究所のSTAP細胞問題、国立競技場や2020年夏季オリンピックのエンブレム白紙撤回騒動などをとおして、一躍注目をあびるようになった。 |
防衛利権 | 国防省・政府と軍需産業の間で発生する利権。特に兵器や装備は民間には使い物にならないだけに、一社随意契約となる。守屋武昌と日米平和・文化交流協会・山田洋行・日本ミライズの例が典型的。 |
放送利権 | |
郵政利権 |
脚注
- ^ レイ・モイニハン、アラン・カッセルズ 著、古川奈々子 訳『怖くて飲めない!―薬を売るために病気はつくられる』ヴィレッジブックス、2006年10月。ISBN 978-4789729796。
- ^ 田村建雄『産廃汚職―利権に群がる議員・業者・暴力団』リム出版新社、2006年11月。ISBN 978-4898001745。
- ^ 醜聞対応後手、利権まみれ…日本スポーツ団体“迷走”の理由. (2014年12月25日) 日刊ゲンダイ.
- ^ ブラッター会長辞任表明で混迷!「巨大利権組織」FIFAの深い闇. (2015年6月5日) PRESIDENT Online.
- ^ 松沢成文『JT、財務省、たばこ利権~日本最後の巨大利権の闇~』ワニブックスPLUS新書、2013年。ISBN 978-4847060649。
- ^ “強固なタバコ利権のために受動喫煙防止法案は骨抜きに”. ビデオニュース・ドットコム (日本ビデオニュース社). (2018年6月1日) 2018年6月2日閲覧。
- ^ “東京五輪をタバコ五輪にしてはいけない”. ビデオニュース・ドットコム (日本ビデオニュース社). (2018年6月2日) 2018年6月2日閲覧。