内閣法制局
内閣法制局 ないかくほうせいきょく | |
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内閣法制局が設置されている中央合同庁舎第4号館 | |
役職 | |
内閣法制局長官 | 山本庸幸 |
内閣法制次長 | 横畠裕介 |
組織 | |
内部組織 | 第一部、第二部、第三部、第四部、長官総務室 |
概要 | |
法人番号 | 1000012010003 |
所在地 | 東京都千代田区霞が関3丁目1番1号 |
定員 | 77人 |
年間予算 | 10億2,832万2,000円(2007年度) |
設置 | 1962年(昭和37年)7月1日 |
前身 | 法制局 |
ウェブサイト | |
www.clb.go.jp 予算・決算 / 所管法令 / 法律ができるまで |
内閣法制局(ないかくほうせいきょく、英訳名:Cabinet Legislation Bureau)は、日本の行政機関の一つ。内閣におかれる機関で、行政府内における法令の審査や法制に関する調査を所掌する。
概要
内閣法制局は、内閣の下で法制についての事務を行う機関であり、その長は、内閣が任命する内閣法制局長官である。また内閣法に言うところの主任の大臣は、内閣総理大臣である。内閣(政府)が国会に提出する新規法案を、閣議決定に先立って現行法の見地から問題がないかを審査することから「行政府における法の番人」といわれる。第二次世界大戦後に一度解体されたが、サンフランシスコ講和条約成立とともにほぼ現在の姿に復活し、1952年8月法制局設置法が施行され、1962年に内閣法制局と改称された[1]。
沿革
- 1875年(明治8年)7月3日、太政官正院の法制課を法制局に改組。
- 正院の呼称は、1877年(明治10年)1月18日に廃止。
- 1880年(明治13年)3月3日、法制局を廃止し、太政官に法制部を設置。
- 1881年(明治14年)10月21日、太政官に参事院を置き、参事院に法制部を設置。
- 1885年(明治18年)12月22日、太政官を廃止し、内閣制度を創設。
- 1885年(明治18年)12月23日、内閣総理大臣の管理に属する法制局を設置。行政部、法制部、司法部の3部構成。
- 1890年(明治23年)6月12日、法制局の位置づけを改め、内閣に属するものとする。部制を廃止。
- 1891年(明治24年)4月10日、部制を復活させ2部制とする(第一部・第二部)。
- 1893年(明治26年)11月10日、法制局の位置づけを改め、内閣に隷するものとする。部制を廃止。
- 1918年(大正7年)5月29日、部制を復活させ2部制とする(第一部・第二部)。
- 1939年(昭和14年)4月28日、2部制を3部制に改める(第一部から第三部まで)。
- 1945年(昭和20年)5月24日、3部制を4部制に改める(第一部から第四部まで)。
- 1945年(昭和20年)9月6日、4部制を3部制に改める(第一部から第三部まで)。
- 1945年(昭和20年)11月24日、法制局に次長を置く。
- 1948年(昭和23年)2月15日、法制局を廃止して司法省と統合し、国務大臣たる法務総裁を長とする法務庁を設置。
- 法務庁では法務総裁のもとに5長官制を敷き、長官のうち、法制局の所管を引き継ぐものとして法制長官と法務調査意見長官とが置かれる。
- 法制長官の指揮監督のもとに長官総務室のほか3局(法制第一局から法制第三局まで)を置く。
- 法務調査意見長官の指揮監督のもとに長官総務室のほか3局(調査意見第一局、調査意見第二局、資料統計局)を置く。
- 1949年(昭和24年)6月1日、国家行政組織法施行に伴い、法務庁を法務府に改組。
- 法務総裁のもとの5長官制を3長官制に改め、法制長官と法務調査意見長官を統合して、法制意見長官を置く。
- 法制意見長官の指揮監督のもとに長官総務室のほか4局(法制意見第一局から法制意見第四局まで)を置く。
- 1952年(昭和27年)8月1日、法務府を解体し、法務省と法制局を設置。
- 法制局の長は法制局長官とし、法制局次長を設置。長官総務室のほか第一部から第三部までの構成とする。
- 1962年(昭和37年)7月1日、法制局を内閣法制局に改称。第四部を増設。
所管事務
内閣法制局の所管事務は概略次のとおりである。
- 内閣提出法律案、政令案および条約案の審査:審査事務
- これが内閣法制局の主たる事務であり、他の法律と抵触する部分はないか、文章の体裁が法令表記の慣例から逸脱していないか等々について審査する。実務上は、各部に所属する内閣法制局参事官が、審査を担当する省庁の課長補佐クラスと協議しつつ法案を起案・修正していく。
- 法律案および政令案の立案、内閣への上申
- 内閣法制局自身が案を立案した例は極めて少ない。
- 法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣および各省大臣への意見開示:意見事務
- 内閣および各府省庁からの意見照会に関する回答を行うことがあるほか、国会において関係大臣の間で意見に相違があるとき閣内統一見解を求められた際に内閣法制局長官が答弁する例が多い。また国会法第74条による質問主意書に対する回答で法制に関するものを含む場合は内閣法制局が関与する。
組織
幹部
- 内閣法制局長官(副大臣待遇)
- 内閣法制次長(事務次官待遇)
内部部局
- 第一部:意見事務を担当
- 憲法資料調査室
- 参事官
- 法令調査官
- 第二部:内閣・内閣府、法務省、文部科学省、国土交通省、防衛省所管法令の審査事務を担当
- 参事官
- 第三部:金融庁、総務省、外務省<条約含む>、財務省、会計検査院所管法令の審査事務を担当
- 参事官
- 第四部:公正取引委員会、公害等調整委員会、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省所管法令の審査事務を担当
- 参事官
- 長官総務室(総務主幹)
- 総務課
- 会計課
- 調査官
人事
キャリア官僚は独自採用せず、各省庁から参事官以上を出向で受け入れ、局長級以上の幹部になるのは原則、法務省、財務省、総務省、経済産業省の4省の出身者だけというのが不文律である。また長官までには、第一部長→法制次長→長官という履歴が1952年以来崩されていないとされる[2]。
意見
- 2010年(平成22年)2月19日に開かれた閣僚懇談会で枝野幸男行政刷新担当大臣が「内閣法制局の意見は大事だが、判断するのは担当大臣の私であり、最終的には閣議だ。内閣法制局の法令解釈に意見がある時は私に直接意見を述べてほしい」と要請、省庁と内閣法制局とで法令解釈が分かれた場合、自身が判断する考えを示した。
文献情報
- 「短報 内閣法制局による憲法解釈小論」間柴泰治 国会図書館レファレンス2008.2[1]
- 「内閣法制局」、『朝日新聞グローブ』第41号(『朝日新聞』2010年6月14日号)G-1 - G-5面。