僕の贈りもの (アルバム)

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オフ・コース1 ⁄
僕の贈りもの
オフ・コーススタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ポップス
ロック
フォーク
レーベル EXPRESS ⁄ 東芝音楽工業
LP:ETP-8258
プロデュース 橋場正敏
オフ・コース
オフ・コース アルバム 年表
-オフ・コース1 ⁄ 僕の贈りもの
1973年
この道をゆけば ⁄ オフ・コース・ラウンド2
1974年
『オフ・コース1 ⁄ 僕の贈りもの』収録のシングル
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オフ・コース1 ⁄ 僕の贈りもの』(オフ・コース1 ぼくのおくりもの)は、1973年6月5日に発売されたオフコース(当時の表記はオフ・コース)通算1作目のオリジナルアルバム

解説

オフコースが小田和正鈴木康博の2人組となって約1年後の1972年夏、デビュー・アルバム制作のプランが持ち上がり、それぞれに書き溜めたオリジナル曲を持ち寄ってレコーディングが行われた。全曲が小田・鈴木のオリジナル曲で構成され、デビュー以降それまでにリリースされた3枚のシングルは、他人の作品だからとの理由により収録されなかった[1][2][3]プロデュースは当時アリスを手がけていた橋場正敏が担当したが、メンバーとの関係はあまり良好ではなかったという[4]

レコーディング・メンバーは小田・鈴木の他に矢沢透ドラムス)、重実博(ベース)。この2人は、杉田二郎がジローズで活動していた頃バックを務めたことがあり、その頃からオフコースとも親しくなっていた。基本の音はすべてこの4人で録音された。重実によれば「ともかく時間がかかった。オフコースは2人とも、まぁうまい人たちだったけど、今よりずっと下手だったんだ。センスなんかも良いんだけど、今に比べるとやっぱり下手だった。で、キンちゃん(矢沢)も僕もテクニシャンじゃないし、いわば4人とも下手だったわけ。だから録音の時、曲の最後まで辿り着くのがやっとみたいな。4人のうち3人がうまくいっても誰かひとりが間違えたり」「楽器を重ねた数はそれほど多くなくて、コーラスがダビングの中では比重を占めてたね。当時、コーラスが多重っていうのは日本で画期的だったと思う。マルチ・レコーディングが始まったばかりで録音技術自体、未熟な頃だもの。だから例えば音質を決めるのに、最初はただ録っておいて、ミックス・ダウンの段階で決めればいいみたいに考えていたわけ。本当は、最初に良い音で録っておかないと、後ではそれ程変えられないんだよね。……でも本当に、必死になってなんとか良いものをつくろうって、根性の結集みたいな迫力はあった。制作期間は……二か月位やってたかなぁ? 当時のアルバム制作としては、時間をとっていたほうだと思う。もっとも歌謡曲に比べればだけど。僕のギャラが全部で5万円位でした」[5]と、後に当時のレコーディングの模様をこう語っていた。

レコーディングは、他のスケジュールの合間を縫って進められ、約1か月半で終了した。収録された11曲中、3曲だけが新たに作ったもので、その他はステージで歌い続けてきた曲だった。

A-1「僕の贈りもの」は、シングルとは別ミックスで[6]、エンディングも20秒ほど短い。

A-4「水曜日の午後」はライブでは鈴木がリードボーカルを取っていた。小田が持ち寄ったこの歌を聞いた鈴木が「いい歌だね」と言うと小田が「だったら、ヤスが歌ってみるか?」と持ちかけ、実現したという。しかし、レコーディングでは「作者が歌ったほうがいい」というディレクターの意向で小田がリード・ボーカルをとっている。根本要が「オフコースの曲の中でいちばん好き」とコメントしており、1996年、阿蘇で行われたスターダスト・レビューとのジョイントコンサートで小田自身「まさかまたこの歌を歌うとは思わなかった」と言いながら披露した。小田が交通事故からの復帰後初のスターダスト・レビューとのジョイントコンサートでも歌っている[7]

B-5「さわやかな朝をむかえるために」は小田の作詞・作曲だが、リード・ボーカルは鈴木がとっている。この他A-2「よみがえるひととき」を小田、A-6「でももう花はいらない」とB-4「静かな昼下がり」を鈴木がそれぞれリード・ボーカルを手がけているが、それ以外の曲は小田と鈴木のデュエット。後に、何故「さわやかな朝をむかえるために」のボーカルを担当する事になったか、とのファンから寄せられた質問に対し、鈴木は自身の公式ホームページで「ボクが歌っていたことさえ忘れていました。思い出せません」「はぁ、ボクが歌っていたことすら忘れていました。そうだったでしたっけ?」と答えている。

A-1「僕の贈りもの」とA-4「水曜日の午後」、A-6「でももう花はいらない」は後にベスト・アルバムSELECTION 1973-78[8]に収録された。

ジャケットは横浜市の根岸森林公園で撮影された。2人の前にある白いピアノはジャケット撮影用に作った模型。

この頃、小田は東北大学工学部建築学科を卒業してから1年後、オフコースの活動と並行して早稲田大学大学院理工学研究科に進学、建築と音楽のどちらをとるかの答えをまだ出せずにいた。一方、鈴木は東京工業大学工学部制御工学科を卒業後、内定していた安川電機への就職を辞退してミュージシャンとしての活動へ踏み出していた。

収録曲

SIDE A
#タイトル作詞・作曲時間
1.僕の贈りもの小田和正
2.「よみがえるひととき」小田和正
3.「彼のほほえみ」鈴木康博
4.「水曜日の午後」小田和正
5.「地球は狭くなりました」小田和正
6.「でももう花はいらない」鈴木康博
SIDE B
#タイトル作詞・作曲時間
1.「歩こう」鈴木康博
2.「ほんの少しの間だけ」小田和正
3.「貼り忘れた写真」鈴木康博
4.「静かな昼下がり」鈴木康博
5.「さわやかな朝をむかえるために」小田和正
オール・ヴォーカル:オフ・コース
ベーシック・アレンジ:オフ・コース、重実博、矢沢透
ストリングス・ブラス・アレンジ:青木望

クレジット

■ミュージシャン
小田和正
 
 
 : 
 
 
Piano
Fender “Rhodes” Electric Piano
Martin D-41 Acoustic Guitar
鈴木康博
 
 
 : 
 
 
Martin D-41 Acoustic Guitar
Conga
口笛
重実博  :  Fender Jazz Bass
矢沢透
アリス
 : 
 
Drums
 
チト河内
六文銭
 : 
 
Drums (B-1のみ)
 
柳田ヒロ
(六文銭)
 : 
 
Fender “Rhodes” Electric Piano (B-1,B-3)
 
羽田健太郎  :  Fender “Rhodes” Electric Piano (A-6)
大野俊三  :  Trumpet (B-1)
鈴木武久  :  Trumpet (B-1)
三森一郎  :  Tenor Saxophone (B-1)
鈴木重雄  :  Tenor Saxophone (B-1)
村岡健  :  Baritone Saxophone (B-1)
金山功  :  Bell, Grockenspiel (A-1)
山内喜美子  :  Harp (A-1)
大富篠亮  :  Fagot (B-4)
堀口忠司  :  Violin (A-3)
■スタッフ
Recording Engineer
 
 : 
 
小菅憲一, 蜂屋量夫
伊藤猛
Re-Mixing & Mastering Engineer  :  小菅憲一
Producer  :  橋場正敏, オフ・コース
Album Design  :  加藤薫
Photography  :  波多健二

CD:TOCT-25631

収録曲

  1. 僕の贈りもの
  2. よみがえるひととき
  3. 彼のほほえみ
  4. 水曜日の午後
  5. 地球は狭くなりました
  6. でももう花はいらない
  7. 歩こう
  8. ほんの少しの間だけ
  9. 貼り忘れた写真
  10. 静かな昼下がり
  11. さわやかな朝をむかえるために

クレジット

  • リマスタリング・エンジニア:行方洋一
  • ジャケット資料協力:喜多雅美 (サウンドステーション)
  • ライナーノーツ:田家秀樹

脚注

  1. ^ 群衆の中で1970年4月5日発売 EXPRESS ⁄ 東芝音楽工業 EP:EP-1224
  2. ^ 夜明けを告げに1971年10月5日発売 EXPRESS ⁄ 東芝音楽工業 EP:ETP-2527
  3. ^ おさらば1972年4月25日発売 EXPRESS ⁄ 東芝音楽工業 EP:ETP-2647
  4. ^ 後に小田が自身の著書『TIME CAN'T WAIT』(1990年12月25日初版 朝日新聞社)での“タンバリン”という章で触れている。
  5. ^ オフコース・ファミリー著『はじめの一歩 1』(サンリオ)P147~151、1983年8月15日初版発行
  6. ^ 僕の贈りもの1973年2月20日発売 EXPRESS ⁄ 東芝音楽工業 EP:ETP-2809
  7. ^ 1998年9月12日、福岡市海の中道海浜公園
  8. ^ SELECTION 1973-781978年5月5日発売 EXPRESS ⁄ TOSHIBA EMI LP:ETP-80015

外部リンク