交響曲第91番 (ハイドン)
交響曲第91番変ホ長調 Hob.I:91は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが1788年に完成させた交響曲。ハイドンの交響曲の古い分類方式によって、まれに「T字」と呼ばれる。
概要
第90番から第92番の3曲の交響曲のうち、第91番はやや地味な存在であり、また3曲のうち、楽器編成が小規模であることが窺える。しかし旧態依然とした作品ではなく、これに続く『ロンドン交響曲集』を予測させるような、意欲的な書法を多く見せている。
楽器編成
フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、チェンバロ、弦五部。
楽章構成
標準的な4楽章制による。演奏時間は約26分。
- 作曲当時のハイドンの通例として、序奏部は4分の3拍子となっている。この序奏は主要部の主題の芽を含んでいると言える。ソナタ形式の主要部は、対位法的な書法を豊かに駆使しており、弦楽による第1主題も効果的に対位法が使われる。展開部、及び結尾も対位法が同じように使われている。
- 第2楽章 アンダンテ(Andante)
- 変奏曲形式による楽章。ハイドンは緩徐楽章において変奏曲を置くことを好んでいた。
- 第3楽章 メヌエット.ウン・ポコ・アレグロ(Menuetto. Un poco allegro)
- メヌエットとトリオだが、トリオは田園舞曲風であり、ファゴットを効果的に使用している。トリオは書法的に交響曲第92番のトリオと関連付けている。
- 第4楽章 フィナーレ.ヴィヴァーチェ(Finale. Vivace)
- ロンドに似た自由なソナタ形式による楽章。コーダの部分に第2ヴァイオリンによる第1主題のストレッタ(模倣の反復)が使われる。