中田耕治

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中田 耕治(なかだ こうじ、1927年11月5日 - )は、作家翻訳家演出家。 東京生まれ。明治大学英文科卒。1946年、在学中に「近代文学」で文壇に登場。「戦後派」の最も若い批評家として知られた。 初期評論はのちに「怪蛇(バジリスク)の眼」(1975年)に収録。活動範囲が広く、多才な作家として知られる。

はじめ「俳優座」養成所の講師として、戯曲論、アメリカ演劇研究などを講義し、やがて「青年座」などで演出にあたる。 1966年「新劇場」で上演した『闘牛』(紀伊国屋劇場)が代表作。 その後「グループシアター」を主宰。マキャヴェッリの『クリーツィア』、ウィリアム・サローヤンの『洞窟の人びと』などを演出。

作家としては1961年『危険な女』で小説家デビュー。初期作品は「中田耕治ハードボイルド・シリーズ」(三一書房)全6巻に収録されている。 1971年澁澤龍彦・編集「血と薔薇」に評伝「ブランヴィリエ侯爵夫人」を発表。作家として大きく転換し、歴史を彩った女性達の評伝を手がけるようになった。 『ボルジア家の人々』で第5回近代文学賞を受賞。 『ルクレツィア・ボルジア』(1975年)、『メディチ家の人々』(1975年)、『メディチ家の滅亡』(1983年)などが大きな山系を形作っている。 フランスの演劇人を描いた『ルイ・ジュヴェとその時代』(2000年)は評伝代表作である。

早くから翻訳を手がけ、ミステリーではハードボイルド派、とくにロス・マクドナルドアイラ・レヴィンなどの紹介者として知られた。新しいSFの紹介にも熱意をもち、アルフレッド・ベスターフィリップ・K・ディックシオドア・スタージョンなど多数を紹介した。

一方、教育者としての面もある。若くして「俳優座」養成所の講師として指導にあたったが、60年代から、大木直太郎(後年・明治大学学長)の推挽で、明治大学日本文学科の講師になり、「小説研究」を講義。後年、90年代に女子美術大学教授。ほかに翻訳学校バベルで翻訳家養成にあたり、多数の新人を登場させた。

また、早くからマリリン・モンローに注目し、我が国におけるモンロー研究の第一人者でもある。

著書

  • 『危険な女』河出書房新社、1961年。 
  • 『異聞猿飛佐助』東都書房、1963年。 のち大陸文庫
  • 『異聞霧隠才蔵』東都書房、1963年。 のち大陸文庫
  • 『暁のデッドライン』河出書房新社、1964年。 
  • 『忍者アメリカを行く』東都書房、1966年。 のち大陸文庫
  • 『異聞真田幸村』東都書房、1967年。 のち大陸文庫
  • 『傷だらけの逃亡』日本文華社、1967年。 
  • 『大江戸どんふぁん』東都書房、1967年。 
  • 『真昼に別れの接吻を』双葉社、1967年。 
  • 『死角の罠』桃源社、1967年。 
  • 『ゼロ大陸・サイゴン』三一書房〈中田耕治ハードボイルド・シリーズ〉、1968年。 
  • 『夜は燃え昼は…』桃源社、1968年。 
  • 『異聞真田幸村・唐人お吉』三一書房〈中田耕治ハードボイルド・シリーズ〉、1969年。 
  • 『江戸で夜だった』三一書房、1969年。 
  • 『怪蛇の眼』創土社、1970年。 評論集
  • 『孤独な獣』桃源社、1970年。 
  • 『太陽と血と砂と』桃源社、1970年。 
  • 『江戸の恋人たち』光風社書店、1970年。 
  • 『ド・ブランヴィリエ侯爵夫人』薔薇十字社、1971年。 
  • 『殺し屋が街にやってくる』桃源社、1971年。 
  • 『週末は死の恋人』桃源社、1971年。 
  • 『青い薔薇:性の倒錯ヴァリエイション』新評社、1972年。 
  • 『ソウルフル・サーカス』昭文社出版部、1973年。 
  • 『剣と恋の砦』桃源社、1974年。 
  • 『ハウハウ受験英語塾』二見書房〈サラ・ブックス〉、1975年。 
  • ルクレツィア・ボルジア』集英社、1975年。 のち文庫
  • 『私のアメリカン・ブルース』南窓社、1977年。 
  • 『艶笑コレクション:面白さ品質保証:古今東西小咄集』日本ジャーナルプレス新社、1978年。 
  • 『異聞沖田総司:ひとりぼっちのあいつ』桃源社、1979年。 のち大陸文庫
  • 『誘惑』現代書林、1979年。 
  • 『メディチ家の人びと:ルネサンスの栄光と頽廃』集英社、1979年。 のち河出文庫、講談社学術文庫
  • 『中田耕治のコージー・コーナー』大和美術印刷出版部、1979年。 
  • 『裸婦は裸婦として:人間ピカソ』サンケイ出版、1982年。 
  • 『メディチ家の滅亡』青土社、1983年。 のち河出文庫
  • 『60分で読める武将おもしろまじめ物語:とても同じ日本人とは思えない』双葉社、1984年。 
  • 『おお季節よ城よ:私のヴィタ・セクスアリス』オール出版、1990年。 
  • 『マリリン・モンロー論考』青弓社〈中田耕治コレクション1〉、1991年。 
  • 『ルネサンスの肖像』青弓社〈中田耕治コレクション2〉、1992年。 
  • 『異端作家のアラベスク』青弓社〈中田耕治コレクション3〉、1992年。 
  • 『エロス幻論』青弓社〈中田耕治コレクション4〉、1994年。 
  • 『鞭打ちの文化史』青弓社〈中田耕治コレクション5〉、1994年。 
  • ルイ・ジュヴェとその時代』作品社、2000年。 
  • 五木寛之論:時の過ぎゆくままに』響文社、2004年。 

編集

  • 『推理小説をどう読むか』三一書房、1971年。 
  • 『マリリン・モンロー:ドキュメント』三一書房、1974年。 
  • 『娼婦へのレクイエム:娼婦小説アンソロジー』白夜書房、1981年。 
  • 『ファースト・ラブ:「初恋」小説集』集英社〈文庫コバルトシリーズ〉、1982年。 
  • 『映画の小さな学校』青土社、1984年。 

翻訳

  • ミッキー・スピレイン『裁くのは俺だ』早川書房、1953年。 のち文庫
  • アルフレッド・ヘイズ『ヴィアフラミニアの女』早川書房、1954年。 
  • ヘミングウェイ『持つことと持たざること』荒地出版社、1954年。 
  • ジョン・R・マクドナルド『人の死に行く道』早川書房、1954年。 のち文庫
  • ヘミングウェイ『春の奔流』河出文庫、1955年。 
  • ヘミングウェイ『ヘミングウェイ短篇集』荒地出版社、1955年。 北村太郎共訳
  • ヘンリイ・ケイン『地獄の椅子』早川書房〈世界探偵小説全集〉、1955年。 
  • アーサー・クラーク『宇宙島へ行く』銀河書房、1955年。 
  • セント・ジョン『消えたロケット』銀河書房〈少年少女科学小説選集〉、1956年。 
  • メエリイ・チェーズ『バーナーディーン』白水社〈現代海外戯曲〉、1956年。 
  • レオ・トルストイ戦争と平和』早川書房、1956年。 
  • J・R・マクドナルド『犠牲者は誰だ』早川書房〈世界探偵小説全集〉、1956年。 
  • J・R・マクドナルド『死体置場で会おう』早川書房〈世界探偵小説全集〉、1956年。 
  • トマス・B・デューイ『非情の街』早川書房〈世界探偵小説全集〉、1957年。 
  • E・S・ガードナー『幸運の脚』早川書房〈世界探偵小説全集〉、1957年。 
  • ブレット・ハリディ『夜に目覚めて』早川書房〈世界探偵小説全集〉、1957年。 
  • カート・シオドマク『ドノヴァンの脳髄』早川書房、1957年。 
  • アルフレッド・ベスターわが赴くは星の群』講談社、1958年。 のち『虎よ、虎よ!』に改題
  • ディヴィッド・アリグザンダー『恐怖のブロードウェイ』早川書房、1958年。 
  • ロス・マクドナルド『運命』早川書房〈世界探偵小説全集〉、1958年。 
  • モード・ハッチンス『ノエル:一少女の性の告白』荒地出版社、1959年。 
  • E・S・ガードナー『埋められた時計』早川書房〈世界ミステリシリーズ〉、1959年。 
  • ハロルド・グリーンウォルド『コール・ガール:一精神分析医の診断記録』荒地出版社、1959年。 
  • フィリップ・K・ディック『宇宙の眼』早川書房、1959年。 
  • ヘレン・マクロイ『殺す者と殺される者』創元推理文庫、1959年。 
  • ウィリアム・P・マッギヴァーン『ゆがんだ罠』創元推理文庫、1960年。 
  • クロンハウゼン『性文学をどう読むか』新潮社、1960年。 
  • ロバート・ブロック『夜の恐怖』早川書房〈世界ミステリシリーズ〉、1960年。 
  • エド・マクベイン『麻薬密売人』早川書房、1960年。 のち文庫
  • リチャード・マーステン『ビッグ・マン』創元推理文庫、1960年。 
  • J・R・マクドナルド『ギャルトン事件』早川書房、1960年。 
  • W・P・マツギヴァーン『悪徳警官』東京創元社〈世界名作推理小説大系〉、1961年。 のち創元推理文庫
  • フレドリック・ブラウン『B.ガール』東京創元社〈世界名作推理小説大系〉、1961年。 
  • W・P・マッギヴァーン『恐怖の限界』創元推理文庫、1961年。 
  • シーリア・フレムリン『夜明け前の時』東京創元社、1961年。 
  • ロス・マクドナルド『わが名はアーチャー』早川書房、1961年。 
  • ヘンリイ・ケイン『マーティニと殺人と』早川書房、1962年。 
  • W・P・マッギヴァーン『虚栄の女』創元推理文庫、1962年。 
  • レオン・ユリス『ミーラ街18番地』新潮社、1963年。 
  • コナン・ドイルある姫の失踪』集英社〈世界の名作推理:第6〉、1964年。 
  • ドイル『四つの署名バスカーヴィルの犬』集英社〈世界の名作推理:第5〉、1964年。 
  • ドイル『緋色の研究恐怖の谷』集英社〈世界の名作推理:第4〉、1964年。 
  • ドイル『シャーロック・ホームズの帰還踊る人形』集英社〈世界の名作推理:第3〉、1964年。 
  • ドイル『グロリア・スコット号』集英社〈世界の名作推理:第2〉、1964年。 
  • ドイル『まだらの紐』集英社〈世界の名作推理:第1〉、1964年。 
  • アルフレッド・ベスター虎よ、虎よ!』早川書房、1964年。 (『わが赴くは星の群』を改題したもの)のち文庫
  • アナイス・ニン『愛の家のスパイ』河出書房新社〈人間の文学〉、1966年。 
  • ヘミングウェイ『蝶々と戦車』河出書房新社、1966年。 
  • ジェイムズ・M・ケイン郵便配達は二度ベルを鳴らす』集英社〈世界文学全集〉、1967年。 のち文庫
  • A・E・ホッチナー『パパ・ヘミングウェイ』早川書房、1967年。 のち文庫
  • エドナ・オブライエン『傷ついた平和』講談社、1968年。 
  • オークシイ紅はこべ』筑摩書房〈世界ロマン文庫1〉、1969年。 のち河出文庫
  • ハンター・デヴィス『ビートルズ』草思社、1969年。 小笠原豊樹共訳
  • アイラ・レヴィン死の接吻』早川書房、1970年。 
  • ダグラス・A・ヒューズ『ポーノグラフィ論』研究社出版、1971年。 
  • ヘンリー・ミラー『北回帰線からの手紙』晶文社、1972年。 深田甫共訳
  • リチャード・バック『王様の空』三笠書房、1974年。 
  • フレッド・ローレンス・ガイルズ『マリリン・モンローの生涯』集英社、1974年。 
  • バーバラ・レイン『フッカーズ』三笠書房、1974年。 
  • ローラ・バーフォード『悪徳の報酬:極めて道徳的な物語』立風書房、1975年。 杉崎和子共訳
  • レイモンド・チャンドラー他(編)『恐怖の1ダース』出帆社、1975年。 のち講談社文庫
  • オスカー・ワイルド『ウィンダミア卿夫人の扇』出帆社〈オスカー・ワイルド全集4〉、1976年。 
  • イッサー・ハレル『獣は鎖に繋げ!:緊急極秘指令:600万人殺戮の元凶アイヒマン生け捕り作戦』読売新聞社、1977年。 
  • カトリーヌ・リュシエール『恋人の秘密』フランス書院、1977年。 
  • ステファン・ルイス『家出娘』二見書房、1978年。 
  • エドナ・オブライエン『愛に傷ついて』集英社文庫、1978年。 
  • フィリップ・ヴァン・リント『ヒトラーの裁判』双葉社、1980年。 
  • リアノー・フライシャー『ステイン・アライブ』集英社文庫、1983年。 
  • S・E・ヒントン『非行少年』集英社文庫、1983年。 
  • S・E・ヒントン『アウトサイダー』集英社文庫、1983年。 
  • S・E・ヒントン『おれたちのレクイエム:続・アウトサイダー』集英社文庫、1983年。 
  • D・セルツァー『オーメン』河出文庫、1985年。 
  • アーヴィング・ウォーレス『第七の機密』二見文庫、1986年。 
  • アンソニー・サマーズ『女神-マリリン・モンロー:“永遠のスター”の隠された私生活』サンケイ出版、1987年。 
  • H・B・ギルモア『危険な情事』扶桑社、1988年。 
  • マイケル・ハードウィック『魔犬の復讐:新シャーロック・ホームズ』二見文庫、1989年。 
  • クライヴ・バーカー『ダムネーション・ゲーム』扶桑社、1991年。 松本秀子共訳
  • ドイル『シャーロック・ホームズ傑作選』集英社文庫、1992年。 
  • アイラ・レヴィン硝子の塔』扶桑社、1993年。 
  • スコット・フィッツジェラルド『わが失われし街:スコット・フィッツジェラルド作品集』響文社、2003年。 

外部リンク