ロシアンルーレット

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ロシアンルーレット (Russian roulette) は、リボルバー式拳銃に一発だけ実包(弾薬)を装填し、適当にシリンダー回転させてから自分の(特にこめかみ)に向け引き金を引くゲーム。弾丸が入っていると予想した場合、天井に向けて引き金を引くことも可能とされるが、不発の場合無条件で負けとなる。なお、リボルバーは設計上、シリンダーのどの穴に弾が入っているか視認できる。よって残りの穴にダミーカートリッジを装填する、目隠しをするなどの対策をとるか、或いは何らかの理由で判断力を失っているか強制されている場合でもなければ、ルールにより負けにはなっても死を避けることは難しくないと考えられる。

実際に行われた例は少なく、フィクションで有名になった後、それを真似る者が出てきたと言って良い。そのため、以下の説明も多くをフィクション上の設定に頼っている。

目的

次のような目的で行われるとされる。

勇気を示すため。あるいは度胸試し。
軍人、犯罪者、若者などが自分達の勇気・度胸を誇示するために行う。酔った勢いなどで行った実例が多い。
裏賭博における賭け
ピカレスク小説などフィクションの題材としては良く使われる。犯罪性が高いため表に出ることは無く、実際に行われているかは不明。
囚人、捕虜に対する拷問、虐待
元々のロシアにおける伝説や映画『ディア・ハンター』で描かれている。噂や風説の類は存在するが、実際に行われたかは不明。
自殺の一種
自殺を考えながらも躊躇している人間が、運試しを兼ねて行う。実際に実行したと述べる人間もいるが、証明ができないため事実かどうかは不明。

ゲーム方式

1人

弾を込めて、1発か、あらかじめ設定した回数続けて引き金を引く。

複数人

ランダム方式
1人が引き金を引いた後、再び弾倉を回転させ次の者に渡す。これを弾が出るまで続ける。
順番方式
1人が引き金を引いた後、そのまま次の者が引き金を引く。同じく弾が出た時点で終了となる。

歴史

名前の通りロシアが発祥の地とされ、「帝政ロシア軍で行われていた」、あるいは「囚人が看守に強要されたゲーム」だと言われるが、確証は無い。

文書にロシアンルーレットの名称が現れたのは、1937年にGeorges Surdezが書いた短編小説が最初である。1917年ごろのロシア革命時にルーマニアに駐屯していたロシア帝国軍で、全てを失ったと感じた軍人達が自暴自棄になって始めたゲームだと、フランス外人部隊のロシア人軍曹が説明している。

しかし、1905年と1921年に出版された、退役ロシア帝国軍人が書いた回顧録には、様々な自殺的、自暴自棄な行動が描かれているが、ロシアンルーレットを思わせる記述は無い。

ロシアンルーレットを髣髴とさせる古い記述として、ミハイル・レールモントフの『現代の英雄』(1840年)の最終章である「運命論者」に、ロシア軍のセルビア人中尉が拳銃の銃口を自分の額に当てて引き金を引くという賭けを行う場面が登場する。しかし作中では賭けに特別な名称は示されず、またその賭け自体もそれを行ったセルビア人中尉が即興で思い付いたものとして描写されている。

派生

バラエティ番組などでは、

  • 何本かある紐のうちハズレの1本を引くまたは切ると、風船が割れたり水やタライが降ってきたりする。
  • 用意された食べ物のうち、1つだけわさびなどの調味料が大量に入ったハズレがある(逆にハズレが複数のパターンもある)。

などのゲームとして登場する事が多い。

その他、日本テレビダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』では様々なロシアンルーレットを行なっており、ロシアンルーレットに負けて実害を被った後、さらに罰ゲームが科せられる。

また、居酒屋やカラオケなどの飲食店では、1つだけわさびが大量に入った「ロシアンたこ焼き」等のメニューとして出している所もある。

近年ではパーティーグッズの一種として、拳銃型のグリップに膨らませた風船を取り付け、トリガーを引くとランダムで風船が破裂するという玩具も存在し、危険性を伴わずにスリルだけを楽しむことができる。

実際の事件

テキサス州でマイケル・バーバー・ジュニアとブライアン・トッド・ウォーカーが2006年3月に実行、命中したマイケルはアマリロの病院に運び込まれたがまもなく死亡した。21歳だった。銃の持ち主のブライアンは逮捕された。

マルコムXは若い頃に実行したことがあると告白している[1]

グレアム・グリーンは若い頃に実行したことがあると後に著書、『A Sort of Life』で告白している。

その他「自動装填式銃でロシアンルーレットを行ったこと」を理由としてダーウィン賞を受賞した人物が存在している。(銃の仕組みから、故意に不発弾を紛れ込ませるというルールでない限り、引き金を引けば確実に弾丸は発射されることになる。本人は死亡している)。

映画・テレビに出てくるロシアンルーレット

  • 1955年の映画『夏の夜は三たび微笑む』では、女性が原因で起こったトラブルを解決する手法として、登場人物たちがロシアンルーレットで対決するシーンがある。
  • 1978年の映画『ディア・ハンター』では、ベトナムの捕虜となった主人公たちがロシアンルーレットを強いられるシーンがある。
  • 1980年村川透監督の東映映画『野獣死すべし』では、クライマックス、列車内で松田優作演じる伊達邦彦が、伊達に尋問を始めた刑事の柏木(演:室田日出男)から拳銃を奪い、シリンダーに弾丸を一発残し、拳銃を柏木に向けて引き金を次々引きながらリップ・ヴァン・ウィンクルの話をするシーンがある。
  • 1993年の北野武監督『ソナチネ』では、沖縄の浜辺で軽いノリでロシアンルーレットをするシーンがある。
  • 2002年のテレビドラマ「私立探偵 濱マイク」の第10話「1分間700円」で、浅野忠信演じる殺し屋が、ロシアンルーレットで殺人依頼を進めていく。
  • テレビドラマ「24 -TWENTY FOUR-」のシーズン3で、主人公のジャックが脱獄幇助の際にロシアンルーレットをやらされるシーンがある。
  • 1997年の米国映画『プレッシャー/壊れた男』の中でチャーリー・シーン扮する主人公がロシアンルーレットに興じる場面がある。劇中このゲームの発祥と由来についても語られる。
  • 2000年の映画『誘拐犯』で、「運び屋」と呼ばれるマフィアの老兵の一人が自殺のために数丁のリボルバーの一つに1発込めてロシアンルーレットを行なっている。
  • 2005年の映画『13/ザメッティ』では13人がロシアンルーレットをする姿を全編において描写している。
  • ドラえもんのひみつ道具において、3つが幸運を呼ぶ赤玉、1つが不幸を呼ぶ黒玉の4発をリボルバーに装填して自分の頭に向け引き金を引くというものが存在する(ラッキーガン)。
  • テレビドラマ『太陽にほえろ』の第493話「スコッチよ、静かに眠れ」でスコッチ刑事が犯人を自供に追い込むためにロシアンルーレットを行う。
  • テレビドラマ『大都会 PARTIII』の第32話「城西市街戦」で虎田功刑事が犯人をロシアンルーレットで拷問した。
  • 2009年のテレビドラマ「ライアーゲーム」Season2 第1話、第2話において24連装ロシアンルーレットというゲームが行われた。
  • 2010年のテレビドラマ「ブラッディマンデイ Season2」第4話において、いじめっ子といじめられっ子との間でロシアンルーレットが行われた。
  • 2005年の映画『13/ザメッティ』とそのリメイク作品である2010年の映画『ロシアン・ルーレット』 複数のプレーヤーが自分自身ではなく互いの後頭部を打ち抜く、変形ルール。


脚注

  1. ^ Edward Rothstein (2005年5月19日). “The Personal Evolution of a Civil Rights Giant”. ニューヨーク・タイムズ. 2015年9月5日閲覧。

関連項目

外部リンク