アミメニシキヘビ
アミメニシキヘビ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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アミメニシキヘビ Malayopython reticulatus
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保全状況評価[1][2][3] | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Malayopython reticulatus (Schneider, 1801) | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
アミメニシキヘビ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Reticulated python |
アミメニシキヘビ(網目錦蛇、Malayopython reticulatus)は、ニシキヘビ科マレーニシキヘビ属に分類されるヘビ。特定動物に指定されている。別名レティキュレートパイソン、レティック、マレーニシキヘビ。
分布
[編集]インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、ラオス など、南アジア~東南アジアにかけての一帯の、温暖湿潤気候~熱帯雨林の地域を中心に生息している。
形態
[編集]オオアナコンダとともに、世界最長のヘビ。文献によっては最大全長990cmとされる。ただし体重は、全長が等しい場合オオアナコンダよりも軽い(軽いとはいえ150kgを超える個体も確認されている)。
背面に網目状の斑紋が並ぶ。種小名reticulatusは「網目模様の」の意で、和名や英名と同義。
分布が広いため体色や全長は地域によっても異なり、大型化する地域がある反面インドネシアのジャンペア島の個体群は最大全長が250cm程度とも言われている。
生態
[編集]熱帯雨林や耕作地など、幅広い環境に生息する。シンガポールでは下水道にも生息する。幼蛇時には樹上棲傾向が強いが、成長に伴い地表棲となる。夜行性で、昼間は茂みや樹洞などで休む。
食性は動物食で、爬虫類、鳥類、哺乳類などを食べる。大型個体ではマレーグマやヒトの捕食例もある。
口と牙で獲物に噛み付いた後、長い身体で巻き付き、窒息するまでゆっくり締め上げるとされてきた。しかし、2015年頃から、窒息ではなく、強く獲物の体を締め上げることで、獲物の心臓を止めて殺すことが分かった。上手く締め付けると、わずか数秒で獲物は死亡するため、窒息よりも速く殺すことが可能である。獲物を殺した後、丸呑みにする[4]。
繁殖形態は卵生で10-50個、多いときには100個もの卵を産む。メスは卵の周りにとぐろを巻き保護する。
また、メスがオスとの交配無しで単独で子供を作る単為生殖をすることも確認されている[5]。
人間との関係
[編集]皮はそのアミメの美しさと、体長の大きさによる加工のしやすさから、革製品として利用される。
食用とされることもあり、味は鶏肉のようで、美味とされる。
ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されている。動物愛護法によって特定動物に指定されており、大型化しないとされる個体群においても別種や亜種として分割されていないため、飼育には地方自治体の許可が必要であった。2020年6月1日から愛玩目的での飼育は禁止され、新たに飼育許可が下りなくなった[6]ため、現在飼育されている個体の飼い主はそれ以前に許可を得ている人々である[7]。
事件
[編集]- 茨城県の死亡事件
- 2012年4月14日午後11時5分ごろ、茨城県牛久市に住む男性が長男の経営するペットショップの飼育場で倒れているのが発見された。飼育されていた体長約6.5mのアミメニシキヘビが何らかの理由で飼育されていた木製の檻から出て男性を襲ったとみられ、男性には右腕や頭にかまれた痕、首や頭には絞められた痕があり、収容先の病院で間もなく死亡が確認された[8][9]。
- インドの丸飲み事件
- 2013年11月、インドで泥酔して路上に寝込んだ男性を襲って飲み込んだとされる、アミメニシキヘビの丸々太った体の写真が報道された[10]。ただし、この写真は、2012年8月には中国で飲み込まれたとネット上で流布され、撮影地がインドかどうか、実際に飲み込んだものが何かも定かではないことが指摘されている[11]。
- 神奈川県の脱走事件
- 2021年5月6日には、神奈川県横浜市の集合住宅で飼われていた体長約3.5m、体重約10キロのアミメニシキヘビが逃亡し、飼い主が通報して警察が捜索する事件があった。警察は延べ269人を動員して、集合住宅から約300mの範囲内を捜索、餌となっていた冷凍ラットを囮にした捕獲作戦などを行ったが、発見に至らずに5月21日に警察の捜索が終了した。
- 飼い主の依頼を受けて捜索に協力していた白輪剛史(日本爬虫類両生類協会理事長)は、外気温の低さやこれまでの捜索で見つからなかったことなどから「まだ建物内部に潜んでいるのではないか」と推測。さらに、集合住宅の住人から「天井裏で生き物が動くような音を聞いた」という証言もあったため、管理会社と賃貸主が協議の上で、アパート住人の許可を得て、同月22日に地元警察・消防の立ち会いのもとで集合住宅の建屋構造内の捜索が行われた[12]。
- 捜索の結果、同日夕方頃に集合住宅の屋根裏の骨組みに巻き付いている状態で発見され、発生から17日後の5月22日に無事に捕獲された[13][14]。捕獲された個体は野毛山動物園へ移送され、同地で保管されている[15]。その後、茨城県の販売業者に譲渡され、2重のドアがあるケージで厳重に管理されているという[16][17]。
- 神奈川県警戸塚署の調べによると、飼い主は2017年7月に飼養許可をえて個体を飼い始めたが、無届けのままケージを木製のものに変更。ヘビが脱走した時点で、箱の引き戸カギが壊れた状態であったという。飼い主は6月10日に動物愛護法違反で書類送検された[18]。9月7日には略式起訴されている[19]。横浜簡易裁判所は同月9日付で罰金30万円の略式命令を出した[20]。
- 横浜市は、飼い主が市の許可を受けたケージとは違うケージで個体を飼育し、施設設備も十分でなかったとみて「県警と相談しながら法令に照らした対応を取る」としていた[21]。1980年に宮崎県延岡市でコブラが脱走した際には、飼い主に対して捜索費用など1000万円の損害賠償請求が認められた判例があるため、今回のケースも飼い主の重過失として、横浜市が損害賠償請求をする可能性があるという。
- 捜索に協力していた白輪剛史のもとには、この騒動の後に別の個体の飼い主から「飼育に家族から反対を受け、手放さざるを得ない」と電話相談があり、行政とも相談のうえで引き取ったという[17]。
- インドネシアの丸呑み事件
- 2018年に、54歳の女性が体長7mのアミメニシキヘビに丸呑みされた[22]。
- 2020年6月、インドネシア南東のスラウェシ州ボンバナ県で、16歳の少年が体長7mのニシキヘビに襲われ死亡。事件はルンビア地区カハル山の滝の近くで起きた。ヘビに襲われ少年が叫び、近くにいた他の友人たちが駆けつけたとき、少年はヘビに巻きつかれ太ももを噛まれていた。助けを呼び、ナタでヘビを殺したが、少年は助からなかった[24]。
- 2022年、スマトラ島ジャンビ州のゴム農園勤務の女性が死亡[23]。
脚注
[編集]- ^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng>(download 22/01/2020)
- ^ UNEP (2020). Chelonia mydas. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (download 22/01/2020)
- ^ Seminoff, J.A. (Southwest Fisheries Science Center, U.S.) 2004. Chelonia mydas. The IUCN Red List of Threatened Species 2004: e.T4615A11037468. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2004.RLTS.T4615A11037468.en. Downloaded on 22 January 2020.
- ^ “【動画】ニシキヘビの中から人の遺体、詳細は”. ナショナルジオグラフィック. (2017年3月30日) 2017年4月2日閲覧。
- ^ “アミメニシキヘビの単為生殖を初確認”. 日経ナショナルジオグラフィック. (2014年10月27日) 2021年5月16日閲覧。
- ^ 「《横浜市》逃走中のアミメニシキヘビ、飼い主が語った“最悪のシナリオ”」『週刊女性PRIME』主婦と生活社、2021年5月16日。2021年5月22日閲覧。
- ^ “環境省_特定動物(危険な動物)の飼養又は保管の許可について [動物の愛護と適切な管理]”. 環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室. 2021年5月22日閲覧。
- ^ “ペットのニシキヘビに襲われ66歳死亡 茨城・牛久”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). (2012年4月15日). オリジナルの2012年4月15日時点におけるアーカイブ。 2021年7月6日閲覧。
- ^ 「体長6.5メートルのヘビに襲われ?男性死亡 茨城」『日本経済新聞』2012年4月15日。2021年5月23日閲覧。
- ^ “Python eats drunk man in India”. Lords of the Drinks (2013年11月27日). 2017年4月21日閲覧。
- ^ “「巨大ニシキヘビが人を丸呑みした写真」は本物か”. ハフィントンポスト日本版. (2013年12月2日) 2017年4月21日閲覧。
- ^ 「【速報】逃走中のアミメニシキヘビを捕獲「やっぱり屋根裏にいた!」」『週刊女性PRIME』主婦と生活社、2021年5月22日。2021年5月22日閲覧。
- ^ 「アミメニシキヘビを捕獲! アパートの屋根の骨組みに巻き付いていた」『nikkansports.com』日刊スポーツ新聞社、2021年5月22日。2021年5月22日閲覧。
- ^ 横浜市戸塚区役所 [@yokohama_ttk] (2021年5月22日). "【ご協力に感謝いたします】 #アミメニシキヘビ の捜索にあたり、近隣の皆様、消防団の皆様、的確なアドバイスをいただきました専門機関の皆様、その他多くの方のご協力により、本日、無事発見・確保することができました。 ありがとうございました。 皆様のご協力に心より感謝いたします。 #戸塚区". X(旧Twitter)より2021年7月6日閲覧。
- ^ 「アミメニシキヘビ騒動追い17日、振り返る記者の手に最後に残ったのは?」『nikkansports.com』日刊スポーツ新聞社、2021年5月22日。2021年5月22日閲覧。
- ^ “逃げたアミメニシキヘビ 飼い主書類送検 無許可でケージ変更か”. NHKニュース (日本放送協会). (2021年6月10日). オリジナルの2021年6月16日時点におけるアーカイブ。 2021年7月6日閲覧。
- ^ a b 「アミメニシキヘビ“騒動”で手放す人が…」『日テレNEWS24』日本テレビ、2021年6月9日。2021年6月10日閲覧。
- ^ 「脱走ニシキヘビの飼い主を書類送検…飼養施設を無許可で変更「申請が面倒だった」」『読売新聞オンライン』読売新聞、2021年6月10日。2021年6月10日閲覧。
- ^ “アミメニシキヘビの逃走事件から4ヶ月 元飼い主の刑事処分はどうなったか【追記あり】(前田恒彦) - 個人”. Yahoo!ニュース(2021年9月11日). 2021年11月3日閲覧。
- ^ “横浜のヘビ元飼い主に罰金30万円 無許可で飼育設備変更”. カナロコ by 神奈川新聞(2021年9月16日). 2021年11月3日閲覧。
- ^ 「横浜のアミメニシキヘビ 野毛山動物園が一時預かり」『カナロコ』神奈川新聞社、2021年5月24日。2021年7月6日閲覧。
- ^ a b ニシキヘビがまた人を丸のみに、事故増えている? | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト
- ^ a b c ニシキヘビの体内に行方不明の女性...「腹を切開するシーン」が公開される(海外)(ニューズウィーク日本版) - Yahoo!ニュース
- ^ “Seorang Pelajar SMP Dililit Ular Piton hingga Tewas” (インドネシア語). Kompas. (2020年6月15日) 2024年10月20日閲覧。
- ^ 【動画】膨らんだアミメニシキヘビの腹を、村の人々が切開するシーン(閲覧注意)|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、143頁。
- 『爬虫類・両生類800図鑑 第3版』、緑書房、2002年、56-57、151頁。
- 『爬虫類・両生類800図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、96頁。
- 『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館、2004年、117頁。
- 山田和久『爬虫・両生類ビジュアルガイド ヘビ』、誠文堂新光社、2005年、77頁。