モノテルペン

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モノテルペン (Monoterpene) は、テルペンの分類の1つで、2つのイソプレン単位からなり、C10H16分子式を持つものである。線形(非環式)のものと環を含むものがある。酸化転位反応等の生化学修飾によって、モノテルペノイドを生成する。

非環式モノテルペン

イソペンテニル二リン酸ジメチルアリル二リン酸は、生合成により結合して、ゲラニルピロリン酸を形成する。

ゲラニルピロリン酸
ミルセン

ピロリン酸基の脱離によって、オシメンミルセン等の非環式モノテルペンが生成する。またリン酸基の加水分解によって、非環式モノテルペンのゲラニオールが生成する。さらに転移や酸化によって、シトラールシトロネラールシトロネロールリナロールやその他多くの化合物が生成する。海洋生物で見られる多くのモノテルペンは、ハロモンのようにハロゲン化されている。

単環式モノテルペン

線形構造にイソプレンが結合することで、環が形成される。モノテルペンに最も多く含まれるのは、六員環である。ゲラニルピロリン酸を環化すると、 リモネンが生成する。


テルピネンフェランドレンテルピノレンも同様に生成する。これらの化合物をヒドロキシル化し脱水すると、シメンが生成する。単環式モノテルペンの誘導体である重要なテルペノイドには、メントールチモールカルバクロール等がある。

複環式モノテルペン

ゲラニルピロリン酸は、二度の環化反応によって、ピネンのような複環式モノテルペンを生成する。


その他の複環式モノテルペンには、カレンサビネンカンフェンツジェン等がある。樟脳ボルネオールシネオールは、それぞれケトンアルコールエーテルを含む例である。

気候への影響

モノテルペンは森林から放出され、雲凝結核として働くエアロゾルを形成する。このようなエアロゾルは、雲の明るさを増し、温度を下げる[1]

利用

リナロールのようないくつかのモノテルペンは抗細菌活性を持つ。

出典

  1. ^ D. V. Spracklen, B. Bonn, K. S. Carslaw (2008). “Boreal forests, aerosols and the impacts on clouds and climate”. Phil. Trans. R. Soc. A. 366 (1885): 4613-26. Bibcode2008RSPTA.366.4613S. doi:10.1098/rsta.2008.0201. PMID 18826917. http://homepages.see.leeds.ac.uk/~eardvs/papers/spracklen08c.pdf.