ヘビー級
ヘビー級(英: heavy weight)は、ボクシングなどの格闘技で用いられる階級の1つである。ヘビーは「重い」の意。
ボクシング
プロボクシングでの契約ウェートは、200ポンド (90.719kg) 以上である。全17階級中最重量級の階級である。女子は多くの団体で175ポンド (79.3kg) 以上をヘビー級としているが、WBOでは男子と同じ200ポンド (90.7kg) 以上、WBCではライトヘビー級を廃止したため168ポンド (76.204kg) 以上となっている。
アマチュアボクシングでは、男子81 - 91kg、女子81kg超をヘビー級と定めており、男子ではさらに上にスーパーヘビー級が創設されている。
初代世界王者はジョン・L・サリバン。古くはジョー・ルイス、モハメド・アリ、近年ではマイク・タイソンらを輩出している。この階級の世界王座最多防衛記録はジョー・ルイス(アメリカ合衆国)の25度で、これは全階級を通じての最多記録でもある。歴代の世界王者は米国の選手が多くを占めていたが、特に旧ソ連勢の躍進が目覚しく、2007年6月2日にシャノン・ブリッグスがWBO王座から陥落して以降、アメリカ人は4団体のヘビー級世界王者から遠ざかっている。
日本プロボクシングでの状況
日本人の平均的な体格は欧米人と比べて劣っており、またヘビー級の体格を持つ者は大相撲やプロレスなどに流れる傾向にあるため、ヘビー級選手の慢性的な不足に悩まされている。
過去にはJBCでもヘビー級王座が設けられていて、1957年に片岡昇が初代王者についたが、挑戦者が現れずコミッショナー預かりとなった。
1977年には逆輸入ヘビー級ボクサーとしてコング斉藤が国内デビューを果たし話題にもなったが、相手の無気力ボクシングやミドル級相手にKO負けなど評価は芳しくなかった。
1990年代にも、西島洋介山が「日本国内唯一のヘビー級選手」として注目されたものの、唯一であるが故海外での試合を余儀なくされ、加えてトラブルに巻き込まれて国内ライセンスすら失ってしまった。
日本のジム所属選手では輸入選手のオケロ・ピーターがOPBF東洋太平洋ヘビー級王座を獲得し、世界王座にも挑戦している。日本人では高橋良輔が、そのピーターが持っていたOPBF王座に挑戦している。しかし、選手不足は解消されていないため、国内では試合機会が恵まれず、竹原真敬のように国内ライセンスを放棄して海外に活躍の場を求める選手も少なくない。
2009年9月度よりスーパーミドル級からクルーザー級までの3階級がJBCでも新設されると同時にヘビー級も再設置され[1][2]、同年12月にはプロテストも開催されたが[3]、ランキングは空位として設置され整備中の段階である。
2011年には西日本ボクシング協会がヘビー級新人王トーナメントを初開催し、樋高リオが初代ヘビー級新人王に就いた。加えて同年にはK-1でヘビー級タイトルを獲得した藤本京太郎のボクシング転向もあり、国内ヘビー級が活気付くようになった。これを受けて日本プロボクシング協会は2012年にヘビー級新人トーナメントを初開催することを発表している[4]。また、同年にはオケロ・ピーターが所属する緑ボクシングジムに竹原真敬も移籍して国内復帰を果たすことになった。
レスリング
レスリングでかつてヘビー級と呼ばれたものは、現在の120kg級に当たる。女子では72kg級をヘビー級と呼ぶ場合もある。
キックボクシング
日本においては、ほぼ全団体共通で86.1kg以上をヘビー級と定めている。
国際団体の場合、団体によって体重が異なる。
- 世界キックボクシング協会 (WKA) 90 - 95kg
- 国際競技空手協会 (ISKA) 91.9 - 96.4kg
- 国際キックボクシング連盟 (IKF) 88.7 - 97.7kg
K-1
K-1ではミドル級以外の階級を設けていなかったが、2007年よりボクシングのようなタイトルマッチ制度創設および選手の大型化に伴い、100kg以下をヘビー級とした。
総合格闘技
ネバダ州アスレチック・コミッションの定める統一階級制度においては、205 - 265ポンド (93.0 - 120.2kg) が総合格闘技におけるヘビー級と定められている[5]。これに従い、UFCを始めとする北米地域のほぼ全てのプロモーション、並びに世界中の多くの総合格闘技プロモーションにおいてこの区分が採用されている。日本においてはパンクラスがこの区分に従っており、またDREAM・SRC・PRIDEなど、下限(約93kg)が共通しているイベントも存在する。国際修斗コミッションは、91 - 100kgと規定している。リングスは90.0kg以上と規定していた。
プロレス
プロレスの場合、多くの団体が概ね100kg以上をヘビー級としており、100kg以下をジュニアヘビー級またはクルーザー級などと呼んでいる。インディ団体など下の階級がない団体では無差別級となるが、これらもヘビー級として扱われる。
脚注
- ^ “日本にS・ミドル級超ランキング設置”. ボクシングニュース「Box-on!」 (2009年9月24日). 2010年3月31日閲覧。
- ^ “ヘビーなど4重量級を追加 ボクシング日本ランキング”. 朝日新聞 (2009年9月24日). 2010年3月31日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “来たれ、ヘビー級ボクサー 初のプロテスト開催”. 朝日新聞 (2009年12月14日). 2009年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年4月22日閲覧。
- ^ “京太郎ら参戦 初のヘビー級新人トーナメント開催へ”. スポーツニッポン. (2012年4月22日)
- ^ NAC 467.7956 Weight classes of unarmed combatants; weight loss after weigh-in. NSAC公式サイト 2010年3月15日閲覧
関連項目
外部リンク
- “ボクシング基礎知識 - 階級”. 日本ボクシングコミッション. 2010年3月30日閲覧。
- “コミッションルール - 第2部 試合 - 第12章 クラスとウェイト”. 西日本ボクシング協会. 2010年3月30日閲覧。