チャーリー2型原子力潜水艦

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670M型潜水艦 (チャーリーII型)
基本情報
艦種 巡航ミサイル原子力潜水艦 (SSGN)
建造期間 1972年 - 1980年
就役期間 1974年 - 1998年
同型艦 11隻
前級 670型(チャーリーI型)
次級 949型(オスカー型)
要目
排水量 水上: 4,300t 水中: 5,350t
全長 104.5m
最大幅 10.0m
吃水 6.9m
機関方式 VM-4-1加圧水型原子炉×1基
蒸気タービン×1基
可変ピッチプロペラ×1軸
出力 18,800馬力
速力 水上: 12kt 水中: 24kt
航続距離 70日間連続潜航可能
潜航深度 安全: 240m
最大: 300m
乗員 90名
兵装 533mm魚雷発射管×4門 (魚雷14本)
400mm魚雷発射管×2門 (魚雷4本)
P-120対艦ミサイル×8発
ソナー MGK-400「ルビコン」
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チャーリーII型原子力潜水艦英語: Charlie II class submarine)は、ソビエト連邦海軍ロシア海軍が運用していた巡航ミサイル潜水艦の艦級に対して付与されたNATOコードネーム。ソ連海軍での正式名は670M型潜水艦ロシア語: Подводные лодки проекта 670М[1]、計画名は「チャイカ」(ロシア語: Чайка)。

ソ連海軍で初めて潜没状態での巡航ミサイル発射に対応した670型(チャーリーI型)をもとに、搭載するミサイルをより長射程のP-120「マラヒート」(SS-N-9「サイレン」)に換装したものである。

設計・装備

設計にあたっては、引き続き第112設計局OKB-112)がこれにあたった。当初は670型(チャーリーI型)の設計を流用する予定であったが、ソナーをはじめとするミサイル関連の装備が大重量化したことから、大幅な拡大再設計が必要になった。結果として、水中排水量にして17%、全長にして10%弱の大型化となり、また船体・セイルの形状も変更された。新開発の防音ゴムの導入により静粛性はさらに改善、また居住性も向上した。艦内区画は8つに増えたが、予備浮力は24%とさらに減少した[1]

上記の通り、主兵装はP-120「マラヒート」(SS-N-9「サイレン」)に更新された。これは、原型艦が搭載していたP-70「アメチスト」(SS-N-7「スターブライト」)の発展型であるが、射程は倍増し、飛翔高度も低高度化された。このミサイルの射程延伸に対応し、ソナーはより長距離探知が可能なMGK-400「ルビコン」(探知距離180-200km)、後にはさらにMGK-500「スカト」(探知距離240km)とされた。これによって、対潜哨戒線の外側からのミサイル攻撃が可能になり、本型の戦術価値は大きく向上した。またミサイル射撃指揮装置としてはドナウ670M型が搭載されたが、これはデジタルコンピューターを使用して演算処理能力を高度化させたことで、同時誘導可能なミサイル数は原型から倍増して8発となった。またミサイル発射後に海水を補重タンクに注水して艦のバランスを自動調整する装置も導入された[1]

配備

1974年から1980年にかけて、6隻がボルガ川の造船所で建造され、いずれも北方艦隊の第1原潜艦隊第11原潜師団に配属された[1]

その後1986年より順次に退役を開始し、1998年までに全艦が除籍されて運用を終了した[2]

参考文献

  1. ^ a b c d Polutov Andrey V.「ソ連/ロシア原潜建造史(第13回)」『世界の艦船』第618号、海人社、2003年11月、150-155頁、NAID 40005926748 
  2. ^ Polutov Andrey V.「ソ連/ロシア原潜建造史(12)」『世界の艦船』第616号、海人社、2003年10月、100-105頁、NAID 40005919906 

関連項目