カロム

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カロムで遊ぶイエメンの子供達

カロムは、2人以上で行うボードゲームである。キャロムカルムなどとも呼ばれる。

ビリヤードに類似した盤上ゲームで、2人ずつペアになり四角い盤の上に並んだ偏平な円筒形の玉(パック)を特定のエリアからパックと同形の自身の玉(ストライカー)を手の指で弾き、自身のストライカーに記されているのと同色のパックに当て、四隅のコーナーにある穴(ポケット)にパックを全部入れ、最後にジャックを入れるのを競うゲームである。

カロムの歴史

インド発祥で、南アジアではポピュラーなゲームである。インド系移民によってヨーロッパやアメリカにも持ち込まれた。各地に伝播するなかで様々なローカルルールが生まれたが、1988年にチェンナイで国際キャロム連盟が設立され、統一ルールが作られた。

日本への伝来時期については諸説あるが、明治末期にウィリアム・メレル・ヴォーリズが持ち込み流布させたとする説が有力である。[要出典]昭和初期に「闘球盤」(投球盤)という名称でカロムは全国的に普及したが、戦後は彦根市を中心とする地域にしか残らなかった。彦根市には大正時代に使われていたカロム盤が現存する。[要出典]

南極の観測隊や海上保安庁の長期航路での隊員はほとんどの者がカロムをプレイしたことがあるという。これは長期間の航行となるために退屈しのぎのゲームとして行われているためである(こちらではキャロムが主流である)。

ルール

カロム

カロムのボード
  • 2人の場合は、対戦者と向かい合って座る。4人で行う場合は、2人がペアになり向かい合って座る。
  • 向かい合った2人は味方同士であり、同色(緑・赤)の円があるストライカーを持つ。
  • 2色のパックをセンターサークル上に交互に配置し、中央のジャックススポットに2色の円があるジャック(王様)を配置する。
  • ストライカーを手の指を使って弾き、パックに当て四隅のポケットに入れる。
  • 最初の1打は、ティースポットから打ち、その後は自身のエリアライン上にストライカーを置きそこから打つ。
  • 1人が1打打ち終われば次の人が打つというように時計回りで順番に打つ。
  • ポケットに自身のストライカーの円と同色のパックを全部先に入れた方が勝ちである。
  • 自身のストライカーがポケットに入った場合は、ペナルティとして既に入れたパックを1つジャックススポットに返還しなければならない。盤外にストライカーが飛び出した場合も同様である。
    • パックがポケットの中にない場合は入った時点で速やかにジャックススポットに返還する。
    • ジャックスポットに他のパックやジャックがある場合はその上に積んでいく。
  • 自分のパックが全部ポケットに入っていないのにジャックを入れてしまった場合にはペナルティとして既に入れたパックを5つジャックススポットに返還しなければならない。また、ジャックもその返還したパックの最上段に配置する。
  • 自分のパックを全部ポケットに入れた後、ジャックをポケットに早く入れた方が勝ちとなる。

キャロム

  • 2人の場合は、対戦者と向かい合って座る。4人で行う場合は、2人がペアになり向かい合って座る。
  • センターサークルの中に、白黒各9個、赤(クイーン)1個のコインを所定の形にセットしてゲームを始める。
  • ストライカーを手の指を使って弾き、コインに当て四隅のポケットに入れる。その際、椅子を動かしたり椅子から離れてはならない。    
  • 2本のベースラインに触れるように置きそこから打つ。両端の赤い円に触れてはならないが、その円を覆うようにして置く事は許されている。
  • コインをポケットに落とせば続けて打つことができる。落とせなかったら攻撃権は相手に移る。ダブルスの場合は反時計回りで順番に打っていく。
  • クイーンは自分のコインを1つポケットに落とした後であればいつ落としても良い。
  • クイーンは最後のコインより先に落とさなくてはならない。
  • クイーンをポケットに落とした後、次の1打で自分のコインをポケットに落とすと「カバー」となる。また、クイーンの持ち点「3」が得点に加算される。
  • 「カバー」出来なかった場合は、クイーンをポケットから出し、ボード中央に戻す。
  • 得点はボード上に残っている対戦相手のコイン1つにつき1点、勝者がクイーンをカバーしている場合はそれに3点を加えたものとなる。
  • 上位者の総得点が22点に達したらクイーンのカバーに伴う3点は加算されない。
  • クイーンがカバーされた後、先に自分のコイン全部をポケットに落としたプレーヤーが勝者となる。
  • ゲームはいずれかのプレーヤーが25点に達するか、もしくは8ボードが終わった時点で終了となる。

カロム・キャロムの相違点

日本キャロム連盟(JCF)の推奨するキャロムは、国際キャロム連盟が世界各国で行われている様々な国のキャロムの中でも最もポピュラーであったインドやスリランカにあるボードを基準とし、その統一されたボードでグローバルなキャロムを行おうとするものである。一方で、現在でも日本の伝統である彦根カロムの形式は存続しており、依然として彦根カロムは全国大会なども開かれており、多くの人に愛されている。

最大の違いは、カロムが畳などに座って競技するのに対し、キャロムは椅子かスツールに座って競技することである。カロムとキャロムには用具などに若干の違いは見られるが基本的には同じ競技(遊戯)である。しかし、キャロムがポイントを取って競う競技なのに対し、彦根カロムは一つのキングの争奪戦であり若干プレイスタイルが異なる。

世界のカロム

国名 名称 概要
アメリカ キャロム 盤の表裏両面を使用し138種類のゲームができる。
付属のキューを使用する事や盤上に設置したピンが特徴的。
カナダ クロッキン・クール 盤上にピンが設置されている。
盤のデザインはアジアの盤に類似している。
イギリス キャロム・ゲーム パキスタン・マレーシアなどの盤と類似している。
公園など屋外でも使用されている。
インド インディアン・スヌーカー 日本の伝統的彦根カロムに類似している。
盤やパックなどがすべて木製である。
パキスタン 未詳 通常のカロムと比較して極端に盤が大きい。
価格は彦根カロムの10分の1と安価である。
中国 康楽棋(カーロンチュウ) ビリヤード同様キューを用いてパックを打つ。
コーナーのポケットが円形である。
ミャンマー ゼーコン NUMBERとCIRCLEという2種類の遊び方がある。
CIRCLEの方が主流でカロムのルールと類似している
ネパール カロンボール 主に貸しカロム屋で1台1ルピーで借りて遊ぶ。
インドネシア カランボーラ 未詳
チベット キーラム 未詳

マスコミでの紹介

関連書籍

  • 『カロムロード』.杉原正樹 編著.サンライズ出版

関連項目

外部リンク