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カタクチイワシ科

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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アンチョビ
カリフォルニアカタクチイワシ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: ニシン目 Clupeiformes
亜目 : ニシン亜目 Clupeoidei
: カタクチイワシ科 Engraulidae
英名
anchovy
亜科

アンチョビ英語 anchovy)は、ニシン目カタクチイワシ科の小魚の総称である。イタリア語アッチューガ acciuga (複数形はアッチューゲ acciughe)、フランス語アンショワ anchois

漁獲されたアンチョビは、肥料飼料としても使用され、状に加工したものは魚粉やフィッシュミールとよばれる。煮干し魚醤も生のアンチョビを使って作られることがある。日本では特に塩蔵品にしたものをさすことが多い。

特徴

が大きく、目より後方まで達する。これは、近縁のウルメイワシ科ニシン科マイワシなど)との顕著な違いである。

背が青みがかった、いわゆる青魚である。腹側は銀色である。

カタクチイワシ亜科は体が細長い円筒形に近く、外見はイワシに似る。エツ亜科はそれほどイワシに似ておらず、高く立った特徴的な背びれを持つ。

漁獲

FAO調べ、2005年 [1]

順位 和名 英名 学名 千トン
1 アンチョベータ anchoveta Engraulis ringens 10215
8 カタクチイワシ Japanese anchovy Engraulis japonicus 1639
28 ヨ-ロッパカタクチイワシ European anchovy Engraulis encrasicolus 381
46 ミナミアフリカカタクチイワシ southern African anchovy Engraulis capensis 286

世界的にはアンチョベータ(ペルーカタクチイワシ)が非常に多い。乱獲により減少しているが、それでも、種別の統計で2位のスケトウダラ (2790千トン) に数倍の差を空けて1位である。

日本で主に漁獲されるのはカタクチイワシである。

ミナミアフリカカタクチイワシはヨ-ロッパカタクチイワシと同種とされることが多い。

塩蔵アンチョビ

塩蔵アンチョビをのせたピンチョス(右)
右上に見えるのが塩蔵アンチョビ。そこに黒オリーブ、にんにくを加え、オリーブ油で和えれば、南仏風の万能ソース「アンショワード」(anchoïade)ができる。

塩蔵品は、三枚におろして内臓を取り除いた小魚を塩漬けにして、冷暗所で熟成及び発酵させたものである。オリーブオイルを加え、缶詰瓶詰にする。主にイタリアスペインモロッコで生産されている。

缶詰には、三枚におろした身肉をそのまま平らに並べたフィレー・タイプのものと、その身肉をケッパーの実を芯にして渦巻状に巻いたロール・タイプのものがある。ペースト状にしてチューブに入れられた製品もある。

塩蔵アンチョビはヨーロッパの料理によく用いられる。そのまま、あるいはペースト状にして食べるほか、サンドイッチカナッペの具としたり、ピザパスタプッタネスカなど)、サラダシーザーサラダなど)の味付けに用いたりもする。この他にも、アンチョビを用いる料理にはヤンソンの誘惑バーニャ・カウダがある。欧米のウスターソースにもアンチョビが含まれている。

アンチョビと似た加工食品に「オイルサーディン」があるが、アンチョビは 「塩漬けにしたカタクチイワシ」で非加熱であるのに対して、オイルサーディンは、「油漬けにしたサーディン)」で加熱したものである。アンチョビの方がはるかに塩辛く、オイルサーディンよりも小さな魚を用いて作られる。また、オイルサーディンは普通頭と内臓を除くだけで、三枚にはおろさない。

主な種類

2亜科、17属、約140種が属する。属は全て、種は主なもののみ記したが、カタクチイワシ属は全種を記した。

このほか、ミナミアフリカカタクチイワシ Engraulis capenisis の名が文献に見られるが、モトカタクチイワシ Engraulis encrasicolus と同種とすることが多い。

関連項目