IN A MODEL ROOM

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IN A MODEL ROOM
P-MODELスタジオ・アルバム
リリース
録音 1979年5月 - 6月
Sunrise Studio
Freedom Studio
Electro Sound
ジャンル テクノポップ
ニュー・ウェイヴ
ポストパンク
時間
レーベル ワーナー・パイオニア
プロデュース 佐久間正英
P-MODEL
P-MODEL アルバム 年表
IN A MODEL ROOM
1979年
LANDSALE
1980年
平沢進関連のアルバム 年表
配線上のアリア
1978年/1994年
IN A MODEL ROOM
(1979年)
LANDSALE
(1980年)
『IN A MODEL ROOM』収録のシングル
  1. 美術館で会った人だろ
    リリース: 1979年7月25日
  2. KAMEARI POP
    リリース: 1979年12月25日
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IN A MODEL ROOM(イン・ア・モデル・ルーム)は、P-MODELの1枚目のスタジオ・アルバム1979年8月25日ワーナー・パイオニアより発売。ジョージ・オーウェルデストピア小説『1984年』がコンセプトの下敷きにあり、「東京版1984年」とも称される[1]

概要[編集]

  • P-MODELの初のフルアルバム。また、佐久間正英の初プロデュース作品である[2]
  • 当時プラスチックスにて活動していた佐久間は、「屋根裏でプラスチックスのライブをやった時に平沢進君が「プロデュースして欲しい。」と声をかけてくれ、カセットを渡してくれたんですよ。当時、プロデューサーという言葉はありましたが、事務所の社長だったり、レコード会社の人間だったり、そういう人たちのことを指してた時代で、今のように確立されてなかった時代ですね。」と語っており、これが切っ掛けとなり多くのミュージシャンへのプロデューサー業を展開していく事となった[3][4]
  • 大半の楽曲は前身バンド・MANDRAKE時代から演奏されており、これが結成から8ヶ月弱というスピードデビューに繋がった。
  • 本作のみ、平沢の実兄である平沢裕一が作詞に参加している。
  • 異邦人[※ 1]、「ホワイト・シューズ」[※ 2] も収録予定だったがボツとなった。
  • 1999年に発売されたアルバム『VIRTUAL LIVE-1』でフルリメイクされたが、「ソフィスティケイテッド」のみ収録されなかった。
  • ジョージ・オーウェルの小説『1984年』がアルバムのコンセプトの下敷きにある[1]

楽曲解説[編集]

美術館で会った人だろ
1stシングル表題曲。
歌詞に「美術館に 火をつけるよ」というフレーズがある為、平沢は「消防士の父を持つにもかかわらず放火予告でレコード会社と契約した」と後年ネタにしている。[5]
ヘルス・エンジェル
1984年に久々に演奏する[※ 3] 際、平沢はギターのフレーズをすっかり忘れており、当時のメンバーであった三浦俊一に逆に教わったという。平沢進が自分以外が作曲して歌って楽しかった曲に挙げている[6]
KAMEARI POP
本アルバム発売後の1979年12月25日、2ndシングルとしてリカット。
1987年には平沢・KERA率いる「此岸のパラダイス亀有永遠のワンパターンバンド」が、『KAMEARI POP 此岸のパラダイス編』としてカバーしている。
解凍期~改訂期にもリアレンジして演奏されている。ニューウェーブバンドDEVOがタイヤの街(オハイオ州アクロン)出身だという主張に影響された。
偉大なる頭脳
MANDRAKEの楽曲「錯乱の扉」のイントロ部分を再アレンジし歌詞をつけたもの。
2007年POLYSICSがカバーしている。(8thアルバム『KARATE HOUSE』収録)
2023年の平沢ソロライブ『HYBRID PHONON 2566』では、歌詞を新たに描き下ろしてリアレンジの上演奏された。
ホワイトシガレット
初期のライブでは歌詞中の「コロンブス」を「アメリカ」に変えて歌うこともあった。
MOMO色トリック
歌詞中の「ユージさん」は今野雄二のこと。初期のライブではフルネームで歌うこともあった。また「アホのリノ」は女優のかたせ梨乃のことである。
当時P-MODELと今野の間に確執があり[※ 4]、それを受けて制作された楽曲。
アート・ブラインド
2010年に平沢ソロアルバム『突弦変異』でリメイクされた。
『突弦変異』の収録曲は各フルアルバムから1曲ずつ[※ 5]ファン投票より決められたが、平沢はアレンジの方向性などを考えた結果、投票結果を無視してこの曲を選択した[7]

収録曲[編集]

  • 全編曲:P-MODEL
#タイトル作詞作曲時間
1.美術館で会った人だろ(Art Mania)」平沢進平沢進
2.ヘルス・エンジェル(Health Angel)」田中靖美田中靖美
3.ルームランナー(Roomrunner)」田中靖美田中靖美
4.ソフィスティケイテッド(Sophisticated)」平沢進平沢進
5.子供たちどうも(For Kids)」平沢裕一平沢進
6.KAMEARI POP平沢進平沢進
7.サンシャイン・シティー(Sunshine City)」平沢裕一田中靖美
8.偉大なる頭脳(The Great Brain)」平沢進安部文泰(ノンクレジット)、平沢進
9.ホワイト・シガレット(White Cigarettes)」平沢進平沢進
10.MOMO色トリック(Pinky Trick)」平沢進平沢進
11.アート・ブラインド(Art Blind)」平沢進平沢進
合計時間:

リリース履歴[編集]

リリース日 レーベル 規格 規格品番 備考
1979年8月25日 ワーナー・パイオニア LP K-10017W 初回プレス盤のみ、ピンク色のビニールレコード仕様
カセットテープ LKF-5029
1992年1月25日 ワーナーミュージック・ジャパン CD WPCL-603
2003年10月20日 SS RECORDS SS-101 デジタルリマスタリング、紙ジャケット仕様[8]
2017年6月25日 SS RECORDINGS SS-101A W紙ジャケット仕様(2017年EDITION)[9]
2020年11月20日 SHM-CD SS-1001A W紙ジャケット仕様[10]
2022年7月27日 ワーナー・ミュージック・ジャパン LP WQJL-150 イエロー・カラー・ヴァイナル仕様[11]

参加ミュージシャン[編集]

脚注・出典[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 『改訂復刻DIGITAL版音楽産業廃棄物』によると、ヘヴィなナンバーであるため、「ピンク盤から出る音ではない」と感じたという。
  2. ^ 1989年に発売された映像作品『PHOTON-1』のエンディング曲に使用。ボックスセット『太陽系亞種音』にも収録されている。
  3. ^ 1981年のP-MODELの方針転換後、『IN A MODEL ROOM』『LANDSALE』の楽曲は封印状態となっていた。
  4. ^ 今野が、自身が司会を務めていたテレビ番組「水曜イレブン」の中でP-MODELを酷評したことがきっかけとされている。また、かたせは同番組でアシスタントを務めていた。
  5. ^ Potpourri』『SCUBA』『』からは選曲されなかった。

出典[編集]

  1. ^ a b 『改訂復刻DIGITAL版音楽産業廃棄物』P-MODEL SIDE Open Sourse(Shop Fascination、33/139(p.33))
  2. ^ 佐久間正英インタビュー”. 井桁学のギターワークショップ (2001年11月23日). 2021年2月6日閲覧。
  3. ^ 30th anniv. - Masahide Sakuma”. web.archive.org (2016年3月4日). 2022年5月19日閲覧。
  4. ^ 【People of Sound】第29回 佐久間正英さん | Rock oN Company”. media.miroc.co.jp. 2022年5月19日閲覧。
  5. ^ 平沢進のツイート(2019年7月14日)2020年1月31日閲覧.
  6. ^ Susumu Hirasawa (2015年1月26日). “平沢進のツイート”. @hirasawa. 2021年2月6日閲覧。
  7. ^ そろそろ決めたいと思う”. 凝集する過去 還弦主義8760時間 (2009年10月2日). 2021年2月6日閲覧。(2014年11月12日時点のアーカイブ
  8. ^ IN A MODEL ROOM”. SS RECORDINGS WEB. 2021年2月6日閲覧。(2004年1月2日時点のアーカイブ
  9. ^ IN A MODEL ROOM/P-MODEL”. SS RECORDINGS WEB. 2021年2月6日閲覧。
  10. ^ IN A MODEL ROOM (SHM-CD EDITION)/P-MODEL”. SS RECORDINGS WEB. 2021年2月6日閲覧。
  11. ^ IN A MODEL ROOM<イエローカラーヴァイナル>”. TOWER RECORD ONLINE. 2022年8月19日閲覧。

外部リンク[編集]