enigma (松本孝弘のアルバム)

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enigma
Tak Matsumotoスタジオ・アルバム
リリース
録音 2015年
ジャンル
レーベル VERMILLION RECORDS
プロデュース Tak Matsumoto
チャート最高順位
松本孝弘 年表
  • enigma
  • (2016年)
本人コメント映像
松本孝弘 / Message on his brand new album “enigma” - YouTube
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enigma』(エニグマ)は、日本音楽ユニットB'zギタリストである松本孝弘の11作目のオリジナル・アルバム。

概要[編集]

前作『New Horizon』から約2年ぶりのオリジナルアルバム。前作とは違いロック色の強いアルバムになっている。購入応募特典として2016年5月2日にMt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE(マウントレーニアホール渋谷)にて開催されるTak Matsumoto “Special Live” に抽選で300名が招待される応募抽選カードが封入されている。(2016年4月11日締切)

2015年初夏、B'zのツアーの合間にレコーディングは開始された。松本が楽曲制作する際は、B'zのときもソロ活動のときもあまりテーマやコンセプトは決めず、できた曲から順々に録っていくというやり方であるが、今回はいつもとは違い少しテーマを決めて創ろうという気持ちがあったとのこと。その制作の中で松本は「長い間ミュージシャンとしてキャリアを積んできて、本当に自分自身が成長しているのか、それなりの楽曲や演奏ができるのだろうかと」という思いが根底にあり、「音楽を通じて、今まで生きてきたキャリアなどを音で表現できたらいいな」と思ったという。そして楽曲を数十曲制作した後、結局一番最初に創った曲「enigma」がその核だった、と振り返っている[1][2][3]

アルバムタイトルを『enigma』に決めた理由について松本は、楽曲「enigma」のボーカルセクションに出てくるワードが今回のアルバム制作の中でずっと探し続けてきたテーマ的な部分だからタイトルはこれしかない、と思ったとのこと。言葉そのものの意味については、「日本語に直訳するとロマンチックじゃなくなるから」ということで、説明は省略している[1]

収録曲のほとんどはインストゥルメンタルであるが、いくつかの楽曲にはアメリカの歌手マーク・レンクによるボーカルパートがある楽曲がある。松本は最初はボーカルを入れるつもりはなかったものの、本作の制作を進めていく上で思うところを言葉を書き留めていたため、それを使用することになった。作詞にあたっては、本作のプログラミングなどを担当した村山晋一郎が英語も堪能ということで、補作詞という形で参加してもらった。また村山はデモバージョンでのボーカルも担当しており、松本によると「男性とも女性ともつかないような透明感のある綺麗な声で良かった」とのことだが、最終的に正反対のイメージの声であるマークの声が採用された[4]

リリース形態[編集]

通常盤
CDのみの形態。
初回限定盤(CD+DVD・CD+Blu-ray)
「CD+DVD」および「CD+Blu-ray」の形態。付属の映像ソフトには、2014年に開催されたツアー『Tak Matsumoto LIVE 2014 -New Horizon-』からブルーノート東京での最終公演を収録。

収録曲[編集]

  1. enigma(5:51)
    アルバムタイトル曲。アルバム制作で最初にレコーディングされた曲。松本はこの楽曲をアルバムのメインテーマであり、自分がアルバム制作中に掲げていたテーマの核であると語っている[2][5]
  2. Vermillion Palace(4:26)
    TBS系『世界遺産』オープニングテーマであり、この番組の為に書き下ろされた楽曲。元々、オファーを受けた際に「Mystic Journey」を制作したが番組側からテンポ的にエンディング向きと判断され、「もう少しテンポ感がある曲を」と依頼され制作された曲である[6]
    変拍子の曲であるがフレーズを作ったらたまたま変拍子になったという[5]
    タイトルにも入っている「Vermillion」とは朱色のことであり、世界遺産の曲ではあるが日本独特の色としてあえてつけたという[5]。ちなみに自身の所属事務所および、プライベートレーベルにも「Vermillion」を付けている。
  3. Step to Heaven(4:30)
    フライングVのみでレコーディングされた曲[7]
    タイトルはドラムのシェーンが命名したもので、「現実の世界から全く現実の世界じゃない世界へのステップみたいな感じ」と語っている[6]
  4. Ups and Downs(3:47)
    ザ・ミュージアム『ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞』イメージソング。
    アルバム制作終盤にオファーが来たため、このアルバムでは最後に完成した曲である[6]
  5. Rock The Rock(4:40)
    リフから制作した曲。松本曰くタイトルに特に意味はないとのこと[6]
    グレッグ・ベイルのサキソフォンソロがあるが、前作の『New Horizon』製作時から彼のソロを絶賛しており、今作でも彼のソロを入れる尺を空けておいたという[5][6]
  6. Drifting(4:44)
    モノローグのような歌詞があり、歌詞については松本が「僕は本当にまともな大人になってるのか」と考えていたことがテーマになっている[5]
    楽曲のエンディングは波の音のSEになっており、そのまま次曲「The Voyage」へ繋がる構成となっている[5]
  7. The Voyage(5:06)
    ツアータイトル曲。読み方は英語読みの「ヴォエッジ」。本来の意味である「航海」ではなく、『いいことも悪いことも、自分の生きていく過程の中ではそれは必要だったんだろうなあ』という人生を振り返る意味があると語っている[5]
  8. Hopes(4:24)
    マークのボーカルパートがある曲。「いいことがたくさんあるといいな」みたいなイメージで制作された[5]
  9. Under The Sun(4:46)
    マークのボーカルパートがある曲。アレンジの過程で結果的にボーカルパートが入った他の曲とは異なり、この曲には「ボーカルを入れよう」と最初から思って制作された[5]
  10. Dream Drive(5:34)
    本作で2曲目に完成した曲。最初に完成した「enigma」と全く曲風が違うものになったため、「自分でも何処に行きたいのかよくわからなくなった」と振り返っている[4]
    リズムが入ってくる前のパートは、後から付け足された[4]。ちなみに冒頭の排気音は1972年スカイラインGT-Rフェラーリ・カリフォルニアである[6]
    Tak Matsumoto Tour 2016 -The Voyage-』ではオープニングナンバーを飾った。ライブの1曲目にすることはアルバム制作時から決めていたという[8]
  11. The Rock Show(4:05)
    「Step to Heaven」同様フライングVのみでレコーディングされた曲である[7]
  12. Roppongi Noise(4:13)
    桑名正博のアルバムタイトルと同名であり、松本が参加してきたレコーディングの中でも特に思い出深ったと語っている[6]
    TAKE YOUR PICK』の「Tokyo Night」の続きのみたいな感じとのこと。雑踏のSEは、実際の六本木の雑踏の音を録音して使用している[4]
    松本曰く「六本木とは音楽人生始まりの地である[6]」。
  13. Mystic Journey(5:16)
    TBS系『世界遺産』エンディングテーマであり、番組の為に書き下ろされた楽曲。
    「Mystic Journey」という言葉は「enigma」の歌詞にも入っており、世界遺産の曲ではあるがアルバムとして筋を通さなければいけないと松本自身の中にあったという[6]
  14. enigma 〜epilogue〜(2:13)
    1曲目の「enigma」のバージョン違い。ウッドベースが入るなど、原曲とは異なるムードになっている[4]
    松本によると、アルバムを創っていく上で見えてくるものがあったため、作品の締めとして再び「enigma」を使用することで作品の繋がりが明確になるんじゃないかと思い、この曲を最後にしたとのこと[4]
  15. #1090 〜Million Dreams〜(5:17)
    テレビ朝日系『ミュージックステーション』4代目テーマソング。放送30周年という節目にあたり、番組が松本に「#1090 〜Thousand Dreams〜」の新バージョンの制作をオファー。松本はこの依頼を快諾し、再レコーディングをし、ボーナス・トラックとして再録[9]
    原曲のトラックを用いつつ新たに録り直されており、松本は「過去の自分との競演」であると語っている。原曲の打ち込みに加えて生のベース・ドラムも加わっている。
    楽曲は「#1090 〜Thousand Dreams〜」と「#1090 [千夢一夜]」のメドレー形式の構成となっている。

「初回限定盤」付属の映像ソフト[編集]

映像外部リンク
ダイジェスト映像
「Tak Matsumoto LIVE 2014 -New Horizon-」DIGEST

2014年に開催されたツアー『Tak Matsumoto LIVE 2014 -New Horizon-』からブルーノート東京最終公演を収録。

Tak Matsumoto LIVE 2014 -New Horizon- at BLUE NOTE TOKYO
  1. New Horizon
  2. Take 5
  3. BLUE
  4. Tokyo Night
  5. Shattered Glass
  6. 学生街の喫茶店
  7. Island of peace
  8. That's Cool
  9. 月のあかり
  10. Reason to be...
  11. GO FURTHER
  12. #1090
  13. The Moment
  14. Rodeo Blues

タイアップ[編集]

参加ミュージシャン[編集]

特典DVDバンドメンバー[編集]

  • 松本孝弘:ギター
  • 小野塚晃:キーボード
  • トラヴィス・カールトン:ベース
  • 大賀好修:ギター
  • ジョン・フェラーロ:ドラム

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 竹内美保 (2016年4月3日). “「B'z」松本が語るアーティストの矜持「トライやチャレンジは常に必要」”. THE PAGE. ワードリーフ. 2016年9月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月9日閲覧。
  2. ^ a b 佐伯明(インタビュアー:佐伯明)「B'z、松本孝弘。6本の弦が紡ぐ、至高のギターミュージック 【前編】」『エンタメステーション』、Sony Music Entertainment(Japan) Inc.、2016年3月25日。 オリジナルの2016年3月26日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20160326190950/http://entertainmentstation.jp/26178/2020年8月9日閲覧 
  3. ^ 松本孝弘 (25 March 2016). 松本孝弘 / Message on his brand new album “enigma”. 2020年8月9日閲覧
  4. ^ a b c d e f 「研ぎすまされた"声"(トーン)で描く情趣に富んだインストゥルメンタル作品」『ギター・マガジン』2016年5月号、リットーミュージック、2016年4月13日。 
  5. ^ a b c d e f g h i 佐伯明(インタビュアー:佐伯明)「B'z、松本孝弘。6本の弦が紡ぐ、至高のギターミュージック 【後編】」『エンタメステーション』、Sony Music Entertainment(Japan) Inc.、2016年4月1日。 オリジナルの2016年4月3日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20160403182711/http://entertainmentstation.jp:80/26556/2020年8月9日閲覧 
  6. ^ a b c d e f g h i 『be with!』第109巻、B'z Party、2016年3月。 
  7. ^ a b “【機材レポ】B'zの松本孝弘、『enigma』REC機材は「できるだけ直」”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク). (2016年4月5日). https://www.barks.jp/news/?id=1000125781 2020年8月9日閲覧。 
  8. ^ 『be with!』第110巻、B'z Party、2016年6月。 
  9. ^ “B'zの松本孝弘、本日放送『MステSP』で番組テーマ再録曲初オンエア”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク). (2016年3月25日). https://www.barks.jp/news/?id=1000125536 2020年8月9日閲覧。