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メルセデスAMG

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メルセデス・ベンツ E63 AMG

AMG(エイ・エム・ジー[1])はメルセデス・ベンツチューニング部門であり、メルセデス・ベンツの上級高性能モデルやスポーティーなパーツに冠されるブランドでもある。近年は大排気量のマッスルカー的なモデルが多くなっている。本社工場はドイツのアファルターパッハ(Affalterbach)にある。

概要

1967年レース用自動車エンジンの設計・試行会社として創業。創立者のハンス・ヴェルナー・アウフレヒト(Hans Werner Aufrecht)、エンジニアのエバハルト・メルヒャー(Erhard Melcher)、アウフレヒトの故郷であるグロース・アスパッハ(Großaspach)の頭文字を取ってAMGとした。

その後ブラバスロリンザーなどと同様に、アフターマーケットにおいて主にメルセデス・ベンツの乗用車のチューニングを手掛けるようになった。1980年代半ばからは公式にメルセデス・ベンツへのパーツ供給が始まり、1993年には初の共同開発車C36を発売、1999年には買収されてメルセデス・ベンツの一部門となった。現在はBMWのMモデルアウディのS(RS)シリーズ同様、高性能エンジンを搭載したモデルを担当している他、スポーティーな付加価値の付いたパーツに冠されるブランドとなっている。

AMG仕様の開発は、メルセデス側が新車開発する初期の段階でAMG側に車両情報を送るところからスタートする。そのためメルセデスの新車公開とほぼ同時にAMG仕様を公開することができる。AMG仕様車はメルセデスの傘下に入る以前は威圧感があるスタイリングだったが、傘下に入ってからは落ち着いたスタイリングになっている。

最近ではAMGモデル以外にも通常モデルのオプションとして、AMGのアルミホイールやエアロパーツが販売されている。日本のメルセデス・ベンツには「AMGスポーツパッケージ」と呼ばれるオプションがあり、AMGモデルを購入しなくともスポーティーなエクステリアに仕上げることができるようになっている。

ゆえに外観をAMG仕様にした後にノーマルのエンブレムをAMGのエンブレムに付け替える衒示行為(E350→E55など)が日本においてまま見られる。これはエンブレム・チューンと呼ばれている。この場合、リアガラス左下に張られるAMG車であることを示す銀色のステッカー(複製防止のため、再使用不可のステッカーとなっている)が貼られていないので、注意深く観察すれば外観から判別できる。同様に、エクステリアはノーマルのままAMGのエンブレムのみ付け足す例も見られ、この場合はメルセデスオーナーはもとより、ある程度車に詳しい人が見ればノーマルのメルセデスであることは一目瞭然であるのは言うまでもない。しかし、奥様向けの雑誌であるVERYなどのコラムでこれらの行為が紹介されており、かなりの台数のエンブレムチューン済メルセデスが存在する。

1980年代後半には三菱自動車ギャランデボネアのチューニング(ギャランAMG、デボネアAMG)を担当したことがある。

独立企業時代からモータースポーツに関わっており、現在はドイツツーリングカー選手権(DTM)での活躍がみられる。1996年からは、F1セーフティーカーおよびメディカルカーを担当している。

当時AMGの輸入元だったAMGジャパン(ヤナセの子会社)が取り扱っていた頃は、モデル名の前にAMGの名前が入っていた(例;AMG C63)が、2000年10月にダイムラー・クライスラー日本(当時)に輸入権を譲渡されて以降は、現在の表示(例 - C63 AMG)に順次移行していった。

通常モデルとの違い

外観上、通常のメルセデス・ベンツとの違いは、各モデル専用のアルミホイールやエアロパーツが装着され、リアエンド右上にAMGのエンブレムが付くほか、リアエンド左上には数字2桁のエンブレムが付く(C55、S65等)。モデル名に関しては、1990年代前半まではベース車両のグレードの後ろに、実排気量やAMGにおけるグレードを併記するという方法が取られていた(例;400E S3、300E 3.2 SR、S500C-6.0等)が、1993年にメルセデス・ベンツ本社との共同開発車、C36が発売されて以降は、前述の数字2桁の表記方法に順次移行し、具体的なベースグレードの概念は現在はなくなっている。ただし、W202C280 AMGR170SLK230 AMGは例外的に3桁の表示を採用しているが、これは、これらのモデルのエンジンに、AMGの手が加えられていないことによるものである。

また、強化ブレーキシステムや専用のスポーツサスペンション、チューンされたエンジン、マフラーが搭載され、スポーティーなドライブが可能である。

加えて、一部の日本販売モデルにはAMGモデルをさらにチューンした「パフォーマンスパッケージ」が用意されている。

内装やシートにも通常モデルと比べて高級な素材を使用することが多く、質感も向上している。AMGのロゴが入ったスピードメーターは300km/h以上刻まれているが、実際には一般の欧州車同様250km/hでスピードリミッターがかかる。ドイツ本国では有償オプション扱いでリミッターを外すことも可能だが、その場合は使用するタイヤを始めとして、コンディションを厳格に維持することが求められる。

日本における現行車種

現在日本で販売されている車種は下の通りである。欧州にはこれ以外のバージョンやディーゼルエンジン搭載のモデルも存在する。現在では、主力は「63系」のエンジンであり、AMGモデルのほとんどを占めている。 基本的に同じ「系」に属す車種には同じエンジンが搭載されているが、過給器の有無や出力の違いがある。

日本国内においては、左ハンドル仕様のみとした設定が長らく続けられてきており、現在もE63ステーションワゴン・CLS63・G55・S65・CL63・CL65・SL63は左ハンドル仕様のみであるが、最近ではC63セダン・E63セダン・S63では左右の選択が可能になり、逆にC63ステーションワゴン・ML63では右ハンドル仕様のみにされたりと、ラインアップの構成に変化が生じている。

SL65 AMG と S65 AMG ロング
C63 AMG クーペ
S55 AMG
車種 エンジン エンジン型式 最高出力 ベース車両
65系(受注生産)
S65 AMG ロング 6.0L ツインターボV型12気筒SOHC M275 629ps/102.0kg·m Sクラス
CL65 AMG CLクラス
63系
C63 AMG
C63 AMG ステーションワゴン
C63 AMG クーペ
6.2L V型8気筒DOHC M156 457(487)ps/61.2(61.2)kg·m Cクラス
E63 AMG
E63 AMG ステーションワゴン
524ps/64.2kg·m Eクラス
SL63 AMG 525ps/64.0kg·m SLクラス
ML63 AMG 510ps/64.2kg·m Mクラス
SLS AMG 6.2L V型8気筒DOHC M159 571ps/66.3kg·m
CLS63 AMG 5.5L ツインターボ V型8気筒DOHC M157 524(557)ps/71.3(81.6)kg·m CLSクラス
S63 AMG ロング 544(571)ps/81.6(91.8)kg·m Sクラス
CL63 AMG CLクラス
55系
SLRマクラーレン 5.5L ツインスーパーチャージャーV型8気筒SOHC M155 626ps/79.5kg·m
G55 AMG ロング 5.5L スーパーチャージャー V型8気筒SOHC 507ps/71.4kg·m Gクラス
括弧内はパフォーマンスパッケージ装備時

脚注

  1. ^ 日本ではしばしば「アーマーゲー」と誤読されるが、社では英語読みを指定しており、もしドイツ語読みするとしても「アーエムゲー」である

関連項目

外部リンク