法科学

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法科学(ほうかがく、: Forensic Science)とは、自然科学社会科学の原理と技術を用い、現在残されている状況を調べ、何が起こったのかを証拠に基づいて確定させる手法のことである。これは特に犯罪捜査民事訴訟において重要であるが、全く他の様々な分野でも使うことができる。すなわち、天文学や考古学、生物学、地質学において、大昔の出来事を調査するためには法科学が用いられる。

概要[編集]

法科学=Forensic sciencesの“Forensic”は、ラテン語の“forēnsis”、つまり「フォーラムの、及びフォーラム以前の」に由来している。[1] ローマ帝国時代、「起訴」とは、ローマ市街の中心にあるフォロ・ロマーノで聴衆を前に訴状を公開することであった。被告と原告はともに自らの主張を行い、よりよい主張をしてより広く受け入れられたものが判決を下すことができた。この起源は、現代における"forensic"という語の2つの用法のもとになっている: 一つ目は、「法的に有効な」という意味、そして2つ目が「公開発表の」という意味である。現状、"forensics"という語を"forensic science"の代わりに用いることは適切とみなされている。なぜなら、単数の"forensic"という語は「法的な」「法定に関連した」という言葉の同義語とみなされているからである。ただし、今や"forensics"は科学と密接に関連するものと捉えられているため、多くの辞書が"forensics"に"forensic science"すなわち法科学の意味を同時に載せている。

分野[編集]

法科学は、分析する対象に応じた個々の分野から成り立っている。

  • 法人類学は、骨格などを根拠に白骨死体の分析を行う分野である。
  • 血液学は血液型・血清型などの検査、DNA型の判定、血痕・体液・組織片などの検査を行う。
  • 法医昆虫学は、死体に湧いた各種昆虫の識別により、死亡状況・死亡推定時刻の推定を行う。
  • 法植物学も同様、各種植物の識別、付着状況・場所の推定を行う。
  • 法化学は薬物や毒物、微細粒子、繊維、塗膜を分析対象とする。爆薬の残渣や火災のススの分析も行う。
  • 指紋は法科学の対象となり、en:Forensic dactyloscopyと呼ばれる。。
  • 医学的知識を扱うものには法医学法歯学法病理学法精神医学(心理学)などの分野がある。
  • 破壊現象や変形、流体など、解析に関して工学的知識を扱う場合、その分野を大きく法工学と呼ぶ。
  • en:Digital forensicsは、テープなどの電子的記録媒体の復元を対象とする。
  • en:Forensic accountingは、過去の出来事が与えた経済的影響を証拠に基づき分析する。
  • en:Forensic aerial photographyは、空中写真をもとに事象の分析を行う一分野である。
  • en:Bloodstain pattern analysisは、血液の飛散パターンから殺人現場の再現を行う分野である。
  • 文書の鑑定には、筆跡鑑定が用いられる。

その他、ポリグラフ検査、音響解析、画像解析などの技術を用い、様々な鑑定が行われる。

参考文献[編集]

  1. ^ Shorter Oxford English Dictionary英語版 (6th ed.), Oxford University Press, (2007), ISBN 978-0-19-920687-2 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]