ヒョウモンガメ

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ヒョウモンガメ
ヒョウモンガメ
ヒョウモンガメ Stigmochelys pardalis
保全状況評価[a 1]
ワシントン条約附属書II
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : リクガメ上科 Testudinoidea
: リクガメ科 Testudinidae
亜科 : リクガメ亜科 Testudininae
: ヒョウモンガメ属
Stigmochelys Gray, 1873
: ヒョウモンガメ S. pardalis
学名
Stigmochelys pardalis (Bell, 1828)
シノニム

Tesutdo pardalis Bell, 1828 Geochelone pardalis Fitzinger, 1835
Psammobates pardalis
Le, Raxworthy, McCord & Mertz, 2006

和名
ヒョウモンガメ
英名
Leopard tortoise

ヒョウモンガメStigmochelys pardalis)は、動物界脊索動物界爬虫綱カメ目リクガメ科ヒョウモンガメ属(ヤブガメ属とする説もあり)に分類されるカメ。本種のみでヒョウモンガメ属を構成する。

分布[編集]

アンゴラ南西部、ウガンダエチオピア南部、ケニアザンビア東部、ジブチジンバブエスーダン南部、スワジランドソマリアタンザニアナミビアボツワナマラウイ南アフリカ共和国モザンビーク南部、レソト[1][2][3]

形態[編集]

甲長70.5センチメートル[2][3]。雌雄で甲長は変わらない[3]背甲はドーム状に盛り上がる[2]。甲板は孵化直後からある甲板(初生甲板)周辺に成長輪が明瞭で、初生甲板を中心に盛り上がる傾向がある[2]項甲板がない[1][2]縁甲板外縁は鋸状に尖らず反りかえり、左右の第12縁甲板は癒合する[2]。背甲の色彩は黄色や黄褐色、褐色で、初生甲板を除いて黒や暗褐色の細かい斑紋が入る[2]。種小名pardalisは「ヒョウ(豹)の」の意で、背甲に入る斑紋に由来し和名や英名(leopard=ヒョウ)と同義[2]。この模様が草原では保護色になると考えられている[2]。背甲と腹甲の継ぎ目(橋)は幅広く、2枚の腋下甲板と1枚の鼠蹊甲板がある[2]。腹甲はやや大型。喉甲板は突出せず、分厚い[2]。左右の肛甲板の間には深い切れ込みが入る[2]

頭部は小型で、吻端は突出しない[2]。後肢と尾の間には2-3個の先端が丸い大型鱗が並ぶ[2]

卵は長径4-5.2センチメートル、短径3.6-4.4センチメートルの楕円形か、直径3.5-4センチメートルの球形[2][3]。メスはオスに比べると背甲が幅広く甲高が高い[2]。またオスの成体は第12縁甲板の外縁が下方や内側へ向かい、腹甲の中央部がわずかに凹み左右の肛甲板の間の切れ込みが浅い弧状[2]。さらにオスは尾がより太いうえに長く、尾を甲羅に収納した状態でも先端が第10-11縁甲板や後肢に達する[2]。メスの成体は第12縁甲板の外縁が後方に突出し、腹甲の中央部は凹まず左右の肛甲板の間の切れ込みがより深い[2]。さらにメスは尾がより細いうえに短く、尾を甲羅に収納した状態では先端が第11縁甲板に達しない[2]

分類[編集]

以前はリクガメ属Geochelone亜属とされていたが、リクガメ属およびGeochelone亜属は特に近縁ではなく偽系統だと考えられていた[4]。核DNAやミトコンドリア分子系統学的解析でもリクガメ属やGeochelone亜属は単系統群ではなく、本種は同じくアフリカ大陸に分布するヤブガメ属単系統群を形成すると推定された[4]。そのため本種をヤブガメ属に含める説もあったが、ヤブガメ属は甲長20センチメートル未満であること、頭骨の差異を重視して本種のみでヒョウモンガメ属を構成する説が有力[3][4]。本種とヤブガメ属からなる単系統群は、ソリガメ属ヒラセリクガメ属からなる単系統群に近縁と推定されている[3][4]

ナミビア南部と南アフリカ共和国西部を除いた個体群を亜種バブコックヒョウモンガメG. p. babcockiとして分割する説もある[2][3]。しかし分布の境界線や形態の差異が不明瞭なこと、中間型の個体が多いことから亜種を無効とする説もある[2][3]

生態[編集]

主にサバナ気候ステップ気候の地域(砂漠気候地中海性気候西岸海洋性気候の地域にも生息する)で標高3,000メートル以下にあるイネ科の草本や低木からなる草原サバンナ乾燥林、有刺植物からなる低木林などに生息する[1][2]。南部個体群は冬季になると茂み、岩や倒木の下、シロアリの古い蟻塚などで休眠する[2]

食性は植物食で、、木の葉果実、多肉植物、キノコなどを食べる[1][2][3]。また大型動物の骨を齧った例もある[2][3]天敵ミナミジサイチョウ

繁殖形態は卵生。繁殖期になると他個体に体当たりしたり、ひっくり返して争う(特にオス同士で顕著だが、オスがメスに交尾を迫る際やメスがオスを拒絶して争うこともある)[2]。オスはメスを追跡し体当たりし、メスが動かなくなると鳴き声をあげながら交尾する[2]。夏季や雨期に10-30センチメートルの穴を掘り、1回に5-30個の卵を年に2-7回に分けて産む[2][3]。産卵の間隔は3-4週間[3]。卵は178-485日で孵化する[2][3]

人間との関係[編集]

開発や野焼きによる生息地の破壊、食用やペット用の採集などにより生息数は減少している[2][3]

ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されている[2]。飼育下でも50センチメートル以上に達する大型種のため、極めて大型のケージおよびそのケージ内の温度を維持する暖房器具、紫外線を照射する照明器具などが用意できない限り一般家庭での飼育には向かない[2][3]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

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  1. ^ a b c d 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、194頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 安川雄一郎 「ケヅメリクガメとヒョウモンガメの分類と生活史」『クリーパー』第11号、クリーパー社、2002年、4-12、44頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 安川雄一郎 「ペットとしてのリクガメの飼育と分類」『エクストラ・クリーパー』No.3、誠文堂新光社、2008年、20-21、51-52、57-58、70頁。
  4. ^ a b c d 安川雄一郎 「リクガメ属の新しい分類について」『クリーパー』第39号、クリーパー社、2007年、58-61頁。

外部リンク[編集]