パティシエ

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アブラハム・ボス「菓子職人」

パティシエpâtissier)とはフランス語菓子製造人を意味する名詞の男性形。女性形はパティシエールpâtissière。“e”が追加されて“r”も発音される字となる)となる。ただし、一応パティシエという言葉は、男性、女性の区別なく菓子職人のことを指す。また、パティシエールがお菓子屋さんのことを指す場合もある(カスタードクリームの仏名 crème pâtissièreは、「お菓子屋さんのクリーム」の意)。

「パティシ」は誤記。

概要[編集]

中世のフランスで、聖体拝領用のパンや焼き菓子を作る職人であるオブロワイエが、器やパイ生地などに肉や魚を詰めて焼く料理、パテ料理を作る仕事にも従事するようになり、パスティ(ひき肉などの詰め物料理)を作る者(パスティシエ)に分化し、やがてパティシエになったと言われている。

1440年のパリ奉行による身分規定の中にパティシエという職業が記録されている。当時は各々の職業区分と業務内容に対する制約が強く、パン屋には砂糖を使った菓子を焼くことは禁止されており、菓子作りはパティシエの特権とされていた。パティシエになるには徒弟として5年修行を経た後、試験に合格すれば職人の位になり、更に3年働いた後に組合に「親方昇級作品」を提出し合格する必要があった。店主の息子は希望すれば徒弟の期間は免除された。こうした組合制度はルイ16世の時代まで続いた。フランス革命の後、社会制度が大きく変動するとともに多くのパティシエは菓子作り専業となったが、今日のパティシエの認可制度にも親方による実地教育といった徒弟制度の名残りがある[1]

日本でこの語が使用され始めたのは2000年前後と思われる。恐らく多くの外来語と同じように、より良いイメージを与えるには、日本語では駄目なので、ヨーロッパ語が選ばれたのだと思われる。主に「スイーツ」と呼ばれる洋菓子デザートを作る職人の名称となっていて、和菓子職人をパティシエと呼ぶことはない。

パティシエと呼ばれる菓子職人が作る菓子・デザートなどは、味のおいしさだけでなく、見た目にも配慮されており、芸術作品を思わせるものもある。

パティシエの仕事は、朝早くから夜遅くまでの長時間の立ち仕事で、細かい作業から力仕事までこなさなければならず、休みも少ない。そのせいか、2004年度の統計によると、日本のパティシエの人数は年々減少傾向にあり、特に若手男性が減少しているという。それに代わるように女性の進出が目立つようになり、最近ではオーナーからスタッフまで全員が女性という菓子店も珍しくなくなってきている。

欧州(特にドイツ)では女性に人気のある職業であり、パティシエの半数は女性で占められている。しかし、フランスでは女性がこの職業に携わることは少ない。なお、フランスでは、パティシエは日本の医者に値するほどの社会的地位を持つ。  

パティシエが登場する作品[編集]

関連項目[編集]

出典[編集]

参考文献[編集]

マグロンヌ・トゥーサン=サマ; 吉田春美訳 『お菓子の歴史』 河出書房新社、2005年ISBN 4309224377 

外部リンク[編集]