ひまし油

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ひまし油

ひまし油(ひましあぶら、ひましゆ、蓖麻子油)は、トウダイグサ科トウゴマ種子から採取する植物油の一種。

用途[編集]

工業原料[編集]

成分は不飽和脂肪酸リシノール酸が87%、オレイン酸が7%、リノール酸が3%)と少量の飽和脂肪酸パルミチン酸ステアリン酸などが3%)のグリセリド。ひまし油は、脂肪油としては粘度比重ともに最大であるのに加えて、低温下においても高い流動性をもつため、各種工業用の原料として広い用途がある。また、油脂として潤滑性が大変優秀であるが、酸化されやすく熱安定性が劣るため一般用としては不向きである。その優れた性状と潤滑性から初期の航空機エンジンの潤滑油として使用される事が多かったが、エンジンの高出力化と熱と酸化への安定性の不足から第二次世界大戦の頃には航空機用潤滑油は鉱油系が主力となった。現代では短時間でそのつど交換するレース用エンジンオイルやラジコン用のグロー燃料(オイルとして配合)などで使用される。

ひまし油およびその加工品は、石鹸(せっけん)、潤滑油作動油塗料インキワックス、耐低温樹脂、ナイロン医薬品香水ポマードなどの原料として用いられる。

また、セバシン酸の原料としても重要である。有毒リシンもひまし油生産時の副産物として作られる。

医薬[編集]

用途の中で、1%程度を占めるに過ぎないが、伝統的に下剤として用いられ、日本薬局方にも収載されている。医師によってはリチネと略記する[1]

その他[編集]

  • アニメの『ポパイ』の恋人の女性オリーブ・オイルの兄はキャスター・オイル(Castor Oyl)という名であるが、ひまし油の英語名(castor oil)をもじっている。
  • アニメ『トムとジェリー』の挿話『赤ちゃんはいいな』では、トムが飼い主の娘の赤ちゃんごっこに付き合わされた際に、ラストでトムは娘におとなしくしていなかった罰としてひまし油をスプーンで無理矢理飲まされるエピソードがある。(その直後にトムは洗面台に駆け込んでいる)
  • カストロール(Castrol)社の名称も、同様にひまし油の英語名に由来している。
  • イタリアムッソリーニ率いるファシスト党は、自白を強要するために大量のひまし油を飲ませる拷問を行ったという。下痢によって死亡したものもいると言われる。
  • 戦後日本でも、天ぷら油として使われ飲食者の下痢を招いた。風味は良かったという者もいる[2]
  • ギリシャではひまし油を体に塗る油として使われていた。また、エドガー・ケイシーは、ひまし油をフランネルに浸し、ヒーターを添えて体に当てて湿布する方法をリーディングしている。

脚注[編集]

  1. ^ 日本薬剤師会, ed. (2008), 調剤指針 (第12改訂増補 ed.), 薬事日報社, p. 62, ISBN 9784840810517 
  2. ^ 平野正章/小林菊衛著『てんぷらの本』柴田書店 285Pより。

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]