「運動 (物理学)」の版間の差分
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物理学における'''運動'''(Motion)とは、[[物体]]の参照系との位置関係が変化することと定義され、これはある参照系にいる観察者によって測定される。 |
物理学における'''運動'''(Motion)とは、[[物体]]の参照系との位置関係が変化することと定義され、これはある参照系にいる観察者によって測定される。なお、ある一つの運動が可能であったならば、それと同じ状態を逆の順序で経過する運動も可能であると考えられる。(時間の等方性による時間反転)<ref> L.D.ランダウ、E.M.リフシッツ『力学・場の理論、ランダウ・リフシッツ物理学小教程』水戸 巌、恒藤敏彦、廣重 徹 訳、筑摩書房(ちくま学芸文庫)、2008年、27頁 |
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17世紀の末に[[アイザック・ニュートン]]は[[プリンキピア]]の中で、[[古典力学]]の原理、前提となる[[運動の法則]]について記述した。ニュートンの古典力学による、運動している物体の軌跡や受けている力の計算は、[[物理学者]]が高速の現象を観察できるようになるまではとても上手くいっていた。 |
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しかし高速運動になると、古典力学の方程式では正しい値を計算できない。これらの問題を解決する手段として、[[アンリ・ポアンカレ]]と[[アルバート・アインシュタイン]]が考えた運動の基礎的な現象に関するアイデアはニュートン力学に代わるものだった。ニュートンの運動の法則が、方程式の中で空間や時間を絶対的なものとしているのに対して、[[特殊相対性理論]]と呼ばれるアインシュタインとポアンカレのモデルでは、[[空間]]や[[時間]]を任意のゼロ点とした。特殊相対性理論では[[光速]]に近い極めて高速の現象も扱えることから、特殊相対性理論は([[重力]]を無視するとすれば)物体の運動を正確に記述できるモデルとして受け入れられている。しかし現実には、特殊相対性理論よりもニュートンの運動の方程式の方がずっと単純で計算しやすいため、物理学や工学で今でも用いられている。 |
しかし高速運動になると、古典力学の方程式では正しい値を計算できない。これらの問題を解決する手段として、[[アンリ・ポアンカレ]]と[[アルバート・アインシュタイン]]が考えた運動の基礎的な現象に関するアイデアはニュートン力学に代わるものだった。ニュートンの運動の法則が、方程式の中で空間や時間を絶対的なものとしているのに対して、[[特殊相対性理論]]と呼ばれるアインシュタインとポアンカレのモデルでは、[[空間]]や[[時間]]を任意のゼロ点とした。特殊相対性理論では[[光速]]に近い極めて高速の現象も扱えることから、特殊相対性理論は([[重力]]を無視するとすれば)物体の運動を正確に記述できるモデルとして受け入れられている。しかし現実には、特殊相対性理論よりもニュートンの運動の方程式の方がずっと単純で計算しやすいため、物理学や工学で今でも用いられている。 |
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==運動の種類== |
==運動の種類== |
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[[振り子]]は、常に中心に向かって加速する[[単振動]]運動をする。他の種類の運動には、直線運動や往復運動がある。自然界での運動としては、[[ブラウン運動]]や[[惑星]]の周回運動がある。 |
[[振り子]]は、常に中心に向かって加速する[[単振動]]運動をする。他の種類の運動には、直線運動や往復運動がある。自然界での運動としては、[[ブラウン運動]]や[[惑星]]の周回運動がある。 |
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==脚注== |
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[[Category:物理学|うんどう]] |
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2012年6月9日 (土) 03:09時点における版
古典力学 | ||||||||||
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歴史 | ||||||||||
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物理学における運動(Motion)とは、物体の参照系との位置関係が変化することと定義され、これはある参照系にいる観察者によって測定される。なお、ある一つの運動が可能であったならば、それと同じ状態を逆の順序で経過する運動も可能であると考えられる。(時間の等方性による時間反転)[1]。
17世紀の末にアイザック・ニュートンはプリンキピアの中で、古典力学の原理、前提となる運動の法則について記述した。ニュートンの古典力学による、運動している物体の軌跡や受けている力の計算は、物理学者が高速の現象を観察できるようになるまではとても上手くいっていた。
しかし高速運動になると、古典力学の方程式では正しい値を計算できない。これらの問題を解決する手段として、アンリ・ポアンカレとアルバート・アインシュタインが考えた運動の基礎的な現象に関するアイデアはニュートン力学に代わるものだった。ニュートンの運動の法則が、方程式の中で空間や時間を絶対的なものとしているのに対して、特殊相対性理論と呼ばれるアインシュタインとポアンカレのモデルでは、空間や時間を任意のゼロ点とした。特殊相対性理論では光速に近い極めて高速の現象も扱えることから、特殊相対性理論は(重力を無視するとすれば)物体の運動を正確に記述できるモデルとして受け入れられている。しかし現実には、特殊相対性理論よりもニュートンの運動の方程式の方がずっと単純で計算しやすいため、物理学や工学で今でも用いられている。
ニュートンのモデルでは、運動は時間に対する空間の変化率で定義されているため、運動が力の概念よりも先に立つように、空間や時間の概念は運動よりも優先する。言い換えると、空間や時間の特性が運動、力の本性や特性を決定する。
特殊相対性理論では、運動は空間軸と時間軸からの角度のようなものだと考えられる。特殊相対性理論やユークリッド空間では、相対的な運動のみが観測でき、絶対的な運動は意味を持たない。
ある物体は、別の物体との距離が変化する時に運動していると言える。物体が運動しているか否かは観測者の視点に依存する。例えばバスに乗っている女性は、彼女の座っている椅子から見ると移動していないが、バスが通り過ぎるビルから見ると移動している。参照系は物体が動いているかどうかを比較するのに用いられる。物体は、参照系に対する位置を変化させている時に運動していると言えるのである。観測者から見ると、参照系は静止しているとみなせる。
運動の種類
振り子は、常に中心に向かって加速する単振動運動をする。他の種類の運動には、直線運動や往復運動がある。自然界での運動としては、ブラウン運動や惑星の周回運動がある。
脚注
- ^ L.D.ランダウ、E.M.リフシッツ『力学・場の理論、ランダウ・リフシッツ物理学小教程』水戸 巌、恒藤敏彦、廣重 徹 訳、筑摩書房(ちくま学芸文庫)、2008年、27頁