和田勉

和田 勉（わだ べん、本名：和田 勉（わだ つとむ）、1930年6月3日 - 2011年1月14日）は、三重県松阪市出身の日本の演出家、映画監督。ワダベンカンパニー代表取締役。タレントとしても活動していた。元NHKディレクター。元生島企画室業務提携。

来歴・人物

幼少期に松阪から鹿児島県に転居し、高校途中まで鹿屋市に住む。鹿児島県立鹿屋高等学校から巣鴨高等学校に転校し、早稲田大学第一文学部演劇学科卒業。

1953年にNHK入局。同期には磯村尚徳、吉田直哉らがいる。主にテレビドラマのディレクター、プロデューサーとして活躍。『竜馬がゆく』『天城越え』『阿修羅のごとく』『ザ・商社』『けものみち』『夜明け前』ほか、数多くのテレビドラマの演出を担当した。手がけた作品が軒並み賞を受賞したことから、「芸術祭男」の異名を受けたこともある。「テレビはアップだ」の信念のもとにクローズアップを多用した演出で知られた。1968年、芸術選奨文部大臣賞受賞。この年に新設された放送部門の初受賞者である。

1987年にNHKを定年退職。フリー以後はフジテレビの横澤彪からの誘いにより『笑っていいとも!』の月曜レギュラーになるなど、バラエティにも進出。演出業も並行して担当。映画『ハリマオ』は映画監督初作品。出演した日清食品Spa王のCMで披露するほど、ダジャレが得意。出前一丁のCM（東日本のみ）にもアニメで出演した。1994年には俳優養成学校「ザ・ドラマ・スクール」を開校。夫人は衣装デザイナーのワダ・エミ。

ヘビースモーカーとしても知られており、嫌煙団体との賛否はたびたびマスコミを通して議論を呼ぶことがあった。愛煙していた煙草はマールボロ。

2002年11月に東京都内の私立大学のゼミの講師として招かれた際、女子大生に猥褻行為をしたとして提訴され、控訴審まで争うも2004年に敗訴が確定した。なお、この訴訟において和田は女子大生に対し「あほ学生」「スポンジ脳」等の暴言を連発し、取材した新聞各社にも女子大生が名前を出さない限りコメントしないと挑発的な発言をした。テレビの取材には応じたものの「合意の上での行為」「女子大生が誘った」等と弁解をしている。この訴訟以降は高齢のため、テレビ等には姿を見せなくなった。

2004年、これまでのテレビ生活をまとめた著書『テレビ自叙伝-さらば、我が愛-』を出版。

2011年1月14日、食道上皮がんのため神奈川県川崎市の老人福祉施設で死去。80歳没。なお、がんと診断されたが手術や延命治療を行わず、約3年間病院や老人福祉施設で闘病生活を行っていた。和田勉の没後、古巣の日本放送協会は追悼番組として、1月30日にNHK総合テレビジョンのNHKアーカイブス枠で『追悼・和田勉～ドラマ“天城越え”～』を放送した。

主な作品

テレビドラマ

• 『大市民』（1966年、NHK）
• 『文五捕物絵図』（1967年、NHK）
• 『小さな世界』（1967年、NHK）
• 大河ドラマ『竜馬がゆく』（1968年、NHK）
• 『一の糸』（1969年、NHK）
• 『朱鷺の墓』（1970年、NHK）
• 『鹿鳴館』（1970年、NHK）
• 『風の中の女』（1971年、NHK）
• 『満開の時』（1971年、NHK）
• 『挽歌』（1971年、NHK）
• 『針女』（1972年、NHK）
• 『天草の雅歌』（1972年、NHK）
• 『桃から生まれた桃太郎』（1972年、NHK）
• 『金色夜叉』（1973年、NHK）
• 『出会い』（1973年、NHK）
• 『あかあかと』（1975年、NHK）
• 土曜ドラマ『遠い接近』（1975年、NHK）
• 土曜ドラマ『中央流沙』（1975年、NHK）
• 土曜ドラマ『愛染かつら』（1976年、NHK）
• 土曜ドラマ『花に棲む』（1976年、NHK）
• 『堂々たる打算』（1976年、NHK）
• 『斑鳩の白い道の上に』（1976年、NHK）
• 土曜ドラマ『閃光の遺産』（1977年、NHK）
• 土曜ドラマ『棲息分布』（1977年、NHK）
• 土曜ドラマ『最後の自画像』（1977年、NHK）
• 土曜ドラマ『優しい時代』（1977年、NHK）
• 土曜ドラマ『十字路』（1978年、NHK）
• 土曜ドラマ『天城越え』（1978年、NHK）
• 土曜ドラマ『火の記憶』（1978年、NHK）
• 土曜ドラマ『阿修羅のごとく』（1979年、NHK）
• 土曜ドラマ『阿修羅のごとく　パートII』（1980年、NHK）
• 『ザ・商社』（1980年、NHK）
• 土曜ドラマ『価格破壊』（1981年、NHK）
• 土曜ドラマ『けものみち』（1982年、NHK）
• 『勇者は語らず いま、日米自動車戦争は』（1983年、NHK）
• 『文楽　夏祭浪花鑑』（1983年、NHK）
• 土曜ドラマ『波の塔』（1983年、NHK）
• 『女殺油地獄』（1984年、NHK）
• 『心中宵庚申』（1984年、NHK）
• 『脱兎のごとく 岡倉天心』（1985年、NHK）
• 『おさんの恋』（1985年、NHK）
• 『但馬家のお夏』（1986年、NHK）
• 『夜明け前』（1987年、NHK）
• 木曜ゴールデンドラマ『江夏八重子の生涯』（1988年、KTS）
• 月曜ドラマスペシャル『鏡の中の女たち　さよなら鏡子』（1992年、TBS）

映画

• ハリマオ（1989年）
• 完全なる飼育（1999年）

出演

テレビドラマ

• TRICK2（テレビ朝日系）episode1（第1～3回） 松乃上孝雲（和田弁天の住職）役

バラエティ

• 笑っていいとも（フジテレビ系）1987年10月 - 1988年9月※月曜日担当

CM

テレビ

• 日立製作所
• 月桂冠
• 日清食品 spa王

ラジオ

• 春日井製菓

著書

• 『演技と人間 : テレビジョンの思想』（毎日新聞社,1970年）
• 『地中海人間』（日本放送出版協会,1975年）
• 『ドラマ人間テレビ語り』（講談社,1980年）
• 『和田勉のおしゃべりスタジオ : ズーム・アップで「舌戦」十番』（PHP研究所,1981年）
• 『いい仕事ができる奴 : テレビ怪物の発想法』（ベストセラーズ,1984年）ISBN 4584005621
• 『素敵な女ほどウソがうまい : あなたの人生が面白くなるこの効用』（祥伝社,1986年）ISBN 4396620039
• 和田勉編『今日も天気だタバコがうまい : 嫌煙派のみなさん、ちょっと一服しませんか』（現代書林,1988年）ISBN 4876202117
• 『知的欲張りのススメ : 若者よ文化人として生きるのだ!!』（スコラ,1989年）ISBN 4796200045
• 『女優誕生』（新潮社,1992年）ISBN 4103862017
• 『すこぶるテレビ』（岩波書店,1994年）ISBN 4002601803
• 『男と女、愛の鉄則』（講談社,1997年）ISBN 4062088800
• 『子供の感じ : 1999年備忘詩』（新潮社,1999年）
• 和田勉述『テレビディレクターの仕事』（早稲田大学人間科学部産業社会学研究室,2000年）
• 『王様の四角 : 2000年備忘詩』（新潮社,2001年）
• 『勇気凛々祖師谷南北頂店街・序曲 : 断腸の日々』（近代文芸社,2003年）ISBN 4773370025
• 『テレビ自叙伝 : さらばわが愛』（岩波書店,2004年）ISBN 4000240110