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2010年5月14日 (金) 15:36時点における版

システムアーキテクト試験
英名 Systems Architect Examination
略称 SA
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 情報
試験形式 筆記
認定団体 独立行政法人情報処理推進機構情報処理技術者試験センター及び経済産業省
認定開始年月日 2009年(平成21年)
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
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システムアーキテクト試験( - しけん、Systems Architect Examination、略語SA)は、独立行政法人情報処理推進機構 情報処理技術者試験センターが、情報処理技術者試験の一区分として行う経済産業大臣(旧通商産業大臣)認定の国家試験である。2009年(平成21年)春期試験より、2007年(平成19年)12月に発表された新試験制度のスキルレベル4(スキルレベルは1~4が設定されている)に相当。

概要

この試験は対象業務の分析からシステム設計・基本設計・詳細設計・プログラミング・テストといった一連の作業に係わる者、いわゆるシステムエンジニアを対象としている。

元々は1971年より開始された特種情報処理技術者という区分であったが、1994年よりアプリケーションエンジニアの名称に変更された。1971年から2000年までは受験に年齢制限(受験する年の4月1日時点で満25歳以上であること)があった。さらに1995年からは、受験に際し業務経歴書の提出を行う必要があった。この区分は2001年に行われた情報処理技術者試験の大規模改訂の後も存続しているが、試験方式や試験問題に変化が起き、さらに年齢や業務経歴書の提出といった必要事項は廃止されている。

この区分は高度情報処理技術者に分類されている。近年は他試験の影響を受けて応募者数・受験者数が減少傾向にあった。前年に情報セキュリティアドミニストレータ試験が新設された影響で2002年頃から徐々に応募者数が減少しはじめた[1]。さらに2005年には、従来は春のみに実施されていたソフトウェア開発技術者試験が秋にも実施されるようになった影響を受け、応募者数・受験者数がともに前年と比べて30%程度以上減少した[1]。合格率は例年6~8%程度と低い。2009年度から施行される新制度からスキルレベル4のシステムアーキテクト試験に名称が改められた。

試験・資格の位置付け

試験

改正前・改正後ともに10月の第3日曜日に秋期情報処理技術者試験の一区分として行われる。

午前試験は多肢選択式、午後試験は記述式と論文式(小論文)に分かれている。

2008年度以前の試験

午前

マークシート式の四肢択一で55問出題され、100分で全問解答する。IRT(項目応答理論)によって、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で合格(午前試験通過)である。

2001年度よりシステムアナリスト試験プロジェクトマネージャ試験と問題が共通化された。また、ソフトウェア開発技術者試験、システムアナリスト試験、プロジェクトマネージャ試験のいずれかに合格した年度を含む2年以内に受験した場合、申請により午前試験を免除される。

午後I

業務システムの設計構築に関する問題(大問)が4題出題される。それぞれの大問は、主題の設定となる文章と、それに対するいくつかの小問からなる。そのうち2題が必須、残りの2題のうち1題を選択し、90分で解答する。素点採点で、最低200点~最高800点の5点刻みで採点され、600点以上で合格(午後I試験通過)である。ただし、午前試験が600点に満たなかった者は採点されない。

午後II

3つのテーマから1つを選んで、業務経験を踏まえて小論文(最低2400字~最大4000字)を120分で書く。採点はA,B,C,Dの4段階で評価され、Aのみ最終的に合格となる。ただし、午後I試験が600点に満たなかった者は採点されない。

2009年度からの試験

午前I

9:30~10:20(50分)

マークシート式の四肢択一で30問出題され、50分で全問解答する。他の高度情報処理技術者試験と共通問題で、全分野のレベル3相当の問題が出題される。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午前I試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午前II・午後I・午後IIは採点されない。
午前II

10:50~11:30(40分)

マークシート式の四肢択一で25問出題され、40分で全問解答する。レベル4かつ重点分野は「システム開発技術」「システム企画」である。レベル3の中で試験対象は、「コンピュータ構成要素」「システム構成要素」「データベース」「ネットワーク」「セキュリティ」「ソフトウェア開発管理技術」「システム戦略」である。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午前II試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午後I・午後IIは採点されない。
午後I

12:30~14:00(90分)

2008年度までの午後Iとほぼ同じで、中規模の問題が4題出題され、そこから2題を選択して解答する。1題あたりのボリュームは、2008年度は1題30分平均であったが、1題45分平均となり多くなっている。満点の60%を基準点とし、基準点以上で午後I試験通過となる。基準点に達しなかった場合は不合格で、午後IIは採点されない。
なお、2009年度からの新制度では「組み込みシステム」に関する出題がサンプル問題として公開されていたが、実際に2009年度の試験で、4題のうち1題が組み込みシステムの問題だった。他の3題は、旧アプリケーションエンジニアとほぼ同様である。
午後II

14:30~16:30(120分)

2008年度までの午後IIとほぼ同じで、3つのテーマから1つを選んで、業務経験を踏まえて小論文(最低2200字~最大3600字)を120分で書く。採点はA,B,C,Dの4段階で評価され、Aのみ最終的に合格となる。基準点に達しなかった場合は不合格。
旧アプリケーションエンジニア試験と比較し、記述する文字数が若干少なくなっている。
2009年度の試験では、午後I同様、「組み込みシステム」関連のテーマで1つ出題されている。これにあわせ、解答用紙の最初にある「論述の対象とするシステムの概要」(開発規模・工数や対象業務を記入する)についても、組み込みシステム用に「論述の対象とする製品又はシステムの概要」が新たに設けられ、組み込みシステムのテーマを選択した場合は、ここに開発規模・工数や対象業務を記入する。

備考

  • 情報技術そのものの深い知識はそれぞれの専門家(いわゆるテクニカルエンジニア)に任せるという姿勢から、問われる技術レベルはそれほど高くない。その反面、基本情報技術者試験やソフトウェア開発技術者試験ではほとんど要求されなかった業務分析業務知識を扱う問題が前面に出てくる。特に午後問題では、業務知識を備えていないと問題文の読解も困難となる。応募者の大部分は社会人であり、学生あるいは情報処理業務未経験者はきわめて少ない(2007年度試験では、応募者11,567名のうち、学生は62名、業務未経験者は40名=試験センター統計資料による)。また、学生や業務未経験者の合格者は例年一桁の人数である。このことからも、この試験が社会人を主な受験者層として想定していることが伺える。このため、この試験はシステムエンジニアの能力及び業務経験を認定し、プロジェクトリーダレベルの能力を備えていることを証明すると受け止められている。
  • 業界内の評価は高く、ITPro(日経BP社)が行っている「社員に取らせたいIT資格」というアンケートでは、2005年以降ソフトウェア開発技術者よりも上位にランクされている。特に2006年分の調査ではプロマネとPMPに次ぐ3位にランクされている[2]。また、前述のように技術一本槍では合格が非常に厳しい区分である。この点から、主に理工系の専門教育を受けてきたシステムエンジニア(いわゆる理系SE)はこのあたりからキャリアとしての壁に直面する者もでる。また、本資格保有者は自衛隊技術陸曹(公募海曹)及び予備自衛官補(技能公募)の曹長任用資格となっている。

脚注

  1. ^ a b 松田幹子・松原敬二・加藤信行 『情報処理教科書 アプリケーションエンジニア 2008年度版』 翔泳社2008年、xiii頁。
  2. ^ (2007年結果|2006年結果|2005年結果|2004年結果)

外部リンク