ブラスト!
『ブラスト!』とは、かつてスター・オブ・インディアナ・ドラム・アンド・ビューグル・コーを経営していたクックグループ株式会社のために、ジェームス・メイソン (James Mason) が制作したブロードウェイのミュージカル作品である。2001年にはトニー賞の「最優秀スペシャル・シアトリカル・イベント賞」と[1][2]、プライムタイム・エミー賞の「最優秀振付賞」を受賞した[3][2]。
楽器編成
[編集]『ブラスト!』で使用される楽器はもっぱらドラムコーで使われている金管楽器と打楽器のみである。金管楽器はトランペット、フリューゲルホルン、メロフォン、バリトン(ユーフォニアムに似ている楽器)、チューバ、トロンボーン(一輪車に乗りながら「クラプキ巡査どの」("Gee, Officer Krupke")を演奏する)が使用され、打楽器はスネアドラム、テナードラム、バスドラム、シロフォン、ヴィブラフォン、マリンバ、ティンパニなどを含むフル編成が使用される。通常のドラムコーでは見られない、フレンチホルンやコンサート型の(上を向いた)ユーフォニアム、トロンボーン、バストロンボーン、ディジュリドゥ、シンセサイザーが使用されているのが特徴的である[4][5]。管楽器と打楽器を引き立てるのが、「ビジュアル・アンサンブル」(VEと略される)と呼ばれる、カラーガードのように様々なプロップを操るダンサーたちである。
歴史
[編集]1984年に結成されたスター・オブ・インディアナ・ドラム・アンド・ビューグル・コーは、ドラム・コー・インターナショナル(DCI)に1985年から1993年まで出場した[6]。彼らの演技は大きな評価を受け、1991年には世界チャンピオンとなり、注目を浴びるアメリカ中西部の団体となった。1993年を最後にDCIからは引退し、カナディアン・ブラスとともに「Brass Theater」と名付けられた新たなツアーを行う。1999年12月14日に、第一作となる『ブラスト!』がロンドンのハマースミス・アポロで初演され、2000年8月23日にアメリカへの上陸を果たし、マサチューセッツ州ボストンのワングセンター(現バッチセンター)で上演された。2001年4月17日、『ブラスト!』のブロードウェイでの上映がブロードウェイ・シアターにて始まり、翌年2002年9月7日に初の国内ツアーをミズーリ州セントルイスから行った。
第一作の成功に続き、『ブラスト! II Shockwave』が制作され、2002年から2003年にわたるアメリカでのツアーで上演された。この作品では木管楽器も使用されている。CDやDVDはリリースされていない。
さらにその続編である『MIX:Music in Xtreme』は2006年に発表され、日本でも2008年のツアーで上演された。
短編型ショー『The Power of BLAST!』は、2001年夏にエプコットのアメリカ合衆国館内にあるアメリカ・ガーデンズ・シアターで上演され、その後カリフォルニア州アナハイムのディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー内にあるハイペリオン・シアターの公式オープニングショーとして、2001年11月22日から2002年9月2日までの間上演された[7]。
演目
[編集]『ブラスト!』
[編集]第1幕
[編集]Overture of color
Violet
- "Villa Borghese"(『ローマの松』より) - (オットリーノ・レスピーギ)(1999年から2000年まで上演)
- "Color Wheel" - (Jefferson Lee)
- "Split Complimentaries" - (Josh Talbott)
Blue
- "Everybody Loves the Blues" - (メイナード・ファーガソン, Nicholas Lane)
- "Loss" - (ドン・エリス)
Green
- "Simple Gifts"(ささやかな贈り物)・"Appalachian Spring"(アパラチアの春) - (アーロン・コープランド)
Black
- "Battery Battle" - (T. Hannum, Jefferson Lee)
- "Medea"(メデアの復讐の踊り) - (サミュエル・バーバー)
第2幕
[編集]Color Wheel
- "Color Wheel Too" - (Jonathan Vanderkolff)
Yellow
- "Gee, Officer Krupke!"(『ウエスト・サイド物語』より「クラプキ巡査どの」) - (レナード・バーンスタイン, スティーヴン・ソンドハイム)
- "Lemontechno" - (Jonathan Vanderkolff)
Orange
- "Tangerinamadidge" - (B. Epperson, Jonathan Vanderkolff)
- "Land of Make Believe" - (チャック・マンジョーネ)
- "Marimba Spiritual"(マリンバ・スピリチュアル)・"Earth Beat" - (三木稔), (Michael Spiro)
Red
- "Malagueña" - (エルネスト・レクオーナ)
最近の『ブラスト!』では"Simple Gifts"と"Gee, Officer Krupke!"が省略され、"Tangerinamadidge"が"Lemontechno"の前に移動されている。
『ブラスト! II Shockwave』
[編集]第1幕
[編集]- "Starburst" -(E. Finkel, ジーン・クルーパ)
- "Prelude"(前奏曲、フーガとリフ) - (レナード・バーンスタイン)
- "First Circle" - (L. Mays, パット・メセニー)
- "Blue Rondo à la Turk" - (デイヴ・ブルーベック)
- "Guaguanco" - (アルトゥーロ・サンドヴァル)
- "God Bless the Child"(ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド) - (アーサー・ハーツォグ・ジュニア, ビリー・ホリデイ)
- "Drum, Drum, Drum" - (ルイ・プリマ, B. Dubinski, D. Delucia, Jefferson Lee)
- "Adagio for Strings"(弦楽のためのアダージョ) - (サミュエル・バーバー)
- "Channel One Suite" - (W. Reddie)
第2幕
[編集]- "Excerpts from Carmina Burana"(『カルミナ・ブラーナ』より) - (カール・オルフ)
- "Good Vibrations"(グッド・ヴァイブレーション) - (ブライアン・ウィルソン, ザ・ビーチ・ボーイズ)
- "Star Children" - (ドン・エリス)
- "Uninvited" - (アラニス・モリセット)
- "Turkish Bath" - (ドン・エリス)
- "Bohemian Rhapsody"(ボヘミアン・ラプソディ) - (フレディ・マーキュリー)
- "Lullaby for Nancy Carol" - (チャック・マンジョーネ)
- "Swing, Swing, Swing" - (ジョン・ウィリアムズ)
『MIX: Music in Xtreme』
[編集]第1幕
[編集]- "Ourverture" - (V. Corradi)
- "Shapes" - (Jefferson Lee)
- "Blue Rondo à la Turk" - (デイヴ・ブルーベック)
- "The Lady from 29 Palms" - (Allie Wrubel, フランク・シナトラ)
- "Night on Bald Mountain"(『禿山の一夜』) - (ニコライ・リムスキー=コルサコフ, モデスト・ムソルグスキー)
- "Tribal Towers" - (Jefferson Lee)
- "Malaga" - (B. Holman)
第2幕
[編集]- "o2" - (Jonathan Vanderkolff)
- "Didgeritoo" - (James Mason, Jefferson Lee, Jonathan Vanderkolff)
- "Star Children" - (ドン・エリス)
- "Uninvited" - (アラニス・モリセット)
- "Turkish Re-Mix" - (Jonathan Vanderkolff, Jefferson Lee)
- "Turkish Bath" - (ドン・エリス)
- "Open Wide" - (ドン・エリス)
- "Lullaby for Nancy Carol" - (チャック・マンジョーネ)
- "Encore" - (Jefferson Lee)
『The Power of Blast!』
[編集]エプコット版
[編集]- "Boléro"(ボレロ) - (モーリス・ラヴェル)
- "Color Wheel" - (Jefferson Lee)
- "Battery Battle" - (T. Hannum, Jefferson Lee)
- "Land of Make Believe" - (チャック・マンジョーネ)
- "Malagueña" - (エルネスト・レクオーナ)
ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー版
[編集]- "Boléro"(ボレロ) - (モーリス・ラヴェル)
- "Battery Battle" - (T. Hannum, Jefferson Lee)
- "Lemontechno" - (Jonathan Vanderkolff)
- "Land of Make Believe" - (チャック・マンジョーネ)
- "Malagueña" - (エルネスト・レクオーナ)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Official website
- Mason Entertainment Group homepage
- Blast! soundtrack information at MasterworksBroadway.com
- “Blast: An Explosive Musical Celebration” (英語). Amazon.com. 2005年12月20日閲覧。
- “Blast: An Explosive Musical Celebration”. Amazon.co.jp. 2016年12月5日閲覧。
出典
[編集]- ^ “2001 Tony (Antoinette Perry) Awards” [2001年のトニー賞(アントワネット・ペリー賞)] (英語). Infoplease. 2016年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2005年12月20日閲覧。
- ^ a b “ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニーとは|ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー”. 2016年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月4日閲覧。
- ^ “Emmy Awards: 2001” [エミー賞: 2001年] (英語). The Internet Movie Database. 2016年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2005年12月20日閲覧。
- ^ “Brass Instruments & Model Numbers” [管楽器の種類とモデル番号] (英語). blasttheshow.com. 2006年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2005年12月20日閲覧。
- ^ “Percussion Instruments & Model Numbers” [打楽器の種類とモデル番号] (英語). blasttheshow.com. 2006年5月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月20日閲覧。
- ^ “Song History for Star of Indiana” [スター・オブ・インディアナの演奏曲の歴史] (英語). Corpreps.com. 2016年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2005年12月20日閲覧。
- ^ “The Power of Blast at Yesterland” (英語). yesterland.com. 2010年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年5月25日閲覧。