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スプーンフル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「スプーンフル」
ハウリン・ウルフシングル
初出アルバム『ハウリン・ウルフ
B面 Howlin' for My Darling
リリース
規格 7インチ・シングル
録音 1960年6月 シカゴ[1]
ジャンル ブルース
時間
レーベル チェス・レコード
作詞・作曲 ウィリー・ディクスン
プロデュース レナード・チェス、フィル・チェス、ウィリー・ディクスン
ハウリン・ウルフ シングル 年表
I've Been Abused
(1959年)
スプーンフル
(1960年)
バック・ドア・マン
(1961年)
テンプレートを表示

スプーンフル」(Spoonful)は、アメリカ合衆国ブルース・ミュージシャン、ハウリン・ウルフ1960年に発表した楽曲。作詞・作曲はウィリー・ディクスンによる。チャーリー・パットンが1929年に録音した曲「A Spoonful Blues」を参考にして作られたが、パットンの曲も、パパ・チャーリー・ジャクスン英語版が1925年に発表した曲「All I Want Is a Spoonful」から影響を受けている[2]

ハウリン・ウルフの録音

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当初はオーティス・ラッシュに提供する案もあったが、ラッシュのスタイルに合わないことから、最終的にウルフの持ち歌となった[3]。音楽的には全編ともワン・コードで通されている[2]。オリジナル・ヴァージョンのレコーディングでは、作者のディクスンがベースで参加したのに加えて、オーティス・スパン(ピアノ)、ヒューバート・サムリン(ギター)、フレディ・ロビンソン(ギター)、フレッド・ビロウ(ドラムス)が起用されたが、フレディ・キングもギターで参加したという説もある[3]。ウルフのヴァージョンはシングルとしてリリースされたが、『ビルボード』の各種チャート入りを果たせなかった[2]

1968年にはウルフ、マディ・ウォーターズボ・ディドリーのコラボレーション・アルバム『ザ・スーパー・スーパー・ブルース・バンド英語版』で本作のリメイクが発表された[2]。また、ウルフがレーベルからの要望で嫌々制作したアルバム『ハウリン・ウルフ・アルバム』(1969年)では、サイケデリック色の強いアレンジでリメイクされた[4]

2004年に選出された「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」では219位にランク・イン[5]

カヴァー

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「Spoonful」
エタ・アンド・ハーヴィーシングル
B面 It's a Crying Shame
リリース
規格 7インチ・シングル
ジャンル ブルース、ソウル
時間
レーベル チェス・レコード
作詞・作曲 ウィリー・ディクスン
チャート最高順位
  • 78位(アメリカ[6]
テンプレートを表示
スプーンフル
クリーム楽曲
収録アルバムフレッシュ・クリーム
リリース1966年12月9日
録音1966年
ジャンルブルースロック
時間6分26秒
作詞者ウィリー・ディクスン
作曲者ウィリー・ディクスン
プロデュースロバート・スティグウッド英語版

エタ・アンド・ハーヴィーによるカヴァー

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エタ・ジェイムズハーヴィー・フークワは、オリジナル・ヴァージョンの発表から間もなく、本作のカヴァーをチェス・レコードから発表し[3]、1961年1月2日付のBillboard Hot 100で最高78位を記録した[6]

クリームによるカヴァー

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クリームは1966年のデビュー・アルバム『フレッシュ・クリーム』で本作をカヴァーした[2]。アメリカ初回盤LPでは外されて代わりに2作目のシングルとして発表された「アイ・フィール・フリー」が収録され[7]、1967年に本作をA面/B面に分割したシングルがアトコ・レコードから発売されている[8]

ライヴでも取り上げられ、アルバム『クリームの素晴らしき世界』(1968年)には約17分にも及ぶ演奏が収録された[2]。2005年の再結成公演でもセットリスト入りし、ライヴ・アルバム『リユニオン・ライヴ2005』および映像作品『ライヴ・アット・ロイヤル・アルバート・ホール2005』にも収録された[9]

メンバーだったジャック・ブルースは1993年11月に生誕50周年を記念して開催したケルン公演で、同じくメンバーだったジンジャー・ベイカーゲイリー・ムーアを迎えて本作を含むクリームの曲を演奏した。その模様はブルース名義のライヴ・アルバム『シティーズ・オブ・ザ・ハート〜ライヴ1993』および映像作品『ライヴ・イン・ジャーマニー1993』に収録された[10]

Ultimate Classic Rockの2014年の企画「クリームの曲トップ10」では、本作のスタジオ・ヴァージョンが9位にランク・インした[11]

その他

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脚注

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  1. ^ Illustrated Howlin' Wolf discography”. wirz.de. 2023年1月22日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i Waring, Charles (2022年6月1日). “'Spoonful': The Story Behind Howlin' Wolf's Classic Blues Song”. uDiscoverMusic. 2023年1月22日閲覧。
  3. ^ a b c Spoonful - Howlin' Wolf (Chess, 1960)”. The Blues Foundation (2016年11月10日). 2023年1月22日閲覧。
  4. ^ Chilton, Martin (2022年11月11日). “'The Howlin' Wolf Album': More Than A Psych-Blues Novelty Record”. uDiscoverMusic. 2023年1月22日閲覧。
  5. ^ The RS 500 Greatest Songs of All Time”. Rolling Stone (2004年12月9日). 2009年1月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月22日閲覧。
  6. ^ a b Etta James Chart History - Billboard Hot 100”. Billboard. 2023年1月22日閲覧。
  7. ^ Fresh Cream”. The Official Jack Bruce Website. 2023年1月22日閲覧。
  8. ^ The Cream - Spoonful (1967, Vinyl) - Discogs
  9. ^ Collette, Doug (2005年12月4日). “Cream: Cream: Royal Albert Hall London May 2-3-5-6 2005 album review”. All About Jazz. 2023年1月22日閲覧。
  10. ^ ジャック・ブルース、1993年ドイツでの50歳バースデイ記念スペシャル・ライヴがDVDで初登場!”. CDJournal. 音楽出版社. 2023年1月22日閲覧。
  11. ^ Gallucci, Michael (2014年10月25日). “Top 10 Cream Songs”. Ultimate Classic Rock. Townsquare Media. 2023年1月22日閲覧。
  12. ^ Needs, Kris (2017年11月4日). “Ten Years After The Albums 1967-1974 album review”. loudersound.com. Future plc. 2023年10月18日閲覧。
  13. ^ ブルース・クリエイション/ブルース・クリエイション”. TOWER RECORDS JAPAN. 2023年1月22日閲覧。
  14. ^ Dahl, Bill. “Koko Taylor - The Earthshaker Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2023年1月22日閲覧。
  15. ^ Theakston, Rob. “Vivian Campbell - Two Sides of If Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2023年1月22日閲覧。
  16. ^ Moore, Rick. “Ronnie Wood: I Feel Like Playing”. American Songwriter. 2023年1月22日閲覧。