SCP財団

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SCP財団
SCP Foundation (emblem).svg
URL scp-wiki.net
日本語版:ja.scp-wiki.net
使用言語 英語[注釈 1]
スローガン 確保、収容、保護(日本語版)
アレクサ
ランキング
positive decrease 9,970 (2018年2月時点)[2]
営利性 非営利
登録 必要[注釈 2]
設立日
  • 2008年1月19日 (2008-01-19) (旧サイト)
  • 2008年7月19日 (2008-07-19)(現サイト)[3]
現状 活動中
ライセンス
CC Attribution / Share-Alike 3.0

SCP財団: SCP Foundation)とは、「SCP」と呼称される自然法則に反した物品・場所・存在を取り扱う架空の組織の名称であるとともに、それについての共同創作を行う同名のコミュニティサイトである。サイトの主要な創作物は特定のSCPを封じ込める方法を示す"特別収容プロトコル"を記した架空の報告書であるが、他にもSCPやSCP財団に関する様々な形式の掌編(サイト内では「財団Tales」またはTalesと呼ばれる)を執筆している。これらはWiki形式のウェブサイトにまとめて投稿される[4]

サイト内の創作物は共通の背景設定に大まかに従うことが求められており、その多くがホラー小説SFの要素を持つ。また創作物はいずれもクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0(CC BY-SA)ライセンスにより公開されており、SCP – Containment Breach英語版を始めとする複数の二次創作物が制作・公開されている。

2018年時点で、SCP財団には大元である英語サイトの他に、10の言語を使用するサイトがそれぞれ存在している。それらは英語の創作物の翻訳のほか、SCP財団の背景設定に従ったその言語独自の創作物も執筆している。当記事では英語サイトだけではなく、日本語版サイトについても項を分けて記述する。

大まかな設定[編集]

作品世界における「SCP財団」[注釈 3]は、自然法則に反した異常な存在・場所・物体・現象(これらはそれぞれの「特別収容プロトコル(Special Containment Procedures)」のファイル番号で呼称される)の保護・研究を世界各国の政府より委任された秘密組織である。財団はSCPオブジェクトが一般市民の目に触れれば彼らの日常生活や正常な感覚を揺るがすだけでなく、場合によっては人類の生存そのものを脅かしかねないと考えている。そのため財団は集団パニックや予想される混乱を避け、人類の文明を正常に機能させるためSCPを秘密裏に保管し、また一部のSCPについては、将来の脅威に対処するための知識を求めて研究を行っている[5]

以上の目的のために、財団は保護下にある一つ一つのSCPについて特別収容プロトコルを記した報告書を作成している。 SCPに関するこれらの報告書には、SCPを安全な状態に留めるための手段、その性質の説明、財団による実験や研究の記録などが科学的な筆致でまとめられている。 この設定に従って創作された架空の報告書が現実世界におけるSCP財団の主な創作物であり[6]、この文書もSCPと呼ばれる。なお現実世界ではSCPという用語は収容しているオブジェクトそのものを指すことも多いが、作品世界内でSCPは本来文書の略称とされ、SCPオブジェクトやSCiPといったそれそのものを指す用語と区別される[7]

SCPオブジェクト[編集]

SCPオブジェクトは自然法則に反した異常な存在・場所・物体・現象の総称である。これらのオブジェクトは、研究の優先順位や予算の編成等を考慮した以下のオブジェクトクラスが割り当てられている。

  • Safe:現時点において安全かつ確実に収容できるか、対象をわざと活性化させない限り異常な現象は発生しないというものがこのクラスに割り当てられる。必ずしも異常な現象が発生しても財団職員と全人類に影響はないという意味ではなく、その性質は現実世界における核爆弾に例えられる。(無暗に触らなければ爆発しない)
  • Euclid:性質が不明であるか予測ができない場合に割り当てられるクラス。自我や知性を持つ異常存在に対しても、「それ自身が思考・活動することにより本質的に予測不可能である」という観点から、通常はこちらに分類される。性質が判明するか再分類が行われるまで一時的に割り振られることもある。
  • Keter:財団職員および全人類に危険をもたらす存在で、収容時に複雑な手順を要するか現時点で財団による収容ができない場合に割り振られる。SCP財団はこれらのオブジェクトも収容できるようにすることを目標としているが、最後の手段として破壊されることもある。
  • Neutralized:何らかの事情によって非活性化したオブジェクトに割り振られるサブクラス。再活性化に備え、このクラスに分類されたオブジェクトに関する資料は残される。
  • Explained:現時点で主流の科学によって説明できるほどに解明されたものや、虚偽やミスだと判明したもの、収容不可能なほど公に流布されたものなどに割り振られるクラス。
  • Thaumiel:Keter並の危険度を持つオブジェクトを収容したり影響を無効化するために割り当てられるサブクラスで、財団の最高機密でもある。

一例[編集]

  • SCP-131「アイポッド」(The "Eye Pods" )
分類:Safe
中央に目玉が付いた、涙の形をした2体の生物だが、食事や排せつの必要はない。また、人懐っこく、他者に危害を及ぼすことはない。
  • SCP-173「彫刻 - オリジナル」(The Sculpture - The Original )
分類:Euclid
誰かに見つめられると動かないが、相手が目を離すと高速で移動して襲い掛かる、彫刻のようなSCP。
このSCPの解説写真として、彫刻家である加藤泉が2004年に制作した彫刻作品「無題 2004」の写真が用いられた[8][9][10]。その後、彫刻の原作者である加藤は自らの作品の画像をもとにしたストーリーについて、彫刻の作者名を示し二次創作物であることを明記し、原作品のコンセプトと無関係であることを理解したうえで、非商用での利用に限り、非積極的な容認 (reluctantly permit) の意向を示している[11]
ドクター・フー』に登場するエイリアン「嘆きの天使」と性質が似通っていると指摘されることがあるが、いずれかが模倣であるということはない。
  • SCP-1548 「きらいきらい星」(The Hateful Star)
分類:Keter
地球に向けて敵対的なメッセージをモールス信号にして送り続ける光学パルサー

日本支部における一例[編集]

  • SCP-040-JP「ねこですよろしくおねがいします」
分類:Safe
古い小屋の中の井戸。のぞき込んだ者は「ねこがいる」という概念に固執し、周囲に伝え伝染させようとする。
  • SCP-973-JP「エターナル・ダークホース」
分類:Euclid
日本各地の様々な大会に「暗星 豪」名義で参加する黒鹿毛の馬。好成績を残すこともあるが多くの場合ミスによる失格などで下位に甘んじる。
専門の隠蔽部隊であるう-8("尻拭い")及びう-9("しわ寄せ")が後処理を行っている。
新人執筆者コンテストSCP-JP部門最優秀新人賞受賞。
  • SCP-161-JP 「伊れない病」
分類:Keter
「伊る」という動作及び概念を認識できなくなる精神疾患。財団では「眠る」「食べる」「佐う」などでも同様の疾患が発生することを警戒している[注釈 4]

作品の特徴[編集]

SCP財団のwikiにおいて、作品の多数を占めるのはSCPオブジェクトの「特別収容プロトコル」という設定で書かれた独立記事である[4] 。標準的な特別収容プロトコルではまずSCPオブジェクトに固有の識別番号を割り振る。またその関連物に枝番号を割り振る場合もある。次にSCPオブジェクトの収容の難しさに応じて上述のオブジェクトクラスを割り振る[12]。次に適切な特別収容プロトコルと安全対策を概説したあと、件のSCPオブジェクトの解説に入る。加えて、画像、研究記録、打ち消し線による情報の更新なども記事に含まれることがある。記事は科学論文らしい調子で書かれ、しばしば演出上の検閲がなされている[13]。これらはプレーンテキストのみで表現されるとは限らず、画像ハイパーリンクによる表現が同時に用いられることもある。2018年時点で、サイトには3,000を超えるSCPが投稿されており、そして新しいものも頻繁に追加されている[14]

またSCP財団は何百もの「財団Tales」(Tales)も創作している[4]。これらはSCP記事と同じ世界設定の中で、主にSCP財団のスタッフや特定のSCPオブジェクトに焦点を当てたり言及する物語である[15][12]。 Gregory BurkhartはBlumhouse Productions上で、これらの財団Talesは暗く陰鬱な調子であることも多いが、時に「驚くほど明るい」ものもあることを指摘している。[12]

SCP財団の設定について、正典(カノン)となるものは存在しない。SCPやTalesのそれぞれは、創作者たちが財団の大まかな設定を共有したうえで、それぞれ独立したストーリーのもとに書かれている[4]。しかしそれらはしばしばリンクされてより大きな物語の一部となっている。また、製作者たちは舞台や設定、登場人物、そしてプロットを共有した幾つかのSCPやTalesを集めて独自の「カノン」を作ることができる。これらの「カノン」は多数存在し、基本コンセプトを紹介して時系列や登場人物リストといった情報を提供するためのハブページを持っている[16]。 それぞれの創作物のジャンルは、サイエンスフィクション、アーバンファンタジー、ホラーなどであり[17]都市伝説を取り込んだものや終末ものメタフィクションなど様々な趣向のものも含まれる。

制作者たちのコミュニティ[編集]

SCP財団が登場する創作物の起源は、英語圏の大型匿名掲示板・4chanの /x/ (超常現象板)にある[4]2007年に投稿されたクリーピーパスタ英語版(都市伝説コピペ風短編)の「SCP-173」(上述の「彫刻 - オリジナル」)をきっかけに、同様の「特別収容プロトコル」を模した作品が多数投稿されるようになった。その過程でSCP財団の設定が創造・共有されてゆき、そのまとめサイト2008年の1月にEditThis Wikiに開設された[18]。同年7月にサイトはポーランドのWikiホスティングサイト、Wikidotに移り[4][3]、以後の作品は直接Wikiページとして投稿されるようになった。

現在のサイトにはキーワード検索や記事一覧といったWikiとしての基本的な機能が備わっている。また、議論や情報交換のためのフォーラムや執筆者向けのガイドもサイト内で提供されている。自分の書いた作品をサイトに投稿するには、まず申込フォームを通じた参加申請を行ってサイトメンバーになる必要がある[4]。全ての作品には専用の議論ページと投票ボックスが設置され、サイトメンバー同士の建設的な批評を受けることができる。投稿できる記事に制限はないが、クオリティを保つための仕組み作りが考えられており、投票で否定的評価の多かったものはスタッフによって速やかに削除される[19]。また時折、決められた期間で提示されたテーマに沿った創作を行い、出来た作品を評価し合う創作コンテストも開催されている。

Wikiサイトのほかにも、RedditにはSCP財団の創作物に関するフォーラム(サブレディット)がある。またFanFiction.netなど外部の二次創作サイトにはSCP財団が登場する無数の二次創作小説や他作品とのクロスオーバー小説もアップされている。SCP財団についての創作を投稿している人々の中にはプロの創作関係者もおり、例として脚本家のマックス・ランディスがいる[20]

評価[編集]

SCP財団は概ね好意的な評価を受けている。CNETのMichelle Starrはシリーズに共通する不気味さを賞賛した[21]。Gavia Baker-Whitelawはデイリードット英語版にてその独創性を賞賛し、「インターネットで最も独特で魅力的なホラー作品」と表現した[4]。彼女はSCP記事には過剰な残酷表現がめったに含まれていない点を指摘した。むしろ、多くの場合その恐怖が確立されるのは詳細が書き込まれているからだけではなく、報告書が「実用的」で「無味乾燥」に書かれているからであると[4]。Lisay SuhayはChristian Science Monitorの記事でその「からかうようなスタイル」を指摘した[22]

Alex Eichlerはio9の記事で、シリーズの質はまちまちでいくつかの報告書は退屈で繰り返しが多いと指摘した。一方、彼はSCP財団が過度に雰囲気を暗くせず、楽天的な報告書も多く含まれている点を賞賛した。さらに、彼は報告書が多種多様なコンセプトを扱っている点を賞賛し、SCP財団はあらゆる種類の読者に訴えうる著作を含んでいると指摘した。[23]

Winston Cook-WilsonはInverseの記事で、SCP財団とアメリカの作家ハワード・P・ラブクラフト(1890-1937)の著作を比較した。ラブクラフトと同じく、SCP財団の事件簿は多くの場合アクションシーンを欠いており疑似科学的な調子で書かれている。ラブクラフトとSCP財団の作品は共通して、科学的な調子と語られている物語の不安を誘う恐ろしい性質が分離しているゆえの緊張によって優れたものになっているとCook-Wilsonは主張した。[24]

Bryant Alexanderは著作The New Digital Storytellingの中でSCP財団のユーザーベースが文学的コンテンツを制作する大規模で循環的なプロセスによって、SCP財団はおそらく「wikiによるストーリーテリングにおける最も先進的な成果」となっていると述べた。[25]

日本における展開[編集]

日本においてはSCP – Containment Breachの実況プレイなどを通して認知度が上がり、2013年の6月にFC2WIKIでSCP Foundationの翻訳を目的とした「非公式日本語訳wiki」が、7月にWikiDotでSCP Foundationの日本語版サイトとなることを目的とした「SCP財団日本支部」が制作された。後に2つのwikiは前者が専ら英語SCPの翻訳、後者が日本語でのオリジナルSCPの創作を行うという形で合意した。同年12月に日本支部はSCP Foundationから公認され公式サイトとなり、英語サイトを倣ったコミュニティを形成していった。[要出典][26]

2017年4月、非公式日本語訳wikiの管理者の呼びかけにより、日本支部に全ての記事を集約する形で2つのwikiを統合する作業が始められた。7月に作業が完了し、その後非公式日本語訳wikiは閉鎖された。[27]

2018年現在、SCP財団日本支部にはSCPにかぎらずSCP Foudationに投稿された様々な作品の翻訳に加え、日本語で新たに創作された1000を超えるSCPとその他SCP財団に関わる創作物が投稿されている。

注釈[編集]

  1. ^ ロシア語、韓国語、中国語、フランス語、ポーランド語、スペイン語、タイ語、日本語、ドイツ語、イタリア語、ウクライナ語、ポルトガル語のwikiがそれぞれ存在し、英語からの翻訳及びその言語独自の創作を行っている。[1]
  2. ^ 作品の投稿は登録制だが、閲覧は非登録ユーザでも可能
  3. ^ ただし作品世界内では「SCP財団」という呼称を用いないとされる。
  4. ^ 「伊る」「佐う」は本記事にのみ存在する架空の単語

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ scp-wiki.net Site Overview”. Alexa Internet. 2018年2月7日閲覧。
  2. ^ a b Roget. “世界の歴史:Part1”. SCP財団. 2018年2月22日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i Gavia Baker-Whitelaw (2014年1月9日). “Meet the secret foundation that contains the world's paranormal artifacts”. 2015年2月6日閲覧。
  4. ^ The Administrator. “SCP財団とは”. SCP財団. 2018年2月5日閲覧。
  5. ^ The Administrator. “SCP記事作成のガイド”. SCP財団. 5 Febraruary 2018閲覧。
  6. ^ Aelanna. “マッケンジー博士の用語集 ”. SCP財団. 2018年2月23日閲覧。
  7. ^ Untitled 2004”. 加藤泉公式サイト. 2016年3月3日閲覧。
  8. ^ 加藤泉”. 高橋コレクション. 2016年3月3日閲覧。
  9. ^ 加藤泉 展「裸の人」”. SCAI THE BATHHOUSE. 2016年3月3日閲覧。
  10. ^ SCP-173 / Discussion”. SCP Foundation. 2016年6月5日閲覧。
  11. ^ a b c Burkart, Gregory. “Creepypasta: The Story Behind “The SCP Foundation””. Blumhouse Productions. 2016年10月10日閲覧。
  12. ^ Dinicola, Nick. “Creepypasta Gaming: Where the Internet "Learns Our Fears"”. Pop Matters. 2015年2月6日閲覧。
  13. ^ SCPタグでサイト内検索”. SCP Foundation. 2018年2月5日閲覧。
  14. ^ Tapscott, p. 122
  15. ^ Tapscott, p. 122-123
  16. ^ SCP-087: Escaleras a lo desconocido”. 2015年3月26日閲覧。 "Esta es una comunidad de usuarios y de fanáticos del sci-fi y el terror..." (translation: "This is a community of users and of sci-fi and horror fans...")
  17. ^ Pedullà, Lorenzo (25 July 2017) Cos'è la SCP Foundation? Fantascienza.com 2017年8月18日閲覧
  18. ^ Peters, Lucia. “The 10 Scariest Urban Legends on the Internet to Bring a Shiver to Your Spine This Halloween”. Bustle. 2015年2月6日閲覧。
  19. ^ MY #SCP! If you like it, please upvote! http://www.scp-wiki.net/scp-2137, by Max Landis, on Twitter; posted 9 September 2014; retrieved 17 July 2015
  20. ^ Starr, Michelle. “SCP Foundation web series coming to YouTube”. CNET. 2015年2月6日閲覧。
  21. ^ Suhay, Lisa. “Urban Druid writing contest: What's behind the dark-side fiction?”. The Christian Science Monitor. 2015年3月17日閲覧。
  22. ^ Eichler, Alex. “Enter the SCP Foundation's Bottomless Catalog of the Weird”. io9. 2015年2月6日閲覧。
  23. ^ Cook-Wilson, Winston. “Scare Season: SCP, the Creepypasta for 'X-Files' and H.P. Lovecraft Fans”. Inverse. 2015年10月31日閲覧。
  24. ^ Alexander p. 73
  25. ^ jet0620. “SCP-JPの略史”. SCP財団. 2018年2月5日閲覧。
  26. ^ 「非公式日本語訳wiki」との統合案について”. SCP財団. 2018年2月5日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]