SCP財団

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
SCP財団
SCP Foundation (emblem).svg
URL scp-wiki.net
日本語版:ja.scp-wiki.net
使用言語 英語[注釈 1]
スローガン 確保、収容、保護(日本語版)
アレクサ
ランキング
増加 7,234 (2019年2月時点)[2]
営利性 非営利
登録 必要[注釈 2]
設立日
  • 2008年1月19日 (2008-01-19) (旧サイト)
  • 2008年7月19日 (2008-07-19)(現サイト)[3]
現状 活動中
ライセンス
CC Attribution / Share-Alike 3.0

SCP財団(SCPざいだん、: SCP Foundation)とは、自然法則に反した物品・場所・存在(「SCPオブジェクト」と呼称される)を取り扱う架空の組織の名称であるとともに、それについての共同創作を行う同名のコミュニティサイトである。サイトの主要な創作物は、特定のSCPオブジェクトを封じ込める方法を示す"特別収容プロトコル"を記した架空の報告書であるが、他にもSCPオブジェクトやSCP財団に関する様々な形式の掌編(サイト内では「財団Tales」またはTalesと呼ばれる)を執筆している。これらはWiki形式のウェブサイトにまとめて投稿される[4]

サイト内の創作物は共通の背景設定に大まかに従うことが求められており、その多くがホラー小説SFの要素を持つ。また創作物はいずれもクリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0(CC BY-SA)ライセンスにより公開されており、『SCP – Containment Breach』を始めとする複数の二次創作物が制作・公開されている。さらに、これとは別に、『ムシカゴ オルタナティブマーチ』など、SCP財団に影響を受けた作品も存在している[5]

SCP財団には大元である英語サイトの他に、英語以外の言語を使用するサイトがそれぞれ存在しており、これらはSCP財団の支部という位置づけである[5]。支部は英語の創作物の翻訳のほか、SCP財団の背景設定に従ったその言語独自の創作物も執筆している。当記事では英語サイトだけではなく、日本語版サイトについても項を分けて記述している。

大まかな設定[編集]

作品世界における「SCP財団」[注釈 3]は、自然法則に反した異常な存在・場所・物体・現象(SCPオブジェクト。これらはそれぞれの「特別収容プロトコルSpecial Containment Procedures)」のファイル番号で呼称される)の保護・研究を世界各国の政府より委任された秘密組織である。財団はSCPオブジェクトが一般市民の目に触れれば彼らの日常生活や正常な感覚を揺るがすだけでなく、場合によっては人類の生存そのものを脅かしかねないと考えている。そのため財団は集団パニックや予想される混乱を避け、人類の文明を正常に機能させるためSCPオブジェクトを秘密裏に保管し、また一部のSCPオブジェクトについては、将来の脅威に対処するための知識を求めて研究を行っている[6]

以上の目的のために、財団は保護下にある一つ一つのSCPオブジェクトについて特別収容プロトコルを記した報告書を作成している。 これらの報告書には、SCPオブジェクトを安全な状態に留めるための手段、その性質の説明、財団による実験や研究の記録などが科学的な筆致でまとめられている。 この設定に従って創作された架空の報告書が現実世界におけるSCP財団の主な創作物であり[7]、この文書もSCPと呼ばれる。

なお現実世界ではSCPという用語は収容しているオブジェクトそのものを指すことも多いが、作品世界内でSCPは本来文書の略称とされ、SCPオブジェクトやSCiPといったそれそのものを指す用語と区別される[8]

尚、SCPと呼ばれる異常存在を認知もしくは扱う組織はSCP財団以外も存在しており、その中には財団と敵対、対立関係にあるものや財団が特に危険視している組織も存在する。

Euclid
性質が不明であるか予測ができない場合に割り当てられるクラス。常に信頼できる収容が不可能ではあるが、Keterほどの危険性がない。自我や知性を持つ異常存在に対しても、「それ自身が思考・活動することにより本質的に予測不可能である」という観点から、通常はこちらに分類される。性質が判明するか再分類が行われるまで一時的に割り振られることもある。
Keter
財団職員および全人類へ対する危険性もしくは文化面や物理法則の変容と言った社会、文明に著しく損害を与える存在で、また収容時に複雑な手順を要するか現時点で財団による収容ができない場合に割り振られる。SCP財団はこれらのオブジェクトも収容できるようにすることを目標としているが、最後の手段として破壊されることもある。
Neutralized
何らかの事情によって非活性化したオブジェクトに割り振られるサブクラス。再活性化に備え、このクラスに分類されたオブジェクトに関する資料は残される。
Explained
現時点で主流の科学によって説明できるほどに解明されたものや、虚偽やミスだと判明したもの、収容不可能なほど公に流布されたものなどに割り振られるクラス。
Thaumiel
Keter並の危険度を持つオブジェクトを収容したり影響を無効化するために割り当てられるサブクラスで、財団の最高機密でもある。

SCPオブジェクトが特別収容手順から逸脱した状態は、「収容違反」と呼ばれる。収容違反の中には、宇宙の消滅(SCP-2700)など、最悪の結末を迎えたものもある[5]。 また、SCPオブジェクトの性質を説明する用語の一つである「ミーム」は、「物事の情報を構成する因子」という意味で使われている[5]

財団が危険視している組織[編集]

世界オカルト連合(通称GOC)
国連の下部組織であり、イルミナティカルト宗教団体占い師等の陰謀論に関連する組織を連合した組織。正確な加盟団体数は不明だが有力な108の組織による「108評議会」と呼ばれる存在が組織の意識決定を行っていることから少なくとも100を越える団体が加盟していると思われる。目的は財団と同様「人類から異常存在を遠ざけ安全を確保する事」だが、方針は財団が「確保、収用、保護」なのに対しGOCは「異常存在の徹底破壊」であり、方針の違いから財団と対立しているが他団体よりは話が通じやすい。というのがお互いの認識で事案によっては共同作戦が行われる時もあるらしい。
蛇の手
小規模ながらこれまで幾度となく財団を悩ませ続けた組織であり、高度な知能と技術を持つSCPを多数所持しており、特に指導者と思われる女性「L.S」は単独で二度も財団のセキュリティを突破し重要なSCPの収容違反を起こさせている。組織の本部は「放浪者の図書館」と呼ばれる異空間に存在し、かつ世界中のどこかに出現するポータルを通過しなければこの空間に入ることは出来ず特定は難しいとされている。この組織の目的は「すべての異常存在や超状的現象を認め、それを全人類に公表すべきである」であり、目的の根本的な違いから財団だけでなく財団と同じ目的で活動するGOCとも敵対している
株式会社プロメテウス研究所
これまでSCPを含む様々な異常存在を作り上げてきた高度な技術開発能力をもつ企業。SCP財団やGOCなどSCPを扱う様々な組織を顧客としており、それ以外にも一般的な食洗機などを製造する大手電気メーカーとしての一面やアメリカ政府と秘密契約を結んだうえで兵器開発も行っていた軍事企業としても一面も持つ。しかし冷戦終結後の異常存在の軍事利用に対するアメリカ政府の関心が薄れたことで顧客が減り、会社は倒産。元社員や資料を財団が収集し、最終的に本部が原因不明の大爆発を起こし再起不能なった。
カオス·インサージェンシー
元々は財団の意思決定を行う財団の最高クラス階級05を集めた会合「05評議会」のみが存在を認知している特別機動部隊「インサージェンシー」であり、この部隊は財団とは無関係な組織を演じながら裏では財団の部隊が表だって行動できない高度な機密作戦を遂行する機動部隊だった。しかし結成から24年後の1948年に当初の任務内容であるSCPの移動と財団職員の護送のあと本来の計画にはない財団の襲撃を行って反旗を翻し、軍事的利用可能なSCPとその資料を奪って姿を消した。現在は「カオス·インサージェンシー」と名乗り主に独裁国家の体制に浸って人材募集や徴兵を行い組織を拡大しながら財団を妨害し続けているが、この組織の最終的な目的は不明であり、離反した動機も不明である。

作品の特徴[編集]

SCP財団のwikiにおいて、作品の多数を占めるのはSCPオブジェクトの「特別収容プロトコル」という設定で書かれた独立記事である[4] 。標準的な特別収容プロトコルではまずSCPオブジェクトに固有の識別番号を割り振る。またその関連物に枝番号を割り振る場合もある。次にSCPオブジェクトの収容の難しさに応じて上述のオブジェクトクラスを割り振る[9]。次に適切な特別収容プロトコルと安全対策を概説したあと、件のSCPオブジェクトの解説に入る。加えて、画像、研究記録、打ち消し線による情報の更新なども記事に含まれることがある。記事は科学論文らしい調子で書かれ、しばしば演出上の検閲がなされている[10]。これらはプレーンテキストのみで表現されるとは限らず、画像ハイパーリンクによる表現が同時に用いられることもある。2018年時点で、サイトには3,000を超えるSCPが投稿されており、そして新しいものも頻繁に追加されている[11]

またSCP財団は何百もの「財団Tales」(Tales)も創作している[4]。これらはSCP記事と同じ世界設定の中で、主にSCP財団のスタッフや特定のSCPオブジェクトに焦点を当てたり言及する物語である[12][9]。 Gregory BurkhartはBlumhouse Productions上で、これらの財団Talesは暗く陰鬱な調子であることも多いが、時に「驚くほど明るい」ものもあることを指摘している。[9]

SCP財団の設定について、正典(カノン)となるものは存在しない。SCPやTalesのそれぞれは、創作者たちが財団の大まかな設定を共有したうえで、それぞれ独立したストーリーのもとに書かれている[4]。しかしそれらはしばしばリンクされてより大きな物語の一部となっている。また、製作者たちは舞台や設定、登場人物、そしてプロットを共有した幾つかのSCPやTalesを集めて独自の「カノン」を作ることができる。これらの「カノン」は多数存在し、基本コンセプトを紹介して時系列や登場人物リストといった情報を提供するためのハブページを持っている[13]。 それぞれの創作物のジャンルは、サイエンスフィクション、アーバンファンタジー、ホラーなどであり[14]都市伝説を取り込んだものや終末ものメタフィクションなど様々な趣向のものも含まれる。

制作者たちのコミュニティ[編集]

SCP財団が登場する創作物の起源は、英語圏の大型匿名掲示板・4chanの /x/ (超常現象板)にある[4]2007年に投稿されたクリーピーパスタ(都市伝説コピペ風短編)の「SCP-173」(上述の「彫刻 - オリジナル」)をきっかけに、同様の「特別収容プロトコル」を模した作品が多数投稿されるようになった。その過程でSCP財団の設定が創造・共有されてゆき、そのまとめサイト2008年の1月にEditThis Wikiに開設された[15]。同年7月にサイトはポーランドのWikiホスティングサイト、Wikidotに移り[4][3]、以後の作品は直接Wikiページとして投稿されるようになった。

現在のサイトにはキーワード検索や記事一覧といったWikiとしての基本的な機能が備わっている。また、議論や情報交換のためのフォーラムや執筆者向けのガイドもサイト内で提供されている。自分の書いた作品をサイトに投稿するには、まず申込フォームを通じた参加申請を行ってサイトメンバーになる必要がある[4]。全ての作品には専用の議論ページと投票ボックスが設置され、サイトメンバー同士の建設的な批評を受けることができる。投稿できる記事に制限はないが、クオリティを保つための仕組み作りが考えられており、投票で否定的評価の多かったものはスタッフによって速やかに削除される[16]。また時折、決められた期間で提示されたテーマに沿った創作を行い、出来た作品を評価し合う創作コンテストも開催されている。

Wikiサイトのほかにも、RedditにはSCP財団の創作物に関するフォーラム(サブレディット)がある。またFanFiction.netなど外部の二次創作サイトにはSCP財団が登場する無数の二次創作小説や他作品とのクロスオーバー小説もアップされている。SCP財団についての創作を投稿している人々の中にはプロの創作関係者もおり、例として脚本家のマックス・ランディスがいる[17]

評価[編集]

SCP財団は概ね好意的な評価を受けている。CNETのMichelle Starrはシリーズに共通する不気味さを賞賛した[18]。Gavia Baker-Whitelawはデイリードット英語版にてその独創性を賞賛し、「インターネットで最も独特で魅力的なホラー作品」と表現した[4]。彼女はSCP記事には過剰な残酷表現がめったに含まれていない点を指摘した。むしろ、多くの場合その恐怖が確立されるのは詳細が書き込まれているからだけではなく、報告書が「実用的」で「無味乾燥」に書かれているからであると[4]。Lisay SuhayはChristian Science Monitorの記事でその「からかうようなスタイル」を指摘した[19]

Alex Eichlerはio9の記事で、シリーズの質はまちまちでいくつかの報告書は退屈で繰り返しが多いと指摘した。一方、彼はSCP財団が過度に雰囲気を暗くせず、楽天的な報告書も多く含まれている点を賞賛した。さらに、彼は報告書が多種多様なコンセプトを扱っている点を賞賛し、SCP財団はあらゆる種類の読者に訴えうる著作を含んでいると指摘した。[20]

Winston Cook-WilsonはInverseの記事で、SCP財団とアメリカの作家ハワード・P・ラブクラフト(1890-1937)の著作を比較した。ラブクラフトと同じく、SCP財団の事件簿は多くの場合アクションシーンを欠いており疑似科学的な調子で書かれている。ラブクラフトとSCP財団の作品は共通して、科学的な調子と語られている物語の不安を誘う恐ろしい性質が分離しているゆえの緊張によって優れたものになっているとCook-Wilsonは主張した。[21]

Bryant Alexanderは著作The New Digital Storytellingの中でSCP財団のユーザーベースが文学的コンテンツを制作する大規模で循環的なプロセスによって、SCP財団はおそらく「wikiによるストーリーテリングにおける最も先進的な成果」となっていると述べた[22]

4Gamer.netの早苗月 ハンバーグ食べ男は、財団の本部や各支部のウェブサイトから、国柄や時代性が見えて面白いと評価している[5]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ ロシア語、韓国語、中国語、フランス語、ポーランド語、スペイン語、タイ語、日本語、ドイツ語、イタリア語、ウクライナ語、ポルトガル語、チェコ語のwikiがそれぞれ存在し、他言語からの翻訳及びその言語独自の創作を行っている。[1]
  2. ^ 作品の投稿は登録制だが、閲覧は非登録ユーザでも可能
  3. ^ ただし作品世界内では「SCP財団」という呼称を用いないとされる。

関連項目[編集]

  • ^ scp-wiki.net Site Overview”. Alexa Internet. 2019年2月7日閲覧。
  • ^ a b Roget. “世界の歴史:Part1”. SCP財団. 2018年2月22日閲覧。
  • ^ a b c d e f g h i Gavia Baker-Whitelaw (2014年1月9日). “Meet the secret foundation that contains the world's paranormal artifacts”. 2015年2月6日閲覧。
  • ^ a b c d e 早苗月 ハンバーグ食べ男 (2019年12月28日). “ゲーム界をジワジワと侵食する「SCP Foundation」とは? ゲーム関連SCPオブジェクト&SCP Foundation関連ゲームを特集してみる”. 4gamer. Aetas. 2019年12月28日閲覧。
  • ^ The Administrator. “SCP財団とは”. SCP財団. 2018年2月5日閲覧。
  • ^ The Administrator. “SCP記事作成のガイド”. SCP財団. 5 Febraruary 2018閲覧。
  • ^ Aelanna. “マッケンジー博士の用語集 ”. SCP財団. 2018年2月23日閲覧。
  • ^ a b c Burkart, Gregory. “Creepypasta: The Story Behind “The SCP Foundation””. Blumhouse Productions. 2016年10月10日閲覧。
  • ^ Dinicola, Nick. “Creepypasta Gaming: Where the Internet "Learns Our Fears"”. Pop Matters. 2015年2月6日閲覧。
  • ^ SCPタグでサイト内検索”. SCP Foundation. 2018年2月5日閲覧。
  • ^ Tapscott, p. 122
  • ^ Tapscott, p. 122-123
  • ^ SCP-087: Escaleras a lo desconocido”. 2015年3月26日閲覧。 "Esta es una comunidad de usuarios y de fanáticos del sci-fi y el terror..." (translation: "This is a community of users and of sci-fi and horror fans...")
  • ^ Pedullà, Lorenzo (25 July 2017) Cos'è la SCP Foundation? Fantascienza.com 2017年8月18日閲覧
  • ^ Peters, Lucia. “The 10 Scariest Urban Legends on the Internet to Bring a Shiver to Your Spine This Halloween”. Bustle. 2015年2月6日閲覧。
  • ^ MY #SCP! If you like it, please upvote! http://www.scp-wiki.net/scp-2137, by Max Landis, on Twitter; posted 9 September 2014; retrieved 17 July 2015
  • ^ Starr, Michelle. “SCP Foundation web series coming to YouTube”. CNET. 2015年2月6日閲覧。
  • ^ Suhay, Lisa. “Urban Druid writing contest: What's behind the dark-side fiction?”. The Christian Science Monitor. 2015年3月17日閲覧。
  • ^ Eichler, Alex. “Enter the SCP Foundation's Bottomless Catalog of the Weird”. io9. 2015年2月6日閲覧。
  • ^ Cook-Wilson, Winston. “Scare Season: SCP, the Creepypasta for 'X-Files' and H.P. Lovecraft Fans”. Inverse. 2015年10月31日閲覧。
  • ^ Alexander p. 73