Linux-libre

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Linux-libre
Linux-libreの公式マスコットであるFreedo
Linux-Libre 3.0.66-1 Boot.png
ブート中のLinux-libreカーネル3.0.66-1
開発者 Free Software Foundation Latin America
プログラミング言語 C言語およびアセンブリ言語
OSの系統 Unix系
初リリース 2008年2月20日(9年前) (2008-02-20[1]
最新安定版リリース 4.8.12-gnu - 2016年12月2日(11か月前) (2016-12-02[2] [±]
使用できる言語 英語
カーネル種別 モノリシック
ライセンス GPL v2
ウェブサイト fsfla.org/svnwiki/selibre/linux-libre/index.en.html
テンプレートを表示

Linux-libre(リナックス・リブレ、[ˈlɪnəks ˈlbrə])はオペレーティングシステムカーネルで、Linuxカーネルの修正バージョンから続いているGNUプロジェクトのパッケージである[3]。このプロジェクトの狙いは、ソースコードを含まなかったり、ソースコードが難読化されていたり、プロプライエタリなライセンスの元にリリースされていたりするようなソフトウェアを全てLinuxカーネルから除去することにある。

Linuxカーネルのうちソースコードがない部分はバイナリ・ブロブと呼ばれ、主にプライエタリ・ファームウェアがそれに該当する。バイナリ・ブロブは通常再配布可能であるが、ユーザーによる改変、再配布、および調査は許されていない。

歴史[編集]

Linuxカーネルは1996年にバイナリ・ブロブを含めて始動した[4]。バイナリ・ブロブを取り除く作業はgNewSenseのfind-firmwareおよびgen-kernelとして2006年に開始された。BLAG英語版 Linuxディストリビューションは2007年にバイナリ・ブロブの除去と共にこの作業をさらに推し進め、Linux-libreが生まれた[5][6]

Linux-libreはFree Software Foundation Latin America (FSFLA) により初めてリリースされ、完全にフリーなLinuxディストリビューション用の価値あるコンポーネントとしてフリーソフトウェア財団 (FSF) が支持した[7]。Linux-libreは2012年3月にGNUプロジェクトのパッケージとなった[8]アレシャンドリ・オリヴァがこのプロジェクトのメンテナである。

プロプライエタリ・ファームウェアの除去[編集]

Linux-libreのマスコットであるFreedoとGNUロゴ

方法[編集]

除去プロセスはdeblob-mainと呼ばれるスクリプトを使用することで達成された[9]。deblob-mainはgNewSense用に使用されるスクリプトに影響されている。Jeff MoeはBLAG Linux and GNUディストリビューションで使用できるように、このスクリプトを後に修正した。他にも別のスクリプトとして、deblob-checkと呼ばれるものもある[10]。これはカーネルソースファイル、パッチまたは圧縮されたソースファイルにプロプライエタリなものと思われるソフトウェアが含まれているどうかをチェックするために使用される。

効果[編集]

フリーソフトウェアのみのシステム実行を第一に意図された効果とは別に、ユーザーの調査や修正が許可されないデバイスファームウェアを実際に除去してみると、肯定的な効果と否定的な効果が両方生ずることになる。

利点にはバグ、セキュリティ問題や(バックドアのような)悪意のある操作に対する検査ができず、またそれらが判明した場合でもLinuxカーネルメンテナーだけでは修正できないデバイスファームウェアを除去することが挙げられる。完全なシステムは悪意のあるファームウェアにより危険にさらされる可能性があり、さらにメーカーが提供するファームウェアのセキュリティ検査ができなければ、たとえ無害なバグであっても起動しているシステムの安全性を蝕む可能性がある[11]

カーネルからプロプライエタリ・ファームウェアを除去することの欠点には、それにより結果として、フリーソフトウェアにより代用ができない特定のハードウェアが機能しなくなることが挙げられる。これは特定のサウンドカードビデオカードTVチューナーカード、そして(特に無線用の)ネットワークカードに影響する。可能であれば、b43やcarl9170[12]、ath9k_htc[13]といった無線カードドライバ用のopenfwwf[14]のような、フリーソフトウェアの代替ファームウェアが代用品として提供される。

ハードウェア[編集]

Linux-libreは自身がサポートする、プロプライエタリなドライバやファームウェアを必要としないデバイス用に、corebootのようなフリーのドライバを使用する[15][16]。フリーソフトウェア財団の "Respects Your Freedom" (RYF) コンピュータハードウェア製品の認証プログラムは、ユーザーの自由とプライバシーを尊重するハードウェアの作成と販売を奨励し、ユーザーによる自身のデバイスの制御を保証することを目指している[17]

利用[編集]

バイナリ・ブロブを除去したLinuxカーネルのソースコードとプリコンパイルされたパッケージは、Linux-libreスクリプトを使用するディストリビューションから直接利用可能である。Freed-oraはFedoraカーネルをベースとしたRPMパッケージを用意し維持するサブプロジェクトである[18]Debian (Lenny)[19] やUbuntu(Hardy、IntrepidやJaunty)[20]のようなDebianの派生ディストリビューション用にプリコンパイルされたパッケージもある。

ディストリビューション[編集]

Parabola GNU/Linux-libreはデフォルトのカーネルとしてLinux-libreを使用する。

Linux-libreをデフォルトのカーネルとするディストリビューションを以下に示す。これらのOSはGNU FSDGにも適合する。

Linuxをデフォルトのカーネルとして使用し、代わりのカーネルとしてLinux-libreを推薦するディストリビューションを以下に示す:

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ blag-announce (2008年2月20日). “[blag-devel linux-libre]”. 2014年11月4日閲覧。
  2. ^ GNU Linux-libre”. FSF (2016年12月2日). 2016年12月9日閲覧。
  3. ^ フリーソフトウェア財団 (2013年). “Linux-libre”. 2014年1月5日閲覧。
  4. ^ Free Software Foundation Latin America (FSFLA) (2010年). “Take your freedom back, with Linux-2.6.33-libre”. 2015年4月25日閲覧。
  5. ^ Alexandre Oliva (2009年). “Linux-libre and the prisoners' dilemma”. 2015年4月25日閲覧。
  6. ^ jebba (2008年). “BLAG :: View topic - Linux Libre BLAG forums”. 2015年4月25日閲覧。
  7. ^ Free Software Foundation. “Linux (BLOB free version)”. Free Software Directory. 2011年12月6日閲覧。 “[...] in the interest of freedom, we are providing a link to a version of the kernel in which this proprietary code has been removed so that it is entirely free software”
  8. ^ Oliva, Alexandre (2012年3月19日). “GNU Linux-libre 3.3-gnu is now available”. info-gnu. http://lists.gnu.org/archive/html/info-gnu/2012-03/msg00013.html 2012年8月7日閲覧。 
  9. ^ Free Software Foundation Latin America. “How it is done”. Linux-libre, Free as in Freedo. 2011年12月6日閲覧。
  10. ^ fsfla - Revision 8200: /software/linux-libre/scripts”. Free Software Foundation Latin America. 2011年12月6日閲覧。
  11. ^ Delugre, Guillaume (November 21, 2010). “Reversing the Broacom NetExtreme's Firmware” (PDF). hack.lu. Sogeti. http://esec-lab.sogeti.com/dotclear/public/publications/10-hack.lu-nicreverse_slides.pdf 2012年4月18日閲覧。 
  12. ^ en:users:drivers:carl9170 [Linux Wireless]”. kernel.org. 2015年11月7日閲覧。
  13. ^ en:users:drivers:ath9k_htc [Linux Wireless]”. kernel.org. 2015年11月7日閲覧。
  14. ^ OpenFWWF - Open FirmWare for WiFi networks”. unibs.it. 2015年11月7日閲覧。
  15. ^ http://aligunduz.org/gNewSense/
  16. ^ http://www.fsf.org/resources/hw/
  17. ^ Respects Your Freedom hardware product certification
  18. ^ Free Software Foundation Latin America. “Linux-libre's Freed-ora project”. 2011年12月6日閲覧。 “Freed-ora is a sub-project that prepares and maintains 100% Free RPMs that track Fedora's non-Free kernels”
  19. ^ Millan, Robert (2009年4月23日). “Linux-libre for Debian Lenny”. [Debian Mailing Lists] Announcements for developers mailing list.. http://lists.debian.org/debian-devel-announce/2009/04/msg00010.html 2009年5月12日閲覧. "This is to announce that Debian packages of Linux-libre [...] are now available for Lenny users who want to use them [...]" 
  20. ^ Gunduz, Ali. “Uncle Gnufs' World Famous Home Baked Free Kernel Shoppe”. aligunduz.org. 2011年12月6日閲覧。
  21. ^ Dragora overview dragora.org
  22. ^ jaromil (2008年9月10日). “[LAT] hello, dyne:bolic -rt and freeeee”. [Fundacion Software Libre America Latina] Linux-audio-tuning mailing list.. http://lists.linuxaudio.org/pipermail/linux-audio-tuning/2008-September/000059.html 2011年12月6日閲覧。 
  23. ^ GNU Guix Reference Manual: GNU Distribution”. 2015年11月6日閲覧。
  24. ^ ftp://musix.ourproject.org/pub/musix/deb/kernel/2.6.26-libre-rt” [Index of ftp://musix.ourproject.org/] (Spanish). Indice de ftp://musix.ourproject.org/. 2011年12月6日閲覧。
  25. ^ Documentation | Trisquel GNU/Linux - Run free!”. 2016年3月5日閲覧。
  26. ^ Arch Linux (2014年6月19日). “AUR (en) linux-libre”. AUR. 2014年7月9日閲覧。
  27. ^ Fossi, Damian (2009年8月24日). “Linux-libre: Resumen del proyecto” [Linux-libre: Project summary] (Spanish). Forja. 2001年12月6日閲覧。
  28. ^ O'Kelly, Tim (2009年4月14日). “Bug 266157”. Gentoo's Bugzilla. Gentoo Linux. 2011年12月6日閲覧。
  29. ^ Licenses: Common Setups”. Gentoo Wiki. Gentoo Linux (2012年8月6日). 2012年8月8日閲覧。

外部リンク[編集]