フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン
「イン・アザー・ワーズ」 | ||||
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ケイ・バラード の シングル | ||||
B面 | レイジー・アフタヌーン | |||
リリース | ||||
規格 | 7インチ・シングル | |||
録音 | 1954年 | |||
ジャンル | ジャズ | |||
時間 | ||||
レーベル | デッカ・レコード | |||
作詞・作曲 |
バート・ハワード ジョン・ラトゥーシュ ジェローム・モロス | |||
ケイ・バラード シングル 年表 | ||||
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「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」(英: Fly Me to the Moon)は、ジャズのスタンダード・ナンバー楽曲。日本語で「私を月に連れて行って」といった意味になる。原題は「イン・アザー・ワーズ」(英: In Other Words)。
概要
[編集]1954年に、作詞家・作曲家のバート・ハワードによって制作されたもので、初演はニューヨークのキャバレー "Blue Angel" において披露、ヴォーカルのフェリシア・サンダーズ の歌唱によるものであった[1]。ただし、この時の曲のタイトルは "In Other Words"(対訳「言い換えると」)であり、拍も3⁄4拍子で、現在広く認知されているアレンジとは装いをかなり異にしていた。この「In other words」という台詞は歌詞の中にも登場しており、現在でも本作をカバーする際に "Fly Me to the Moon (In Other Words)" というタイトルにするアーティストがいる。同年にはヴォーカルのケイ・バラードによりデッカ・レコードにて初めてレコーディングされた。その数年後(1960年)に、ペギー・リーがアルバム『プリティ・アイズ』収録曲の一つとしてレコーディング(タイトルは "In Other Words")、同時期にTV番組『エド・サリヴァン・ショー』に出演し本作を歌唱。これが切っ掛けで本作は広く知られるようになった。
1956年には、ポーシャ・ネルソンのアルバム『Let Me Love You』に収録された。同年、ジョニー・マティスが本作を収録する際に初めて「Fly Me to the Moon」の題が登場した。
1959年、フェリシア・サンダーズがデッカ・ヨコードより発売したシングル「サマー・ラブ」のB面に、サンダース歌唱の物が収録された。1961年には本曲をA面としたシングルがデッカより発売された。
現在多く耳にする「Fly Me to the Moon」が完成するのは、1962年のことである。作曲家・編曲家のジョー・ハーネルが4⁄4拍子のボサノヴァ風に書き直したものが、現在よく知られているアレンジの一つである。その後、1964年にフランク・シナトラがカバーして爆発的なヒットとなった。ヴォーカルナンバー以外でもインストナンバーとしても知られ、オスカー・ピーターソン等のジャズ・アーティストが演奏している。
シナトラが本作を発表した1960年代、アメリカ合衆国はアポロ計画の真っ只中にあり、本当に『月に連れて行って貰える』のは「非常に近くまで迫っている、近未来の出来事」であった。そのため本作「Fly Me to the Moon」は一種の時代のテーマソングのように扱われ、これが本作のヒットにつながった。シナトラ・バージョンの録音テープは、アポロ10号・11号にも積み込まれ、人類が月に持ち込んだ最初の曲になった[2]。このシナトラ・バージョンは2000年の映画『スペース カウボーイ』(ワーナー・ブラザース)のラストシーン(トミー・リー・ジョーンズ演じる宇宙飛行士が身を挺してミッションをクリアした後、予定外の月にまで到達してしまう)においても使用されている。
非常に数多くの歌手や楽団がカバーしていることでも知られており、劇中曲として使用されることも多い。
日本
[編集]- 1963年、森山加代子が「月へ帰ろう」(「一人で泣かせて」のB面)のタイトルで、中尾ミエが「月夜にボサノバ」(「テル・ヒム」のB面)のタイトルで、それぞれ日本語詞でカバーしている。
- 1967年、ヘレン・メリルの日本録音盤『Bossa Nova In Tokyo』(伴奏:前田憲男ストリングス・オーケストラ・渡辺貞夫がフルートで参加)に収録[3]。渡辺貞夫も同年に発表したアルバム『イパネマの娘』にて、菊地雅章や中牟礼貞則、富樫雅彦らとの共演で収録している。
- 1970~80年代、「TBS名作ドラマシリーズ」のオープニング及びエンディングテーマで、ウェス・モンゴメリーによるアレンジバージョンが使用された。
- 1981~1987年、竹宮恵子の21世紀後期を舞台にしたSF漫画『私を月まで連れてって!』。第一回「夢みるマーズポート」(1977年掲載)で象徴として日本語詞を引用している。
- 1995年~1996年放送のテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディングテーマに用いられ、新たな世代の関心も呼び起こした。日本の音楽雑誌『CD&DLでーた』が2016年に月に関連する最も代表的な曲について行った調査によると、クレア・リトリーと高橋洋子のカバーバージョンは、10代から30代までの6203人の回答者によって7位にランキングされる[4]。
- 2008年に放映された全日本空輸のテレビCM「あこがれのJAZZ CLUB」篇のBGMとして使用された。ジャズクラブのバーカウンターにあたかも同社の飛行機が着陸するようなイメージの映像であった。歌っているのはGeila Zilkhaで、30秒に収めるため原曲よりもアップテンポで歌っている。
- 2009年のXbox 360及びPlayStation 3専用ゲームソフト『ベヨネッタ』の挿入歌(∞ Climax Mixとしてリミックス版もある)や、2013年のサントリーのウイスキー・山崎のCMソングに使用される。
- 2019年、松田聖子がアルバム『SEIKO JAZZ 2』にてジャズアレンジでカバーしている。
備考
[編集]JASRACに於いては2018年現在、外国作品/出典:PJ (サブ出版者作品届) /作品コード 0F0-2290-1 FLY ME TO THE MOON として登録[5]。
FLY ME TO THE MOONがOT(正題)、IN OTHER WORDSがAT(副題)[5]。日本国内外含めて計337組の歌手・楽団が「アーティスト」として登録されている[5]。
多くの日本語詞が制作され歌唱されている[6]が、JASRACデータベースに「訳詞」登録されているのは漣健児のみである[5]。
本作の出版者は、PALM VALLEY MUSIC LLC 301。日本におけるサブ出版[7]はティー・アール・オー・エセックス・ジャパン A事業部(シンコーミュージック・エンタテイメントが業務代行[8])とされている[5]。
特記すべき注意事項が存在し、2018年4月現在、JASRACの「録音禁止著作物一覧」に掲載されており、「アニメーション関連で利用する場合は、SP:ティー・アール・オー・エセックス・ジャパンA事業部に事前確認が必要。」と注記がされている[9]。
脚注
[編集]- ^ フェリシア・サンダーズ(1922年 – 1975年2月7日)が本作の創唱者であると英語版記事でも言及されている。
- ^ 「この曲といえば、シナトラとなったのには、ちょっとした歴史的背景がある。シナトラの歌が月の軌道上で初めてかかった曲ということになっているためである▼六九年五月、アポロ10号の船内で宇宙飛行士たちが、この曲をカセットテープで流して聞いたという。一種の洒落(しゃれ)による選曲だろう」(「中日春秋」 中日新聞、2014年9月7日)
- ^ soe006 Fly Me to the Moon
- ^ “「月(MOON)からイメージする曲」ランキング。~音楽情報マガジン『CD&DLでーた』~”. PRTIMES (2016年9月26日). 2021年6月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月26日閲覧。
- ^ a b c d e JASRAC作品データベース検索サービス J-WID 検索結果
- ^ 一例としては森山加代子(1963年11月)が『月へ帰ろう』のタイトルで発表したバージョンの日本語詞は、岩谷時子による。
- ^ 音楽出版者が全世界の地域について単独でその活動を行うことは難しいことから、特定地域の出版者と、その地域についての利用開発やプロモーションを任せる契約を結ぶことがある。この場合、作詞者・作曲者から直接権利を取得した音楽出版者はOP(Original Publisher)と呼称し、OPと契約を結び特定地域についての活動を任せられた音楽出版者はSP(Sub Publisher)と呼称する。
- ^ 外国作品のご利用について(出版) - 日本音楽著作権協会(JASRAC)
- ^ 録音禁止著作物一覧 - 日本音楽著作権協会(JASRAC)